惨めさ

 自信がなくて顔を上げられないので、足元ばかり見つめながら電車にゆられた。学生の視線が痛くてうつむいた。床を這っていた虫が急にこちらにめがけて飛んできた。みんなの視線が痛くて縮こまった。惨めだな。これから夜行バスに乗る。余裕を持って買ったコーヒーはすでに飲み頃になっていた。注文は苦手、いざ注文するまで頼みたいものをずっと心の中で復唱している。失敗してはいけないと、恥をかいてはいけないと。誰も私のことなんか見ていないのに。

 SNSに溢れかえっているような可愛らしい容姿とは似てもにつかないこととか、学歴や職業のコンプレックスにがんじがらめになってることとか、都会のような多くの選択肢がない、せまいせまい世界で生きていることとか、いつか全部払拭して胸を張って生きてみたい。

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