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smc PENTAX-M 28mmF2.8の前期型と後期型

 住之江のオスカードリームでワクチン接種する予定があったんで、ちょっとあたりをスナップしてました。
 ちょっと思うところがあってモノクロ、ISO感度を6400にしてノイズリダクションも切ってザラザラにして、レンズはオールドレンズのsmc PENTAX-M 28mmF2.8。

通りすがった住之江公園横の川

 ところで、smc PENTAX-M 28mmF2.8って、あまり描写の評価が芳しくないレンズでした。
 急激に小型化したMシリーズレンズには、小型化ゆえに設計に無理があるレンズがあったと。

 PENTAXは、1975年夏にKマウントを採用して、M42マウントだったTAKUMARレンズを、一気にsmc PENTAXレンズに切り替えました。(これ便宜上Pシリーズと呼びますね)
 しかしその後すぐ、1976年末ごろに、大幅に小型化したMシリーズボディとともに、小型化したラインナップのMシリーズレンズをリリースします。
 このわずか一年半でのラインナップ刷新は、オリンパスOMシリーズの小型軽量に対抗するためのものだった、というのが通説というかよく聞く話。

 で、もちろん28mmは定番で、M42の頃からあります。
 普及タイプの28mmF3.5は、スーパータクマー(6群7枚)、スーパータクマー後期型とSMCタクマー(7群7枚)、Pレンズ(7群8枚)、Mレンズ(6群6枚)と、きっちり世代ごとにモデルチェンジされています。(A世代ではF3.5はなくなります)
 高級タイプはタクマー時代にはなく、Pレンズから28mmF2(8群9枚)が登場。これはMレンズ(7群8枚)に更新されて、おそらくその構成のままAレンズ化もされました。

 で、その中間の28mmF2.8が、Mレンズ(7群7枚)から登場。
 半絞りしか変わらないF3.5が前からあり、上にもF2があるのに、なぜかF2.8が追加、はて?

 細かく時系列を見ると、1976年にMシリーズレンズが登場したとき、初期ラインナップにあったのはM 28mmF2.8の方だったようです。
 これはわずか155gの軽量レンズ。Pの28mmF3.5が261gあったので、確かに大きく軽量化されています。
 ところが、翌1977年になって、M28mmF3.5が追加されてます。これはレンズ構成もP 28mmF3.5とは違う新設計で流用ではない。しかし重量は180gとF2.8より少し重く、全長もF2.8が31mmのところ、F3.5が36mm。暗いのにわずかながら大きく重くなっている。

 以上、中村文夫『使うペンタックス』からの情報でした。

 Kマウントを始めて28mmF2とF3.5をラインナップしたけど、一年半でいきなり小型化するぞと方針転換、慌てて作った小型の28mmF2.8。
 しかし「写りが悪いぞ」と文句が出て、やっぱりF3.5で作り直してリリースした……というような流れがありそうに見えますね。見えるだけですが。

28mmF2.8後期型

 で。
 そんな28mmF2.8には、前期型と後期型があると。

 後期型は、どうもネット情報では、1982年に電子接点つきのAシリーズレンズが現れてから、Aの28mmF2.8のレンズ構成を流用して、旧機種向けあるいは廉価版としてsmc PENTAX-M 28mmF2.8後期型ができた、という話。

 なんだけれども……どこで見分けるんだろう?
 画像検索をしてみても、どうも全く同じ見た目のものばかり。どれが後期型……? そして私の手元にあるM28mmF2.8も、検索して出てくる画像と同じものです。

 で、よく調べると。
 海外のPENTAX Forumには後期型の記載があり、レンズ構成7群7枚・外形寸法・最短撮影距離も絞り羽も最小絞りも同じ。82~84年あたりの発売で、重量は155g→170gになっています。また、「Aシリーズと同じレンズ構成で、銀のリングがない」と注記があります。
 こちらの日本語サイトだと、「後期型は全長37mmになっている」と。また、レンズ前面の銘板にシリアルナンバーが入っているのが前期型だという説を紹介しつつ、シリアルがない個体を見たことがないとも。
 しかしさらに検索すると、銘板にシリアルが入ってないsmc PENTAX-M 28mmF2.8の写真を掲載している記事も見つかった。こちらの外観は確かに、PENTAX Forumの「銀のリングがない」という記述に一致。
 よく見ると、PENTAX Forumにある3枚目の写真が後期型っぽい。ピントリング先端に銀の輪がなく、銘板にシリアルもないですね。

 で、A 28mmF2.8と、M前期型28mmF2.8を並べている記事がありますが、 全長も見てわかりそうなくらい違うし、前玉もだいぶ違いますね。M前期型はけっこう奥目になってますけど、Aはやや出目気味です。
 見た目で見分けられないとは思えないので、おそらく「ネット検索で見つかるものはほとんど前期型、後期型はレア」と見られます。

 しかし、なんで後期型が現れたんだろう?
 Aレンズを流用した後期型Mレンズとなると、発売したのは1983年以降かな。あるいは、先にMレンズをリニューアルしてから、すぐAシリーズの展開が始まった、という順番なのかな。
 いずれにせよ、たくさん売れるとは考えづらい。
 PENTAX Forumで見る限り、Mレンズに後期型があるのは28mmF2.8だけみたいなので、特にこのレンズだけリニューアルする理由があった?


APS-Cで写りが悪い……?

 でまあ、ようやく私のM28mmF2.8は前期型だとわかったんですが、これはあんまり写りが良くない……といわれてますが。

 今日の写真は、意図的にISO6400にしてノイズリダクションも切ってる、当然F8やF11に絞りっぱなし、なんて変な使い方してるので、レンズ自体の写りはあんまりわかんない。
 厳しい人に言わせれば、APS-CにF8でも遠景だと周辺がダメなレンズらしいですが。

 絞ればこれくらい写ってるんで、まあ十分じゃないかなあ。開放近いとわかりませんが、遠景はどんなレンズだって難しいから絞りますし。APS-Cなら十分じゃない?

 あとは今回撮ったのをずらずらと。




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