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目覚めの白昼夢 2022/08/09

夢見た世界は幻想か。
ただの脳内で作りだした新たな空想か。
微睡みの中で見た、真っ暗な世界こそが真相か。

転寝をする椅子の上、脳内では同じ世界をループして再生している。
今日こそ、戻れるのかな。
そんな思いに心を寄せて。

夢の中でだけ訪れるカフェの中、顔の見えないマスターが差し出すのは透明なハーブティー、のようなもの。
鼻をすりぬけるのは、あの日の花の匂い。
思い出の中で浸った、あの花束の……、
飲んでも味はしない。ここは夢だから、細かいところまで再現できないのだろう。

店を出た時にだけ鳴る、カランカラン…という音。
そんな音とともに目を覚ます。

目覚めの場所はどこだろう。
毎日眠れない夜に作業を続けた自室の机の上なのか、
眠れない夜に足掻いてでも寝ようとしたあの布団の上なのか。
それとも、別の場所か。

花瓶を見つめる。
花はまだあの日の形を留めたまま。
あの日の受け取ったままの花束の形……。
朝日の昇る世界、その世界と同じように目を覚ます。
あの花が無くならないように、また紙に花を描いた。

…そんな、
夢見た世界は幻想か。

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