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再演 2022/11/12

蝉が鳴かなくなった朝、寒気を帯びた風が皮膚を通り過ぎては寒気を感じる朝。
昼とも言える時間に友人とくだらない話で駄弁ると有限の時間が過ぎ去りゆく。
ああ、落陽の時が早まってきたなあ。
あの暑さでどうにかなりそうだった夏が、もう終わってしまった。
そんな時に、その先の季節へと足を進める。

鱗雲が空を覆う、隙間からみえる空はあの夏より透き通っている。
色褪せて、まるで記憶を振り返る回想シーンのように、どこか見た事があるのだろう。
誰も見た事がない、未知の景色でも。
何故だか分からずとも、懐かしい気持ちになれる。

過去の日々でも過ごした世界。
過去の自分は何を考えて過ごした?
きっと、未来がこんなことになるなんて思っていなかっただろうに。
それは果たして幸福なのか、不幸なのか。
結果は傍観者の個人の思考で決まるのだろう。

過去と同じ日々。
でも違う。
日付だけが同じな舞台へと再びあがる。
霞んだ景色が思い出せなくとも。
まだ、もう少しだけでいいから、人々と笑いあっていたかったんだ。
髪型も、性格も、口調も、思考も、何もかもが生まれ変わっても。
また日付のある舞台にあがって脚本の無い演技を演じるのだ。

ああ、未来の自分も日付のある日々を演じるのだ。
その時は、どんな髪型に、どんな性格に、どんな口調に、どんな思考に。
どんな自分へと、生まれ変わるのだろう。
その時は、素直に笑えますように。
本当に、自分を愛せるように。

どうか、また会えたなら。

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