自分

抱き枕
今年還暦を迎えた妻と、最後の50代を満喫している自分は、シングルベッドをくっ付けてそれぞれの布団で寝ている。
夜は。

朝になると、私の掛け布団はベッドの下に落ち、妻は私のベッドで寝ており、私はかろうじてマイベッドの片隅に追いやられて2人で妻の掛け布団にくるまって寝ている。

どういう経緯でこうなってるのか記憶に無い。

元々若い頃は、ダブルベッドで仲良く寝ていたのだが、仕事の関係で時間が不規則になり、なかなか寝付けないというこじつけで、私がお酒を飲むようになってから、お酒の匂いが嫌だという事で別々に寝るようになったのだが、朝方どういう訳かシングルに2人で寝ている。

しかし昨晩、理由の一つが判明した。
夜中、どうも息苦しくて目が覚めたら、妻の長い脚が私の腹に、腕は胸のあたりに乗っかって、ちょうど私が抱き枕のような状態になっていた。
これは苦しい。
抱き枕達も普段こんな苦しい思いしていたのかと思いつつ、なんとかしなければ次の日に影響する。
かと言って、急に動けば妻が起きてしまう。
せっかく気持ちよく寝ているのに、起こされるのは誰でも非常に不愉快になる。

そこで、気付かれないように1mmずつ寝返りを試みる事にした。
少しずつ少しずつ身体をずらしていく、、。
そうしたら、妻の足が私の股に入ってきて、完全に決められた体制になってしまった。
もう動けない。
しかもグーグー耳元でイビキをかいている。

自分の大事な人が気持ちよく寝れてるんであれば、まぁいいかと思い。
無駄な抵抗は諦めて、いろいろな事を思い浮かべる事にした。

そういえば妻が小さい頃、冷え性で父親と一緒の布団で寝て、父親の脚の間に足を入れてあっためてもらったとか言ってたなぁ。
亡くなった父親を無意識に想い、小さい頃からの習慣でこうなってるのかなぁとか。

誰かの幸せの陰で、誰かが辛い思いしてるのってこういう事なのかなぁとか。

もしかして、自分もそういう思いさせてる人いるんじゃないかとか、自問自答してあれこれ考えてたら、知らぬ間に寝ついて朝になっていた。
そしていつもの通り、私の掛け布団は何故か下に落ち、妻は私のベッドで、私は隅っこに。
寝てる間、妻の決め技から逃れようと必死にベッドギリギリに逃げ込んだのだろう。

あとどれくらい2人でこういう朝を迎えれるか分からないが、一日一日を大事に幸せに感じて生きていこうと思う自分であった。

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