インク //211008四行小説
万年筆に入れるインクに悩み始めて十分が経つ。濃いめの色を入れようとは思っているのだが、ワインレッド、セイルブルー、エメラルド……どの色にするか中々決まらない。
それもそのはず、別に万年筆を使う用事がないからである。書くものが決まっていれば用途によって色も決められるのに、何も決まってないのである。手帳に予定を書くか、少し勉強するか━━とはいえやることは作れるので、インクを入れた後のことは入れた後に考えればいい。
綺麗なインク瓶を並べ、手にとって光に透かせ、紙に置いたときの色を想像する。楽しくて充実した時間だから、まだもう少し悩む予定だ。
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