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東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』

いわゆる、「謎ディ」。
昔読んだ気もするし、読んでいない気もする。ドラマは見ていたのでその印象が強い、強すぎる。頭の中で北川景子お嬢様と櫻井翔執事が舞っている。

しばらくの間図書館に本を借りに行けていなかったので、久しぶりにKindleで本を読む。麗子お嬢様のように「ど、れ、に、し、よ、う、か、な」で決められたわけではないが、私はミステリーが好きなようだ。人がバンバン死ぬ代償に、サクサクっと話が展開していくからだろう。短編小説が好きなのはきっとこの根っからの飽き性に由来するものだろうし、高校生の青春ラブストーリーを読むと胸がむずむずしてくる。

この本は、いつも読むミステリーと比べても、かなり、かなり読みやすい。いわゆる事件の謎解き編でぷつりとその話が終わり、その後犯人がどうしたとか、その推理が正しかったのか否かとか、そういうのは一切なく、こうじゃないか?きっとこうに違いない!で次の話へ進んでいく。いま並行して読んでいるミステリーシリーズは他に2つあり、森博嗣のS&Mシリーズと、澤村御影の高槻深町シリーズだが、そのどちらとも違う。森博嗣は1冊を通して1つの事件と向き合うので、どちらかというと複数の事例を扱う澤村御影のものに近いかもしれない。道中のあれこれや事件に関わりのない部分で一貫している謎があるので並行して謎解きをしている感じ。それでも、謎ディは「それ以外」の部分がかなり省かれているように思う、故に、本当にサクサク読み終わる。森博嗣よりも澤村御影のほうが圧倒的に読書スピードが速い気がするのは、その話の展開の速さかも知れないと思うなどした。そして私はきっと後者の作品を好む傾向がある。

などと考えながら、スーパーで袋に商品を詰めていると「ちょっとごめんね〜」と言いながら、隣の台で袋詰めをしていたご婦人が私の台の透明のしゃりしゃりしたあのビニール袋を数枚とっていく。彼女は「こっちの袋の方が大きいのよ。お肉なんかを入れるときには、こっちじゃないとね」と言っていた。なるほど。熟練の方の知恵はすごい、と思いながら、しゃりしゃり袋に買ったばかりの小さな葡萄をいれた。

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