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デジタル造形でフィギュアを作れるようになるまで

最近デジタル造形でフィギュアを作ってみたんですが、どうやって作り方を勉強したの?と質問を受けたので記事にまとめてみました。

この記事で扱うデジタル造形とは、パソコンで3Dモデルを作って、3Dプリンターで出力してフィギュア等を制作することをいいます。

そんなデジタル造形という手法で、私が今回作ったのは、ヘッダーの写真のような、シンプルなデフォルメキャラのフィギュアです。
簡単そうに見えますが、作れるようになるまですごく苦労しました…。

デジタル造形でフィギュアを作れるようになった経緯を、時系列で紹介します。

〜2018年 アナログ造形でフィギュアを作る

デジタル造形を勉強する前は、パテをこねてアナログな手法でフィギュアを作ってました。
造形あまり上手くない自覚があるんですが、フルスクラッチでフィギュアを作ってワンフェスにディーラー参加する程度にはやり込んでましたね。当時の写真を引っ張り出してきました。

アナログ造形で作っていたフィギュア

デジタル造形でも、3Dプリンターで出力した後に、手作業で表面処理をしたり塗装したりするので、アナログ作業のスキルが必要です。

光造形方式の3Dプリンターで出力する場合は、レジン製のパーツを扱うことになるので、ガレージキット(レジン製の組み立てキット)の組み立て方の本が参考になります。

私が過去に参考にしたのはこちらの本です。


2018年 Zbrushの勉強をするが挫折

デジタル造形をする人が徐々に増えてきてなんとなく焦りを感じ、3Dモデルを作る方法を調べ始めます。
粘土をこねるような感覚で造形できるZbrushというソフトがあることを知り、さっそくライセンスを買いました。

いきなりフルバージョンのZbrushに10万課金する勇気がなく、機能制限版のZbrush Coreを2万円で購入しました。今はサブスク版があるので、最初からフルバージョンでもいいかも。
ちなみに私は今も機能制限版を使ってまして、そろそろフルバージョンに切り替えるか検討中です。

Zbrushの参考書を買ってそれを見ながら操作してみたものの…わからん!!!!となり数日で挫折しました。
挫折した原因は、いくつかあるんですが…特に難しいと思ったのは以下の点です。

①3Dモデルの形状の把握が難しい
パソコンのモニターごしに立体物の形状を把握するのは想像以上に難しいです。
アナログ造形だと物を手に取って簡単に視点変更できるのが、デジタルだと視点変更の操作をいちいちしないといけないのがもどかしい…。
しかもZbrushは視点変更の操作に癖があって最初はかなり戸惑いました。

②Zbrushでできることの全体像が分からない
Zbrushは機能制限版でも沢山のツールがあって、このソフトで何ができるのか全体像を把握するのに時間がかかります。ソフトの機能を理解してないと、作りたい形にたどり着く方法が分からなくて詰むわけです…。

2021年 Blenderの勉強をするが挫折

Zbrushを挫折してから数年の月日が経ち、今度はBlenderという3D CGソフトを触ってみようと思い立ちました。きっかけはよく覚えてません。
Blenderは無料で使えるソフトでして、モデリングからレンダリング、アニメーションまでマジで色々なことができます。フィギュアみたいな3Dモデルももちろん作れます。

YouTubeにチュートリアル動画を上げている方が沢山いらっしゃって、そういった動画で使い方を勉強しました。
動画だとひとつひとつの操作は理解しやすくてよかったんですが、視聴に時間がかかるのが難点です。Blenderもまた機能がめちゃくちゃ多くて、結局ソフトを使いこなせるようになる前に、モチベーションを保てず、数週間で挫折しました…。

2022年4月 3Dプリンターを購入

モデリングできないにもかかわらず3Dプリンターが欲しくなり買ってしまいました。
さっそく3Dプリンターを使ってみたくて、埃をかぶっていたZbrushを起動し、簡単なモデルを作って出力してみました。

その時の様子を動画にしてるので、よかったらご覧ください。

出力テストのための簡単なモデルでしたが、モデリング〜出力まで一通りの操作をしたのがよかったように思います。達成感を感じてモデリングを勉強するモチベーションが爆上がりしました。

2022年5月 3Dマウスを購入

私がZbrushを使ってて特にもどかしく感じるのは視点変更の操作でして、どうにか快適にできないものかとググりまくりました。
3Dマウスという視点変更操作のためだけのニッチなデバイスがあることを知り、買ってみました。

これが結構高くて2万くらいします。でも課金の甲斐あって、視点変更のめんどくささがかなり軽減しました。
モデリング作業中、数えきれないくらい視点変更するので、この操作が嫌で挫折した人は3Dマウスおすすめですよ。

操作が快適になってさらにモチベーションが上がり、毎日YouTubeの動画を見てZbrushの操作を勉強していました。

特に福井信明氏の動画と書籍には大変お世話になりました。初心者の気持ちに寄り添った言葉で説明してくださって非常にわかりやすいです。

2018年にZbrushを挫折した原因のひとつに、ソフトの機能への理解不足があったので、基本操作・機能の勉強に時間をかけました。

こちらの再生リストにまとめられている福井氏の動画をみると、Zbrushの基本操作をひと通り理解できます。

ウチヤマ リュウタ氏の本も、フィギュア作りの流れを理解するのにおすすめです。
上で紹介した福井氏の本より難易度は高め&フルバージョンのZbrushの機能を使います。

毎日ちょっとずつ動画や本をみてインプットしつつ、何個か簡単なモデルを作って3Dプリンターで出力して遊んでいました。
その時に作ったものの写真です。

ぬいぐるみ用のローラースケート

Blenderも1年ぶりに起動してモデリングしました。

Blenderでモデリングしたミニチュアペンライト

途中でBlenderをかじったことも無駄じゃなかったと思います。機械や武器のような、かっちりした形の物をモデリングする時はZbrushよりBlenderの方がやりやすいので、ソフトを使い分けられると捗ります。

2022年6月 ついにデジタル造形でフィギュアを作る

1か月ほど勉強を続けて、そろそろフィギュアを作れるのでは!?という気になり、ついに冒頭の画像のフィギュアを作り始めました。

途中過程をツイッターに載せているのでよかったらご覧ください。

3DモデルはZbrushメインで、槍とか細々とした小物類はBlenderでモデリングしました。

作った3Dモデル

モデリングにかかった時間は実質5日間くらいです。慣れてる人だったら半分以下の時間で作れると思います。このスピードがデジタル造形の最大のメリットですよね。

3Dプリンターで出力して、2日かけて塗装しました。達成感!!!

できたー!!!


以上!デジタル造形でフィギュアを作れるようになるまでの記録でした。

過去に2回挫折してどうにか今回完成までたどり着けたわけですが、一番の転機は3Dプリンターを買ったことですね。簡単なモデルでも出力までできるとめちゃくちゃ嬉しくて、勉強のモチベーションが上がります。

教材は書籍と動画どっちがおすすめかという話は、私は両方使うことをおすすめします。
動画の方が視覚的に理解しやすくてとっつきやすいですが、体系的に全体像を掴みたい時は書籍が便利です。

あとはデジタル造形に限った話じゃないですが、いきなり難しいことをしようとしないのも大事ですね。簡単ですぐに完成するものからチャレンジすると挫折しにくいと思います。
私も次はデフォルメじゃないフィギュアに挑戦したいな。

この記事はこれでおしまいです。最後までご覧いただきありがとうございました!
誰かのやる気の起爆剤になりましたらうれしいです!