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愛すべきPENTAX K-01について

 Youtubeを見てますと、トップページのサジェストにこういう動画が出てきたんですよ。
 いいですよねK-01。愛すべき。
 私も新品で買って、K-70に買い替えてからもたまに使うカメラ。

K-01とはどういうカメラなのか

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 上の動画にいわれてるような、愛すべきカメラです。はい。

バッテリーライフについて

 ただ、動画の中で「バッテリーライフが短い」といわれてるんですが、これだけは誤認があるように思います。
 少なくとも私の手元のK-01は、でっかいバッテリー積んでるだけあって、電池切れを心配しながら使ったことはありません。実際に撮影中にカラになったこともないです。

 動画では「満充電しないで電池を大事にしてる」とのことでしたが、PENTAXのカメラって、かなり電池が減らないとバッテリーインジケーターがフル表示から下がらない傾向あるんですよね。50%くらいまでフルのままって印象。
 で、下がり始めると急で、AF作動時とかだけ赤表示になったりするような揺れも生じます。本当に動作停止するまではそこそこ粘るんですが。
 もしバッテリーインジケーターをフルにしない充電量で使ってるなら、かなり実力を割引してると思います。

ボディの大きさについて

 K-01は、PENTAX Kマウントをそのままにミラーレス化したカメラなので、フランジバックを短くできず、ボディの厚さも一眼レフそのままになってます。
 おかげで全体的に直方体に近い、他に類がないデザインになりました。

 しかしここで言いたいんですけど、どのカメラだって前に飛び出すレンズつけてるのに、ボディの、しかもマウント部の厚さが2cmほど違って実用的な差があるのかと。
 そして、レンズの方をここまで薄くしたメーカーが、PENTAXの他にどこかあるのかと。

 それにミラーレス一眼でも、しっかり安定して握れるデザインの中・上級機種だと、結局グリップが飛び出してるじゃないですか。
 じゃあK-01のマウント部の厚さを、そこまで笑われるいわれがあるのかと。ここは決死擁護しておきたい。

 でもまあ、実際、K-01はうすらでかいですけどね。
 曲面的デザインだと実際より小さく感じますけど、四角いK-01はもう見事にうすらでかく感じます。はい。

デザイン故に操作性が

 私は手が大きいから、ミラーレス一眼ってちょっと持ちにくく感じることが多いんです。グリップが出っ張っていても、指先でつまむみたいになりがち。一眼レフでも、D3000系とかEOS Kissの小さい方とかはそうなります。
 今使ってるK-70は私の手には実にぴったり。他社だとPanasonicのはグリップのデザイン上手いですね。

 じゃあ、結構大きいK-01は持ちやすいのかというと、うーん……。

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 直方体デザインのためですが、数ミリの突起がグリップっぽくあるだけで、握りやすいとは言いにくい。

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 直方体だから、シャッターボタンも前傾せず真上についてます。まあ、これはさほど押しづらくはないですが。
 それより、露出補正とかグリーンボタンは、使用頻度が高いのに非常に押しづらい配置で、これはさすがに厳しい。

ダイヤルがたまに凶器

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 マーク・ニューソンによるデザイン上のこだわりが至るところに見られるK-01なんですが、モードダイヤルや設定ダイヤルが、金属削り出しの非常にシャープなパーツになってます。
 塗装もハゲない上質なパーツで、使い心地も良いのですが、バッグの中で他のものに当たって傷つけてることがしばしばあります。スマホとか要注意。

オートフォーカス……

 AF遅いですね。はい。
 一眼レフの中ではAFが遅いといわれるPENTAXの中でも、飛び抜けて遅い。コントラストAFなので精度はしっかりしてますが。

 上のYoutube動画で語られる通り、K-01には高速なAFが実現する像面位相差AFセンサーは採用されてません。
 でも、K-01が発売された2013年当時だと、マイクロフォーサーズでもオリンパスの最上位モデルOM-D E-M1だけ、APS-C機だと一眼レフだとキヤノンがEOS 70Dくらいしか使ってない、最先端技術ですよ。
 K-01に採用しろというのは、ちょっと無理です。

 また、当時のマイクロフォーサーズ陣営は、コントラストAFでもっと高速なAFをしてました。
 これは私も詳しく理屈わかってないんですが、コントラストAFでもAFが高速にできるような設計がされてるらしくって。
 K-01って、ピント合わせの時に毎回ウォブリング(ピントの近傍で何度か行ったり来たり)するんですが、特にコントラストAF対応がされてないとこうなっちゃうみたい。
 手前にピントを合わせたいのに、奥にAFが突っ走って、無限遠まで行って帰ってくることもよくある。もしかすると、ピントの前後を検出するような機構が、ミラーレス一眼にはあるのかも。

 2013年の技術で、Kマウントミラーレスカメラを作ると、このAF速度は仕方ないものでした。
 まあ、こうなるのわかってただろ、というのはその通りですけれど。

AFの音とボディの重さについて

 K-01固有の話ではないんですが、PENTAXのカメラってAFが動くと、ジージーとモーター音がします。
 PENTAXは古くから、AF用モーターをボディ内に入れて、軸で動力を伝えてレンズを動かし、ピント合わせをしています。
 今の他社製品だと、レンズ側にAFモーターが入ってます。で、超音波モーターとかパルスモーターとか、作動音の小さいものがよく使われてます。それで音が静か。PENTAXでも最近のレンズだとそうなってます。

 PENTAXは後方互換性を大事にするので、30年くらい前の古いAFレンズでもちゃんと使えるようにしてるんですよ。(現行のレンズでも古い方式のAFを使ってるのが多数あるから、互換性切ったら大変なことになるんですが)

 PENTAXのカメラは他にも、手ブレ補正機構もボディにある。
 絞りの制御も機械式で、ボディ側にメカが入ってます。互換性のために、律儀にずっと入れてるんです。
 それで重たくなってるんです。他社製品が軽いのは、ユーザーごと過去の製品を切り捨てて部品を減らしてるからです。
 ボディの重さには、古くからのユーザーを大事にするPENTAXの精神が詰まっているんだ、と決死擁護しておきたい。

超音波モーターのレンズを使えばAFは改善するか?

 最近のPENTAXレンズには、レンズ内にAF用超音波モータ―などを内蔵したレンズも存在します。
 でも、K-01のAFが遅いのはウォブリングするせいであって、ボディ内モーターでのAF駆動が遅いからじゃないです。
 DA17-70mmF4AL[IF]SDMなどでも、特にウォブリングは改まらず、しばしばAFが逆方向に走っていくなどの現象に改善はありません。

動画に雑音が入ることについて

 動画を撮ると、AFの作動音が録音されちゃいます。はい。
 先の理由の通り、ボディ内モーターAFの作動音です。

 じゃあ、最近の超音波モータ―内蔵レンズをつければ、音が入らなくなるかというと、そうでもないです。
 smc PENTAX-DA 17-70mmF4AL[IF]SDMで試してみましたが、チーチーと小さい音にはなりますが、しっかり録音されてました。

 それに、暗いところから明るいところにレンズを向けたりすると、絞りが作動して「カシャ」と結構大きな音がします。
 PENTAXは、絞りもボディ側から機械的に作動させるので、どうしてもこういう音がします。ニコンもそうなんで、最近のEタイプレンズ以外だとそうなります。キヤノンは昔から静かなはず。

 というか、K-01ってコンティニュアスAFが無いカメラなんで、そもそも動画撮るようなものではないのでは……と、決死擁護というか諦めの擁護をしておきます。

画質とローパスフィルターについて

 2013年当時、一部ではK-01は高画質カメラだといわれてました。

 この頃、撮像センサーのローパスフィルターを外すかどうか、っていう議論がありまして。
 ローパスフィルターをつけると、モアレが出にくくなります。トタンの波板とかを離れた距離で撮ると、変な模様や偽色が出たりするやつ。
 ローパスフィルターを外すと、モアレが出る代わりに解像力が上がります。
 どっちが良いかは当時メーカーも悩んでいて、外すところもつけ続けるところもありました。

 K-01は、ローパスフィルターを完全に外してはいないんですが、効果を弱くしてありました。
 2013年時点では、ローパスフィルターが無い/弱いタイプのカメラは、他にあまり選択肢もなかった。無いほうがいいという人にとっては、K-01はリーズナブルな高画質カメラでした。

smc PENTAX-DA 40mmF2.8 XSについて

 単品でも売られていますが、K-01のキットレンズとして発売されたDA40mm XS。
 「ビスケットレンズ」といわれる超薄型で、K-01を写真が撮れる直方体として完成させられるレンズでした。

 ただまあ、APS-Cで40mmの焦点距離は、ちょっと望遠寄りで独特の画角です。最短撮影距離が短いわけでもないし。
 逆光にもめちゃくちゃ弱いレンズなんですよね。ものすごいフレアが出て、コントラスト落ちまくる。薄くしたがために光を遮るものがなくて、余計な光が大量に入ってるようです。
 普及価格帯のカメラに、この癖玉をキットレンズとしてつけちゃうのは、かなり冒険というか無茶というか……。

 順光で撮ったり、ステップアップリングを駆使してフードをつけたりすると、ぐっと画質が良くなります。非常にヌケが良くてクリアな発色で、ピントが合ったところのシャープさも高く、ボケもきれい。
 今頃K-01に興味を持つ人はマニアだけだろうから、この癖玉は「使いこなせ」と伝えて決死擁護しておきます。

今やればもっといいのができるかも

 「Kマウントのままミラーを取り払ったカメラ」というのは、今なら像面位相差AFセンサーもありますし、もっと実用的なモノに仕上げることはできると思います。
 マーク・ニューソンデザインにこだわらなければ、グリップも持ちやすくできるでしょうし。
 AFとグリップがよくなれば、撮影装置としては悪くない。

 とはいえ、この異形のデザインからくる圧倒的存在感がなくなったら、いまいち芸のないカメラになるかもしれませんね。

 あとまあ、リコーイメージングスクエア大阪でK-01の話をすると、営業の方からは「あまりにも売れなくて思い出したくもない」みたいな反応があったりもして、多分社内的にも難しそう。
 買って持ってる人も、投げ売りになって安く買った人ばっかりって。私もそうだったから何もいえない。

 まあ、でも、PENTAXのことだし、K-1 Mark IIベースにミラーレス化しつつ、各所にこだわりのパーツを組み込み、斬新極まるニューデザインに仕上げた「K-01F J-Limited」だとか心底わけのわからないものを突然打ち出してくる可能性もゼロでは……いやまあ、ゼロか。
 しかし、そもそもK-01だって普通に考えたらありえない製品だったんだし。ね。

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