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四行小説

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だいたい四行の小説。起承転結で四行だが、大幅に前後するから掌編小説ともいう。 季節についての覚え書きと日記もどきみたいなもの。
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#犬

犬に毛布を借りた話 //211229四行小説

 あまりの寒さに犬の毛布を借りた。こたつは出していないし羽織るものは近くにないしまだ部屋も暖まっておらず、暖を取れそうなものがその毛布しかなかったのだ。比較的新しく冬物で元々は人用に販売されているものだから、問題なく使えるはずだ。
 一応犬に一言言って、借りることにする。犬は他のもふもふした場所にいて今は使っていないので大丈夫。一瞥するだけで顔を背けたから、了承も取れたはずだ。
 そろりと毛布を拝

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冬もふ //211109四行小説

 丸い形でふわふわで、少し前まであったくびれも無くなっている。犬。さてはお前、冬の到来でも告げるつもりか。
 無くなったくびれ辺りを触り、厚くなった毛皮を手のひら全体で堪能する。顔を埋めたい衝動に駆られながら。

膝のイヌ //211102四行小説

 膝が暖かくてついうとうとと船を漕ぐ。膝上には愛すべき犬がいて、そいつも寝ているものだから余計に眠たくなってくる。
 平均体温38度を超えている犬は、人間が高熱でも出していない限りはいつも暖かい。
 カイロよりも、ゆたんぽよりも、何よりも優しく眠りを誘う暖かさに抗えるわけもなく━━