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執念で抗え テゲバジャーロ宮崎🆚松本山雅FC マッチプレビュー

前節、勝ち点を取っていれば昇格圏の2位に浮上することができたが4失点で敗戦。またもチャンスを逃して残り2戦。かなり現実的に厳しい状況だが、とにかく残り2戦勝たないと何も始まらない。ここで迎える上位キラー宮崎。勢いに乗る超難敵だ。ただ、勝つしかない。とにかく勝つ。それだけだ。脚が攣っても、這いつくばってでも勝つ。執念で抗え。

予想スタメン

宮崎は6戦無敗の2連勝中。しかも、司令塔の千布を欠く中で2連勝している。その6戦無敗には上位のいわき、鹿児島を相手にしての勝利。藤枝との引き分けも含まれる。まさしく上位キラー。そのためメンバーは変えるがないだろう。通算で対山雅で3得点の岡田。練習試合でも得点を挙げたことがたりまさしく山雅キラー。この男が怪我から復帰。ただ、左サイドの関係性もよく、北村も好調。途中からの出番となるか。怖い選手だらけだが、後半戦調子を上げている橋本。体格を生かした力強いプレーと巧妙な動き出し。要注意だ。

今節はパワーを出すため、ルカオのスタメン起用が有力。不調の小松は、前節中山が良かったこともありメンバー外とした。無駄なファールやセットプレー、スローインといったところからの失点はあってはならない。守備をもう一度見直し、宮崎の攻撃を耐え凌ぎたい。ジョーカーの田中パウロ淳一にかかる期待は大きい。

試合展望

この試合を簡単に言うと、組織の宮崎と個の山雅となる。宮崎はポゼッション主体のチームだ。宮崎の組織力はJ3でもトップクラス。ビルドアップはJ3ナンバーワンというのは間違いないだろう。
その宮崎のビルドアップを少し解説してみる。

わかりやすいように少し極端に表現しているが、ざっくり↑の上の図のイメージ。まず、ツーセンターバックはペナルティーエリアの幅ぐらい距離をとる。サイドバックもかなり開く。このときにオレンジの線で示したように選択肢がそれぞれのサイドで2つ。ありがちなのが他のチームでキーパーからサイドバックまでが1直線上になってしまい選択肢が減ってしまうこと。宮崎にはこれがない。そして、サイドバックとサイドハーフの関係性。この図だと表現しきれなかったがサイドでの縦のレーンでのレーン被りがまずない。(縦で見たときにサイドバックとサイドハーフの位置が被っていない)被ると何が起こるかというと詰まってしまって狭っ苦しくなってしまう。ただこれもなくて、右サイドは右サイドハーフの徳永がやや内側に立ち位置をとるイメージ。左サイドはどちらもクロッサータイプではあるので流動的だが中と外の使い分けがしっかりできている。ボランチについては負傷の千布に代わり小野寺が入っているが基本的には下澤のほうがやや前に顔を出しがちか。ボランチ1枚がやや最終ラインに落ちてくるようなときもたまにあるがそのときは、サイドバックが上がってセンターバックと被らないようにしっかりと角度をつくる。
とにかく、レーン被りがない。選択肢が多い。距離感が適切。チーム内での決まり事がしっかりしている。


そしてこちら2枚目の図。愛媛戦の18分頃のビルドアップのシーンを見ていただきたいが、相手が前から来て、最終ラインはかなり後ろまで押し下げられる。こうなったとき多くのチームは焦ってしまってミスが出たり、前に蹴り出す(通称捨てボール)になってしまう。しかし、宮崎は違う。愛媛戦のシーンを例にあげると上の図のような立ち位置で新保がボールを持った。このときに大熊がやや内側に入ってサイドのコースを空け、そこに図のオレンジの線で示したように、ボランチの下澤が走る。新保から1つ飛ばしのパスが出てプレスを回避した。
ここからは愛媛戦のシーンは置いておき、この図をもとに説明するが、相手が前から来たとき宮崎は決して焦らない。最終ラインは後ろに下がるが角度をつけることは忘れない。常にステップを踏んで立ち位置を少しずつ変えていく。見てほしいのはまず、サイドバックから出ているピンクの線だ。
例えば、相手がプレスをかけてきました。奥田雄が少し開いてボールを代から受け取ります。(まず、このときに気の利くゴールキーパー石井が立ち位置を細かく変えながらツーセンターバックと三角形を常に作ります。)
このときにサイドバックの奥田裕の動き。
他のチームでありがちなのが、ボールがキーパーのとこらまで下がってきて相手も前に押し上げてくると、サイドバックもみんな一気に下がってきてしまう。ボランチなど前の選手が降りてきてしまったりもする。すぐにみんなが降りてくると相手のディフェンスも引く連れてしまうことになり自陣に人が増えても相手も目の前に待ち構えることになる。こういう状況で奥田裕は最後尾まで下がるわけではなく、上の図のようにちゃんと角度を作れている。(石井からの視点で奥田雄と奥田裕2人ともが見える状態)それで、自分にボールが来るなというときに数歩後ろに下がる。このボールが来る直前に下がることで相手の寄せは間に合わず、自分の前に少しスペースが空く。これにより余裕が出て選択肢が増える。宮崎の選手はパスを出したあとも次のパスコースを作れるようにすぐに角度を作って動き直すので、ピンクの線を見るとわかるようにバックパスをしてもよし。また、自分の前にスペースがあるので前にも蹴れる。ここで橋本。相手の死角から飛び出したり、死角で受けてキープしたりと事前の動きがとても良い。この橋本に走らせるように蹴ることもできる。(オレンジの線で示しているのが橋本の裏への飛び出し。ピンクの線は橋本を走らせるパスを示す。)左サイドもだいたいは同じだ。

そして、もう一点。石井健太だ。このゴールキーパー。セービングはもちろんだが、ビルドアップの関与も上手。細かいポジション取り、足元の技術。そしてキックの蹴り分けだ。バックパスが来たときにサイドの選手にピタリとつけるキック。真ん中にピタリと付けるミドルキック。ターゲットに当てるロングキック。このキックの蹴り分け。宮崎のビルドアップの突破口の1つになっている。

まとめると、宮崎は各々が自分の前にスペースを作る動きがうまい。次のプレーの準備ができている。相手をよく観察できる。準備力の高さと観察力の高さ。それで、スペースを自分たちで見出す、作り出す。共有力が圧倒的に高い。

宮崎の守備については基本的には同サイドに追い込む。ボールがある方のサイドにツートップから先陣をきって、追い込んでいく。そしてセンターバックから中には絶対に差させないようにしたいという意図が見える。ここも原則がしっかりとしている。

ただ、山雅がつけ入るスキはある。正直、この試合は特に山雅は無理をしないほうがいい。宮崎の弱点はショートカウンターの守備のリスク管理のところ、セットプレー、個々のフィジカル面(デュエル、競り負け)。

まずはカウンター。山雅としてはプレスについては宮崎は焦らないし、迂回経路を作れるから前から行ってもそううまくはいかないだろうし、かと言って撤退守備を徹底してしまうとジリ貧になって苦しくなる。奪いどころを決めて、そこで個々のタイマンのデュエルに勝利してショートカウンターへ。というのが1つの形。このときに、センターバックの脇のスペースが空きがちでそこにボランチがカバーに入るが間に合わないこともあり、そのボランチが空けたセンターバックの前方のスペース(マイナス方向のスペース)が空いてくる。

そして、自陣からのロングボール。正直宮崎相手に繋いでも崩すのは厳しい。正直、横山の裏抜け。ルカオや榎本の競り合い、フィジカルを生かしたロングボールで収めてからの展開。セカンドボールを拾ってからの展開。個を生かした攻撃が1番効く可能性はある。個々のデュエル、競り合い、フィジカル面に不安の見える宮崎。存分に個を生かして漬け込みたい。
また、セットプレー。競り合いは山雅に分があるだろう。マイナスも空きがちなのでデザインもありだ。苦しい展開が予想される中、セットプレー1発がほしい。

最後に

おそらく、ボールを持たれて押し込まれる苦しい展開になるのではないか。しかし、そんな中でワンチャンスを仕留めたい。つけ入るスキはある。心は熱く、頭は冷静に。テゲバジャーロ宮崎という強敵を倒して希望の光を繋げろ。最後まで藻掻け。希望の光を繋げるために絶対に勝つ。

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