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鹿島神宮【茨城・鹿嶋市】

晴れた空と鹿島灘の海の間に浮かぶ、鹿島臨海工業地帯のコンビナートが見えます。

ここは東海道の最東端、常陸の国。常陸は日立であり、日出(ひいずる)場所。ヤマト王国の東征拠点として重要な位置にありました。

常陸国一宮、鹿島神宮(かしまじんぐう)。

創建は神武天皇が即位した、紀元前660年といわれています。

延喜式には「神宮」として、伊勢神宮(本来的には単に”神宮”というのが正しいとされます)、香取神宮、鹿島神宮の3社が記されています。

ご祭神は武神である武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)。奈良の春日大社は、ここ鹿島神宮の武甕槌大神、千葉の香取神宮の経津主命(ふつぬしのかみ)など4神を合祀して創建されています。

ちなみに、奈良公園の鹿。鹿島神宮の神の使いも鹿ですが、実はこの鹿島神宮の鹿が発祥といわれています。鹿島神宮にも鹿園が現存しています。

武神なので中臣氏(後の藤原氏)や皇室から崇敬され、とりわけ武術の神様として時の武家政権から篤く信仰された経緯もあります。

それぐらい、深い歴史と様々なコンテンツを有する鹿島神宮なので、どこを焦点にして紹介していいのか、これはちょっと難儀ですね。

鹿島神宮2

いろいろと考えあぐねた結果、剣豪「塚原卜伝」(つかはらぼくでん)のエピソードを紹介したいと思います。

卜伝と鹿島神宮にどんな関係が?と思われるかもしれませんが、ちゃんと繋がりがあるんです。

無手勝流(むてかつりゅう)という四字熟語がありますが、これは塚原卜伝のそのエピソードが元になっています。

以下、20.315が勝手に脚色した「無手勝流」誕生ストーリーです。

戦国時代、武者修行で全国を旅し、自らの剣術を究めた塚原卜伝。
旅の途中、近江の琵琶湖で船中、血気盛んな若造剣士(仮にタケシとしましょう)と出会った。タケシと卜伝は諸国の話や道中の話題で盛り上がった。お互いの距離が近くになるにつれて、いつしか両者共通の話題は「剣術」に。やがてタケシは、その豪胆で壮齢なオヤジがただ者ではないと察し、「あなたはもしかして、卜全殿では?」と真剣なまなざしを向けた。オヤジは頷くでもなく微笑んだ。

突然、タケシは「どちらが本当に強いのか、勝負しましょう」と戦いを挑んだ。
「なんの、わたしは」と後ずさりする卜全。卜全の手を取り「さあ、果し合いを!」と叫ぶタケシ。彼は卜全が臆病になっていると思い「皆さん、この人は卜全、塚原卜伝やで!」と大声をあげた。船中の民衆は口々に「ボクゼン?」「誰や?」「・・・剣豪の卜全様か!」と大騒ぎに発展。

タケシは挙句の果て「ぼくが勝負を挑んでいるのに、この卜全は逃げようとしとる!アホですよ!剣豪が聞いてあきれる!このボケ!」とさんざんな罵詈雑言を浴びせた。

常に冷静沈着な卜全は、民衆の騒動と迷惑を思案して一計を図った。
「タケシ、それでは勝負しよう。あの小島で」と指さした。
「やっと勝負する気になったんか、最初からそうせい、ボケ!」というタケシと小船に乗った卜全は、近くの小島に船を寄せた。

湖水が足首につかる程度の深さになると、タケシは小船を飛び出し「決闘や!決闘!」と歓喜しながら島に駆けていった。

卜全はここぞとばかりに、全速力で船を漕ぎ出し島から離れていった。結果、島に一人取り残されたタケシは喚いた。

「何でやねん!卑怯者!くそくらえ!ハゲオヤジ!」

「戦わずして勝つ、これが無手勝流」と言ってガハハハッと笑いながら、卜全は去っていった・・・。

以上が、20.315風、塚原卜伝の「無手勝流」誕生ストーリーです。

鹿島神宮3

塚原卜伝はその後、鹿島神宮に1,000日間参拝を重ね、鹿島の太刀の極意を悟って剣術の流派「新當流」(しんとうりゅう)をつくった。

「鹿島の太刀」とは、武甕槌大神が悪霊退散のために使用した技といわれています。また、鹿島神宮には、文化財として韴霊剣(ふつのみたまのつるぎ)という長い直刀があります(本物は奈良県天理市の石上神宮=いそのかみじんぐう に移し収められているとも)。

つまり、塚原卜伝は武神である武甕槌大神の神域に到達し、その極意を受け継いだのだ、とも言えます。

諸国を旅し武者修行に励みながら80人もの弟子を抱え、時の将軍や戦国武将にも剣術を指南し、後世には剣聖と呼ばれました。

現代になって、小説やテレビドラマにも描かれる塚原卜伝。

彼が生まれ、晩年を過ごした鹿島市には、市立の運動公園があります。その名も「卜伝の郷運動公園」。サッカーや野球、ソフトボール等ができる多目的球技場です。

剣術には関係ないのがちょっと不思議。なんでやねん。

【基礎データ】
■創建 神武天皇元年(西暦前660年)
■祭神  武甕槌大神(たけみかかづちのおおかみ)
■住所 茨城県鹿嶋市宮中2306-1
■HP 鹿島神宮

※写真は全て20.315が撮影。
※塚原卜伝がハゲていたかどうかは定かではありません。笑。

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