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汚いBBAをみると羅生門を思い出す

ここは地元の城跡で敷地内に神社があるからお参りをして帰る。
冷やかしでくる若者だとか、順番を待てずに賽銭を後ろから投げてくる輩だとか今日は出くわさずに済んだのだけれど。
これらの写真を撮っていたら
「何で自分の写真なんて撮ってるのー?普通は景色撮るもんだろうがー。意味わかんなーい」と大きな声が聞こえてきた。
振り返ると、歯茎から濁った色の歯が数本生えた汚らしいババアと目が合った。どうやら私が自撮りをしていると勘違いしてるらしい。ババアは早足で私を通り過ぎて、もう一度振り返り私を見て、首を傾げて去っていった。
肌がシミだらけであさ黒く、歩きにくそうに内側を向いた膝をヨタヨタと動かし、靴底をズリながら逃げるように小石を蹴散らせている。近づいたら発酵したような匂いのしそうなババアを見ると どうしても羅生門を連想してしまう。
しかしあの歳になるまで赤の他人にまで目を向けて気に食わない事を見つけて不満を吐き出し続ける人間って。生涯不満を食べ続けて不満を吐き出し続けて何が楽しいのかと心の中で嘲笑ってしまった。

少なからず嫌な思いをした事を家に持ち帰りたくなくて車を止めた図書館に寄ってみる。
特に借りたい本はないのだけれど、星野源を読んでみようと検索機を探索したところほとんどが貸し出し中で、一冊「利用可」になっている本を
見つけてレシートに印刷して30−40番の棚へ探しに行った。
およ、ない。星野源が一冊もない。
カウンターで職員さんに聞いてみると「棚にあるはずなので私が探しに行ってみます」と探しに行ってくれた。彼女は透き通るような白い肌をしていて、ショートカットがよく似合っている。くせ毛を生かしたそのヘアスタイルがまた良い。
戻ってきた職員さんは「本が棚になかったので、返却直後かも…あ!今貸し出し中になってしまいました!他の方が今借りられたみたいですね!お待たせしたのに申し訳ないです!」と深々と頭を下げられた。
余計な仕事を増やしてしまった事が申し訳なくなり「こちらこそお手数おかけしました」と恐縮しながら帰ってきた。

ちょっと外に出かけただけ、例えばスーパーとか散歩だとか城跡だとかでも嫌な人間に出くわしたり心の綺麗な人に気分よくさせられたりする。(水色のランドセルの少女だとか)

どんな人間を見ていても面白いのが、内面が人相や外見に表れているところ。
こういったささやかな場面での人間観察は気分を害すよりも執筆の肥やしにしてやろうと心掛けるようにしている。自分の機嫌は自分でとる。うん、そういう事。

しかし、星野源てそんな人気あるのかー。

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