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書評:ケーキの切れない非行少年たち

ケーキの切れない非行少年たち
著者:宮口幸治
出版:新潮社

最近漫画版が話題の本書、そういえば読んだことなかったなと思い。
漫画版に比べてそれぞれの人にフォーカスという感じではなく、著者の診療の分析結果をまとめてる、といった感じ。

認知行動療法は「認知機能という能力に問題がないこと」を前提に考えられた手法です。なるほど、たしかに。それ以前の場合もあるのか、というかそんな感じなのか、としみじみ。

行われているプログラムと、本当に効果のある求められているものが乖離している、適切なIQテスト出ない結果ボーダーをすり抜けてしまって正しい治療を受けられないなど、色々問題があると同時に、適切な教育で、ものすごく改善効果が得られるのもびっくり。

マイナスを0、さらにプラスにすると得られる効果が大きいんだなと実感。とともに、加害者の先にある被害者が減ることも切実に望みます。

それでは!

問題なのは自尊感情が低いことではなく、自尊感情が実情と乖離していることにあります。何もできないのにえらく自信をもっている。逆に何でもできるのに全然自信がもてない。要は、等身大の自分を分かっていないことから問題が生じるのです。
 犯罪者を納税者に現在、刑務所にいる受刑者を一人養うのに、施設運営費や人件費を含め年間約300万円かかるという試算があります。しかも、彼らが「被害者を作っている」ケースも多いのです。もしその受刑者の中の一人でも健全な納税者に変えられたなら、大きな経済効果があります。平均的な勤労者の場合、消費税なども考慮すると、大雑把に計算して一人当たり年間100万円程度は何らかの形で税金を納めていますので、一人の受刑者を納税者に変えればおよそ400万円の経済効果になります。刑事施設の収容人員は平成29年末では5万6000人でしたので、逆に単純計算でも年間2240億円の損失です。これには被害者の損失額は入っていません。財産犯だけでも、およそ2000億円の被害額とされています。これに殺人や傷害、性的暴行などの被害額を併せると、年間の犯罪者による損害額は年間5000億円を下らないはずです。いかに犯罪者を減らすことが日本の国力を上げるために重要か、お分かり頂けるかと思います。

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