ネイチャーフィールドⅩ~生命体観察マガジン(昆虫)2020・07 その12
7月の貴重な4連休もほとんど雨か曇りで、ネイチャーフィールドXに行けない不満でストレスがたまっている、変人の20.315です。
「行けない」というより、行っても雨が降ってきたり、曇っていてもフィールドが雨水でぐちゃぐちゃになっていて生命体観察や草刈りがままならないんです。
でも。
ほんの1時間ぐらいは日が射す瞬間があったりして、その隙をのがさず、昆虫観察しています。
そうしたら、ネイチャーフィールドXの空中をブーンと飛ぶ虫が!
「何だ?」と見ていたら、草原の小枝にとまりました。
タマムシ君! ( ↑ 冒頭写真)
先日、2020年初めて発見したタマムシは上翅に裂傷があって痛々しい感じでしたが(ネイチャーフィールドX その11参照)、今回のタマムシ君は翅に傷のない元気な個体でした。空を舞って、小枝にとまったのですから、元気いっぱいですね!
↑ アオドウガネですね。
コガネムシ類の中でも丸っこくてかわいい奴です。体長約2センチ。
ざっと数えたら、20匹ぐらいいましたね。繁殖しています!
食べている食草は、ヤブガラシの葉っぱですね。ヤブガラシはブドウ科ヤブガラシ属に属しているので、大雑把に言えばブドウの葉っぱを食べているということです。と言っても、ブドウはなりません。
ヤブガラシは別名、ビンボウカズラ。普通に見られるつる性植物ですが、別名の由来は「庭の手入れどころではない貧乏人の家に生い茂る」ことです。なんだか、さんざんな植物ですね。正式名称のヤブガラシも「藪を枯らしてしまうほど生い茂る」意味から来ています。いずれも踏んだり蹴ったりの由来です。
でも、このヤブガラシは食べられるんです!
柔らかそうな若芽を摘んで、おひたしや炒めれば、おいしい食材に変身します。そう考えると、いとおしく見えてくるから不思議ですね。
アオドウガネ同様、人間もむしゃむしゃ食べまくりましょう!
↑ ニイニイゼミ。
ケヤキの幹に完全同化しているため、撮影してもセミなのか樹皮なのか見分けるのがたいへんです。しかし、これならカラスやヘビに見つかる心配もなさそうですね。
セミ類は成長すると、あとは交尾してすぐに死ぬと、長年にわたり成虫短命説が流布していました。20.315も子供の頃に見た昆虫図鑑で「セミは羽化後、1週間程度で寿命がつきる」と書いてあったのを、そのまま受け入れていましたが、セミ類の研究は現在も発展途上にあり、最新の研究では概ね1カ月程度生きる、と考えられています。
生物の世界は、まだまだわからないことが多いので、観察・研究の幅は広いといえます。専門の研究者のみならず、市井のアマチュアが「大発見」することもあるディープな世界といえます。
↑ こちらの甲虫は、さて何でしょう?
体長は約1.2センチほど。姿形はキクイムシそっくり。一見すると、頭部と腹部に分かれて見えますが、頭部と思われる部分は実は胸部で、頭部はその胸部の下に隠れていて、手に取ってみないとよくわかりません。頭部、胸部、腹部と体が3つに分かれているので甲虫であることは間違いない・・・。
キクイムシは体長が大きい種でも3ミリ程度と言われています。とすると、これは大型すぎて、キクイムシとはいえません。シバンムシにも似ていますが、やはりここまで大きくはありません。
カミキリムシにも似ていますが、触覚が短く、鋭いキバも発達していません。そもそも体型が違います。上翅表面にまだら模様があるので「まだらXX」といろいろ検索しましたが、それらしき甲虫には出会えませんでした。
新種発見?
まさか、とは思いますが、現時点でこの甲虫が何者であるか謎です。
見つけた場所は伐採した木材を積み上げている「やがて堆肥β」です。
↑ エダシャク亜科に属するエダシャクの一種と思われます。
シャチホコガの一種にも似ていますが、現時点で正確な同定にはいたっていません。
黒目がちな目に、胸から頭にかけてはモフモフした毛におおわれて、可愛らしいですね。前脚もちょっと太くて一層かわいい・・・。
蛾と蝶の種類は非常に多く、チョウ目だけでも日本で約3500種類にのぼり、その中で一般的にチョウチョと呼ばれる種は約250種。つまり、蛾の種類が圧倒的に多く、チョウチョは蛾の一部分でしかないのです。
「エダシャク」の意味は枝+尺、つまりシャクトリムシ=尺取虫に由来しているとおり、幼虫時代は枝に似せて独特の動きを見せます。
一方の「シャチホコガ」は鯱+蛾であり、つまりシャチホコに似た幼虫の成体が「蛾」である、ということです。実際、幼虫の形態はしゃちほこみたいな体形を取ります(長い体をそり返して、のけぞるような恰好)。残念ながら幼虫の写真が撮影できていないので、申し訳ありません。
そのかわり・・・
↓ エイリアンのようなバケモノ幼虫を紹介しましょう!
体長は8センチぐらい。体色は枯れた枝そっくりで、相当な乾燥肌のよう。左サイドが頭で、右サイドがお尻ですが、頭に2本の角が生えており、口からは鋭いキバも見えています。怖っ!
この恐ろし気な幼虫は・・・トビモンオオエダシャクの幼体です。
同定できたのは、”芋活.com”という令和元年にスタートした「イモムシ・ケムシの専門サイト」のおかげです。関心ある方は”芋活.com”を覗いてみてください。イモムシ・ケムシの広大な世界が広がっています。動画も装備していますよ。※苦手な方にはおすすめしません。
さて、トビモンオオエダシャクですが、エダシャクなので、動きはやっぱりシャクトリムシと同じです。
エダシャクも、シャチホコガも、幼虫時代は奇怪でキモい形態のケースが多いのですが、成虫になると体中がモフモフした蛾になり、モスラみたいに目がクリっとしていてかわいくなります。↑ エダシャクの写真参照。
あのキモかった幼虫が、完全変態してこんなにかわいい成虫に!
と驚きますよ、マジで。
↓ ネイチャーフィールドXにも、ようやく夏が来そうです。
まだ7月いっぱいは雨模様が続くようですが、一瞬の晴れ間に昆虫観察していると、少しずつ確実に夏の生態系を感じることができます。
本当は、晴の日が続くようならトラップを仕掛けて、ネイチャーフィールドXに棲息する生命体の夏をしっかりと確認したいのですが。
どうやら、また雨が降ってきそうです。
8月に入ったら、昆虫トラップを仕掛ける予定です。
どんな昆虫に出会えるか!? すごく楽しみです!
※写真は全て20.315が撮影。場所も全てネイチャーフィールドX。
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