#馬
翼のない馬 //211226四行小説
悠然と野を駆ける馬に翼がないことを誰が嘆こうか。彼らは存在が既に神秘的であり、一挙一動一投足全てにおいて洗練されて美しい。しなやかに鍛えられた筋肉は収縮と弛緩を繰り返し、足をバネにして驚異的な速度を出す。その足が翼に劣るわけがない。目まぐるしく変わる風景の先には明確な目的地があり、誰よりも早く達するには芝を踏みしめ進むしかないのだ。
秋の馬 //210926四行小説
馬に季節なんて無いけれど、敢えて言うなら秋が似合うと思う。
白い桜を咲かせた馬も良かったけれど、きっと彼女は銀木犀も咲かせられるに違いない。
飛越する馬も格好よかった。地を駆けて前肢をぐっと踏み切り軽やかに障害物を飛び越えていく。少し冷えた空気の中を全力で駆け抜けていくのはどんなに気持ち良いだろうか。
せめて安らかに夢の中でも駆けて欲しい、と切に願っている。