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夢の覚める瞬間 2022/08/07

割れた硝子、それは夢の覚める瞬間。
色付いた水、昨日はいい匂いが鼻をすりぬけたのだろう?
なぜ今は、鼻を塞ぎたくなるような匂いなんだい?
夢を見て、まだその夢にいる気分になる。
夢が覚めて、現実の自分の生存本能による欲達に気附くが放っておく。

目の前にある即席インスタント。
まだそれ2分も経ってないよ。
あと数分は待たないとまともに食べられないよ。
目の前に立てかけた本を眺めながら不健康を漂わせる匂いに空腹を加速させる。

耳から流される音声。
いつも聞いてるのになんで飽きてないの?
まだその動画更新されてないよ。
今日は諦めたらどう。
そんな思考を放り投げて眠りに落ちた。

机に立てかけたカレンダー。
もう8月も始まってしまったんだな。
あと4ヶ月でこの1年も終わるんだな。
でも己は何も変われてない。
自分は何も変われてない。
絶望、嫌悪、妬み、優れた貴方への敗北感。ねぇ、そんなんでお前の心は満たされたのかい?

真っ黒に濁って割れた自分の心。あの時割れた硝子のようだね。
そのガラスに鏡のように写った自分の顔はどんな顔だった?
そんな濁った毒った考えを全て消毒してまた新しく生きようとする。
そんなこと出来ないくせに。
そんなこと出来ないくせに。
そんなこと……

はっと目が開く。
ねえ、今日の天気はどうなの。
そんなの天気予報のアプリで確認してよ。
窓なんて近くにないんだよ。
さっき雨が降ってたよ。結構降ってそうだったよ。
なら外に出たら水溜まりがあるんだろうか。
水溜まり覗いたら自分がいる。
向こうの自分は何してんの?
知らないよそんなの。
夢の内容も、知らないんだね。

そうやって知らず知らずに夢は覚めている。

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