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(承前)導入を考えてみている~TRPGのシナリオを考えてみる(Dark War:Rebooted)


「紹介する道具」としての「導入シナリオ」

↑の記事で、「TRPGを紹介するための『導入シナリオ』を考えている」と書きました。プレイから離れていますし浅学なので、久しぶりでもとっつきやすそう(イメージです)で選んでみると……ということで、選択したのは「Dark War:Rebooted」(Tiny Battle Publishing)。


Dark War:Rebootedの世界背景とシステム

1985年の欧州で巨大な規模の軍事的衝突が起き、それにより”秩序”が弱くなり、今まで影を潜めていた「闇」の勢力、ウェアウルフやヴァンパイアが現れるようになった…という世界です。
TRPGシステムというよりも、TRPGもできるスカーミッシュ・ウォーゲーム(小部隊戦闘)と言ったほうが適切なゲームでしょう。
Wargame Vaultでも販売されています(和訳付きでも販売されていました)。

https://www.wargamevault.com/product/245939/Dark-War-REBOOTED-RPG-and-Skirmish-Game?term=Dark+War+Rebooted

戦闘場面の処理手順は細かい一方で、それ以外の場面は簡易に判定する(せざるを得ない)システムです。
例えば、能力属性は6種ありますが、スキルはありません。
能力属性も、射撃・白兵戦・回避・知性・魅力・意志力。前3者はスキルじゃないかっ!とつっこみたくなります(後3者は属性!)が、これはスカーミッシュ場面(戦闘シーン)での処理を念頭に置いているようです。(開錠する、とか、フェンスを登って越える、などの判定時に悩みますね)ライトなのは悪くないのですが、ライト過ぎる点もあって、いろいろ記載されていなかったりします。行動に対応する能力と難易度のガイドラインや事例が殆どない…のですね。BGGの評価を下げている理由のひとつも、この点であるようです。とはいえ、簡単に決められることがほとんどで、致命的では無いと思います。
。。。が、ゲームマスターとプレイヤーの負荷が高く、またコミュニケーションが円滑にできる関係がないと進行が滞るでしょうね。

能力属性は数値ではなく、「複数個のn面体ダイス」で表されます。例えば、「知性は6面ダイスと4面ダイス」。キャラメイクは、決められた個数のダイス(8面2個・6面3個・4面5個)を能力属性に割り振って作ります。

判定は必要とされる属性のダイスを全て振り、4の倍数ごとにサクセス1を数えます(ダイス目は合計しない)。サクセス数が定められた難易度以上であれば、行動は成功です。ですから、8面ダイスであれば2サクセスを得る可能性があります。

キャラクターの例
能力属性にダイスを割振り、キッカーを購入

また、キッカー(※1)と呼ばれる特殊能力があります。ダイスを能力属性に割り振った後、初期成長を”購入”して完成です。”購入”できるのはキッカー・ダイス・ダメージ耐久力です。

紹介シナリオの構想

「Dark War:Rebooted」では、キャラクター作成時にプレイヤーが判断することが多く求められるため、ルール通りにキャラメイクを行うと時間がかかります。
そこで、導入シナリオのために事前作成キャラクターを用意することにしたのですが、これにたいへん時間がかかり、また楽しみました。

リプレイ記事(BANZAIマガジン。以下写真)を読むと、キャラクターの背景設定を初期成長に影響させていたので、個々の背景も作ったほうがよさそうです。

BANZAIマガジン6,7,9号表紙

現実世界と繋がっている背景世界のため、ネタになりそうな事柄には事欠きません。
ただ、世界設定の書き込みが無い(少ない)ため、キャラクター設定を充実させようとすると、自分で世界設定を拡充しなければならない点がやっかいです。リアリティを高めるにも限界がありますね(1985年の欧州の米軍のリアリティ。。まぁ、調べることはできるのでしょうが、手を抜くことにしました)。
しかも、今回は出自やキッカーを紹介する目的で考えたため、バリエーションを多く用意しなければならないのも難儀しました。

米陸軍兵士、西ドイツ市民は順当として、撃墜され脱出した米空軍乗員(上で挙げたキャラクター例)、K×Bや、他国の市民も役割としては加えたく。。。
一方で、”最初のシナリオ”は、プレイヤーキャラクターが出会って行動を共にする必然性も組み込まねばなりません。

舞台は西ドイツ、ワルシャワ条約機構軍の侵攻直後の設定のため国境付近。
80年代後半の仮想設定を扱ったウォーゲーム(※2)のマップを参考にしました。チェコスロバキア~ニュルンベルク、レーゲンスブルクのあたりを考えています。

このあたりが舞台
The Next War ( SPI ) のマップ一部
(西ドイツ、チェコスロバキア、オーストリア)

もちろん、紹介シナリオとしてはDark War:Rebootedの世界観である「巨大な軍事的衝突により”秩序”が弱まり…」のくだりを表現する必要があります。
混沌とした置かれた状況、活動を活発化させる勢力、「闇」との対峙……

また、このゲームはスカーミッシュゲームであるので、戦闘ルールも特徴的です。この紹介も避けて通れません。

そんなわけで、構成要素としては…

  • キャラメイク:×

  • 世界観:○(キャラクター設定、シナリオ設定、”遭遇”で表現)

  • キャラを特徴づけるルール:○(同上)

  • 基本判定システム:○(前述の通り、ルール適用は手探りorノリ)

  • 戦闘ルール:○(”遭遇”で実現)

  • ストーリーを進めるルール:- (特段用意されていない)

紹介のためのシナリオとしては要素を盛り込み過ぎな気もします。ですが、実際にプレイするかはさておき「続編」までも構想を練るくらいのつもりでいればプロットの整合性の検証もできるので、2〜3本の連作のつもりで考えておくほうが良いものになるでしょうね。

ほんとうにプレイにこぎつけられるところまで行き着くのか、全く不透明ですが、シナリオを考える楽しみは味わえたと思います。

次はどのシステムで考えましょうかね。

(※1)
キャラクターには、6つの能力値に加えて、「キッカー」と呼ばれる特殊能力?があります。能力値に対応しており、マーシャルアートやリーダーシップ、はては魔法や超能力…見方を変えれば、スキルや魔法を単純化してルール化したものともいえるでしょう。

(※2)
今回、広域地図として使ってみようかと眺めたのは以下のウォーゲームです。
 The Next War (Simulation Publication Inc.)
 NATO (Victory Games / Compass Games)
 7 Days to Rhine (Decision Games)
最終的には、地図の範囲を決め手としてThe Next War(SPI)の地図を使うことを決めました。