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猫だけが待つ
歩く ひたすら歩いて帰るのは誰も私を待たないおうちに帰るためだけ
その家には帰りを待つ人はいない
私の帰りを待つのは 猫だけ
ああぁおおおぅん にぃいやあああぁおおおぅん
青い睫毛のお人形の帰りを待つのは金色の猫が一匹
魔王がささやく おまえにはこの猫と私がついているから
猫は魔王になつきはしない
古びたびろおどのドレスにまとわりつく猫の長いしっぽ
ああぁおおおぅん にぃいやあああぁおおおぅん
冷たい指が猫を撫でて青い睫毛を伏せている
た だ い ま
た だ い ま
紅の落ちた固い唇から彼女を待つ猫にだけに
顔を歪めながら 猫だけに挨拶している 金色の猫だけが安心する秋の夜空の闇
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