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株主は関東のオーケーを選択。どうする関西スーパーマーケットとH2O?

こんにちは!
企業評論の亜種で『インカムゲインあらかると』の20.315です。

TOBやMBOのニュースが多くなってきています。

北尾社長のSBIが新生銀行にTOBをしかけ、片倉工業がMBOを発表し上場廃止を目論んでいます。

そして関東のディスカウントスーパーマーケット、オーケーが関西スーパーマーケットの買収に動きましたが、臨時株主総会でバックに構えるH2Oが買収阻止すべく株主に呼びかけて薄氷の勝利を収めたかに見えました。
しかし、11月8日、議決結果に疑義があるとしてオーケー側が神戸地裁に提訴するとのニュースが飛び込んできました。

20.315はこれらの動きとその背景を見ていて、とても残念だなあ、と思っています。

新生銀行の役員はSBIによる買収阻止に向けて動いていますが、傍からみると「役員連中の保身にすぎない」ように見えます。
北尾社長は会見で「経営陣にビジョンがない。新生銀行の若い行員たちが、”北尾さん早くうちを買収してください”とゆーてるで。買収価格は1円たりとも上げへん。」と発言。

これを聞いて新生銀行の役員たちがビビッてるシーンが目に浮かびます。

片倉工業の動きは、これも他社からのTOBを仕掛けられる前に上場廃止してしまおうという「役員の保身」を感じてしまいます。

片倉工業はかつて繊維業で一世を風靡した名門企業ですが、それは今はもう昔々の遠い昔のことです。しかし、築き上げてきた資産は莫大で首都圏や九州圏等に広大な不動産を所有していて、その不動産から生まれる収益は安定しています。広く知られている物件でいえば、さいたま新都心のコクーンシティがあります。

三井不動産や住友不動産などのアセット企業にしてみれば、垂涎の的といっても過言ではありません。いつ買収の標的になっても不思議ではなかったので、片倉工業の経営陣にしてみれば「わが身がリスクにさらされる前に上場廃止しちゃおう」という魂胆が見え見えなんです。

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関西スーパーマーケットをめぐるH2Oとオーケーの買収合戦は、やや趣きが違います。

元々、H2Oは関西スーパーマーケットの筆頭株主で、オーケーも第3位の株主です。H2Oは傘下の阪急オアシスとイズミヤを持つ関西最大級の流通グループで、関西スーパーマーケットを買収したのち阪急オアシスとイズミヤをそこにぶら下げる構想でした。

一方、首都圏で飛ぶ鳥落とす勢いの独立系ディスカウントスーパー、オーケーは長年にわたる関西スーパーマーケットとの縁もあり「いつかは」という思いだったようです。H2Oが今回、経営統合に動き出したため、オーケー側が「待った」をかけた形です。

20.315の住んでいるエリアにはオーケーの店舗がないため、直接訪れたことはありませんが各種報道やHPを拝見すると数あるスーパーマーケットの中でも、かなり独特な手法で店舗運営し業績を伸ばしていることがわかります。

売上高は5000億円を超え経常利益も300億円以上、しかも未上場企業です。

競合する店舗が多く、店舗運営に独自色を出すことが難しい業態の中、財務内容が優れた企業といえます。

オーケー側は、関西スーパーマーケットの買収を発表した際「キャッシュで買う予定」といい、関西スーパーマーケットの株価は跳ね上がりました。

しかし、臨時株主総会でH2Oとの統合が可決されるやいなや、株価は下落。

一連の株価動向をみる限りでは、株主はオーケーを支持しているように見えます。

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かつて、関西の企業はどんよくに市場を求めて関東その他のエリアに進出し、ナショナルブランドを築き上げてきました。

逆に関東の企業は自らのエリアで十分儲かるため、他のエリアに進出するケースは稀でした。※唯一、イトーヨーカドーは全国へ進出。

しかし2000年以降、東急ハンズや流通大手のマルイが関西をはじめ全国に進出。流通以外にも東急不動産や野村不動産などが関西に進出しました。家電量販店のヨドバシカメラも、その筆頭に数えられるかもしれません。
ある意味、関東を基盤とする企業の関西への逆襲が始まったといえます。

こうした中での、オーケーの買収作戦です。潤沢な資金をもとに、さらなる成長を求めて挑戦する姿に共感する向きも少なくないのでしょう。

20.315も、オーケーの行動に賛意を贈りたいと思います。

しかし、向かう敵はH2Oだけではありません。バックにはさらに大きなコングロマリット、「阪急阪神・東宝グループ」が控えています。

かつて村上世彰氏が「村上ファンド」として、阪神電鉄の株を買い進めて、京阪電鉄や南海電鉄との統合を目論みましたが、阪急電鉄が阻止すべく阪神を買収しました。それが、現在の阪急阪神グループの成り立ちです。

この時、20.315は「阪急は並行して走る阪神を買収して、何か効果があるんかな?」と素直に思いましたし、村上さんが提唱する阪神+南海の方が、「神戸⇔梅田⇔和歌山」と一直線に繋げられるわけで、こっちの方がメリットが大きいんちゃうか?と思いました。※阪神+京阪では、阪急と線がかぶるためメリットが考えにくい。

大きなお世話かもしれませんが、阪急はかつて阪急ブレーブスという球団を持っていました。が、1988年に現・オリックスに売却した経緯があります。その阪急が現在、間接的に阪神タイガースを持っているのは何とも皮肉な話です。

ちょっと話がそれました。笑。

そもそも、関西スーパーマーケットと阪急オアシスとはイメージが全然違います。イズミヤとは色が似てるかもしれません。
同じ関西同士でまとまるのも悪いことではありませんが、市場を食い合うだけではないでしょうか・・・。

別の地方企業同士が交差(合体)することで化学反応が起き、新しい企業に生まれ変わることもある、と思います。もちろん軋轢もあるでしょう。でも軋轢のないところに、新しい考え方は生まれません。

オーケーの今後に目が離せませんが、関東の流通企業から援軍は出てこないのでしょうか?

セブン&アイ・ホールディングスは巨大すぎて無理かもしれませんが、JMホールディングスとかならいけるんじゃないか?と勝手に思っています。
※カスミやマルエツを持つイオンは別格過ぎます。

いずれしにても流通業界は今後、巣ごもり需要の減少に見舞われて、優勝劣敗の様相がはっきりしてくる可能性があります。事実、流通業界は株価が全般的に下がってきています。

今後も注視していきたい業界ですね。

※写真は全て20.315が撮影。
※SBIと新生銀行のバトルについては、北尾さんのやり方に批判も出ています。片倉工業のMBOについては株主である「かぶ1000」さんから買値が安すぎるとして何等かの措置をとる可能性が出ています。一方の片倉サイドは「さらなる事業構築をめざす」として株主の理解を求めています。
※20.315は上記記事に登場する企業の株は一切持っていません。また、当該企業の株について推奨もしていません。投資は自己責任でお願いします。




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