スモーキークォーツに惹かれる《エッセイ》
石付きのブレスレットを買ったら宝くじが当たりました!とか、そういう類は信じていない。スピリチュアルは半分信じて半分信じないくらいがちょうどいい。
だけどチラッと心のお守り代わりに、石にハマったことがある。
コロナで仕事だけの日々。
仕事に行く分の感染の可能性は許されて、友達と会うとかプライベートでの感染の可能性は悪、とされるのが、何のために生きてるのかちょっと分からなくなって苦手だった。
そんなこと言ってられない程大変だった人もいるのも知っている。みんなしんどい時期だった。
母親もちょっと疲れていた。祖母が体調を崩した矢先、何が起こるか分からないウイルスまで流行ったから、ちょっとおかしくなっていた。そんな家族を見る私もちょっと疲れていた。仕事もしんどかった。
しばらくして外出してもOKな雰囲気になった。
暮らし慣れた田舎には非現実を感じられる場所があまりない。県外にはまだ行けない。本屋でブラブラするのがブームになった。開いたページで目にとまったのはスモーキークォーツだった。綺麗。
和名は煙水晶。
煙がかった茶色、薄い黒、光を反射した部分はシャンパンゴールドみたいな色で、全体が完璧にキラキラしてない石。そこがすごく好きになった。キラキラしすぎない所が見ていて落ち着くし、光に当てると見えてくる色もすごく好みだった。
週末にショッピングモールを回って、ようやく見つけた。通販でも買えるけど、服も石も、見て決めたい。理想のとれたて!みたいな形のものには出会えなかったから、丸い、占いに使えそうな形のスモーキークォーツを買った。種類によって意外と石ってそんなに高くない。
それからはしばらく枕元に置いてみたり、お手入れ方法を調べてこっそり月光浴させてみたりした。石を飼ってるみたいでちょっと面白かった。小学生の時流行ったおまじないを思い出す。
あれからいろいろ変わったけど、
外の空気を吸って生活できるようになった。
スモーキークォーツも、今は定位置に落ち着いている。専用の台座に置くと何だか仰々しい感じがして私の部屋にはマッチしなさそうなので、ハンドメイドマーケットで買ったガラス瓶の窪みに蓋みたいにはめている。
好きなアーティストがたまに付ける、ターコイズのネックレスも、何かを守ったり、そんなことも無かったりするのかなとふと考える。
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