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ブックカバーが選べた本屋はTSUTAYAに買収されたのか

電子書籍でも本便利に読める昨今。
私は断然紙で読む派なのだ。
Kindleでしか読めない書籍はもちろんタブレットで読むのだけれど、無意識に瞬きの回数を減らしてブルーライトを受け入れ続けることに不必要な疲労感を感じてしまう。

まだガラケーだった頃から地元にある小さなショッピングモールの中にある本屋さんによく通っている。
品揃えはもちろん、陳列の仕方が絶妙で、平置きしてある文庫本のセンスも良い。棚と棚との間に十分なスペースがあるのも良い。匂いがまた良い。
その本屋さんの1番のお気に入りは、ブックカバーのデザインを選ばせてくれたこと(写真参照)
一時期は、デザインを一般募集してたこともあり、定期的に新しいデザインに変わるため、少し足を伸ばしてでもその本屋さんで必ず本を買う事を楽しみにしていた。

何年前だったか記憶が定かではないのだけど、いきなりデザインされたブックカバーのサービスが廃止になり、屋号入りの紙カバーか透明フィルムのどちらかしか選べなくなってしまったのだ。そして本屋さんはあっさりとTSUTAYAに買収されてしまった。無念…。

それでも救いだったのは、店自体があの陳列のまま残っている事。場所も匂いも客数もそのまんま。客側からすると本屋がTSUTAYAに名前が変わっただけのようだ。

ある日、その本屋さんで文庫本を一冊買った時のこと。
「ブックカバーおつけしますか?」
「お願いします」
「紙のカバーと透明フィルムとどちらかにいたしますか?」
「えーっと、紙で」
言った途端にしまった、と思った。
紙のカバーにすると、本棚にしまった時にタイトルが隠れてしまうため、探したり整理したりするのが億劫になるのだ。
「やっぱり透明フィルムに変えてください」となんとな言い出せなくて勝手に気まずさを感じ、なんとなくカバーを被せている様子に目をやる。
店員さんの細い指はテキパキと手慣れた様子でカバーをつけてくれるのだけど、その手つきがなんだかブランド物の商品を梱包するかのように大切に丁寧に取り扱ってくれている。そして最後にそっと本の両側に指を添えて、まるで小さな儀式を終えたかのようにカバーの装着を完了した。それが私の都合のいい思い込みなのかもしれないのだけれど、私はその日とても気分が良かった。スキップしそうな脚を堪えながら帰ったのを今でも覚えている(店員さんの名前は忘れちゃったのだけれど)

最近でも、電話でお裁縫の本の取り寄せをしてもらった際にこちらが手間のかかる事をさせてしまったにも関わらず、とても丁寧な対応をしていただいた事があった。入荷した知らせを後日受けたので、本を取りに行き、レジに並んだ。
「お次の方どうぞー」と7個くらいあるレジから開いたレジに呼ばれて行くと
「あぁ!この本ですね!ご注文の対応させていただいたの私なんです」と女性店員さんが少し恥ずかしそうに教えてくれた。
いくつか会話を交わし、会計を済ませると笑顔で見送ってくれた。その日もとても気分がよくて、やっぱりスキップしそうになった(その店員さんの名前も忘れちゃったのだけど)

本屋の店員さんが皆、本好きとは限らないだろう。だけど、あの本屋には本好きの人たちが働いていると勝手に思い込んでいて個人的にプチ聖地にしている。

未練がましいけど、ブックカバーのデザインが選べなくなった事はまだ根に持ってるけどね😒

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