翼のない馬 //211226四行小説

 悠然と野を駆ける馬に翼がないことを誰が嘆こうか。彼らは存在が既に神秘的であり、一挙一動一投足全てにおいて洗練されて美しい。しなやかに鍛えられた筋肉は収縮と弛緩を繰り返し、足をバネにして驚異的な速度を出す。その足が翼に劣るわけがない。目まぐるしく変わる風景の先には明確な目的地があり、誰よりも早く達するには芝を踏みしめ進むしかないのだ。

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