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two-time

日焼けしてべろべろになった腕の皮をむきながら、ちふれのオレンジのリップ、コンタクトレンズとそのケース、背がチビになったアイライナー、薄い黄色のアイシャドウ、まつ毛の上下が、めちゃくちゃだまになってくっつくブラウンのマスカラ、これらを全てメイクポーチから取り出し、並べ、顔にふりかけて、順番に閉まっていく。
化粧品と化粧品のぶつかる、カチャカチャとした音と、バン、とケトルのボタンが跳ね返った音が同時に響く。この操作を、7:50〜8:30までに終わらせる。そんなつもりで、朝を過ごすつもりだった。

冷蔵庫に転がるチビ缶の三ツ矢サイダーを勢いよくグビグビ飲むはずが、喉がぎゅーと痛くなって一口で終わってしまった、たった一口で血液が三ツ矢に入れかわって、それはさ、10:00の話だったの。すこしもお金がかかっていない無料の顔と、無料の髪でコンビニに向かう、なんて、そんなことを私はしたくなかった。

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ふせんの to do?は、いよいよ役目を果たさずゴミ箱行きになった。こう何度も自分は、自分を裏切り続けてきたので、今日こそは何もしてやらない!と意地になったコンビニ帰り。冷やし中華が縦になって袋に入ってたことに気付く玄関と、忘れ去られた炊飯器の中のご飯。

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16:00。洗濯物は、ベランダに並んで水分が飛ぶことを待ちわびていたし、床の埃は皆集合してた。結局わたしは、ここまでも裏切り者だったんだな、という発見をすることができた。

できないことは、できないと諦めていたほうが、裏切りの力が働いて、案外なんでもできるようになっちゃうのかもしれない。それには、理想を捨てて自分をどこまでも甘やかし、理想を置いておく脳のスペースを作らないことが大切なんじゃないか、とおもうようになりました。





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