見出し画像

組踊フェイスパックの開発ストーリーをつづる #01

舞台に立つ瞬間が好きなのではない、伝統芸能と触れている時間そのものが好きなんだ

沖縄に住んで7年。やっと沖縄の"お"がわかったようでわかっていない…。地元から遠く離れた場所での暮らしは毎日が新鮮で楽しく、毎日が不安でいっぱい。けれど、そんな日々は「人は誰かに支えられて生きているんだ」ということを改めで実感させてくれました。

自分が幸せなんだと芸能が教えてくれる、だからこそ舞台に取り組む過程が好きで、芸能が大好きです。

昨今のコロナ禍では、伝統芸能界隈も多くの舞台やイベントが中止。活動は行き場を失い、芸能を生業にする人は「 スケジュール帳が真っ白になった 」といっていました。

これから先も芸能をつづけていけるのか、生業とすべきか何度も考えました。しかし、舞台活動に取り組めない日々で、明確に気づいたことがあります。

それは「舞台にでている時間が好きなんじゃない、伝統芸能と触れている時間が好きなんだ」ということ。

組踊 化粧

舞台に出るまでの時間、出た後の「がんばったね」と応援してくれた人の言葉、次の舞台に向けて稽古する時間、舞台袖で手伝いをする時間…とにかく伝統と触れているだけでも楽しい…。

そんな時、「 舞台で演じるほかに、私たち役者ができること 」「 琉球舞踊や組踊に取り組むからこそ、発信できること 」とはなんだろう?と考え、浮かんだのが化粧でした。

強い照明や激しい動きに負けない白粉を用いた厚塗り化粧を頻繁に行う。化粧は、琉球舞踊家にとって切っても切り離せない存在。一生隣り合わせなものです。

何より、琉球舞踊家は皆、若々しい。周りを見渡すとみんな本当にきれい。芸術に触れるその心が生き生きとしているといえば納得。しかし、舞台の日々=白塗り化粧の日々。ありとあらゆる化粧品を顔に塗るわけです。

アトピー性皮膚炎の僕は、肌に白粉が残れば、とてつもなく乾燥して痒くなる→引っ掻く→赤くなる→上から白粉。正直…苦しい日々…

そんな時、先輩舞踊家に勧められたのがびんつけ油でした。そして、その化粧下地の主成分は琉球が大きくかかわっていたのです。

next


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?