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輝く、日向坂46。

 日向坂46というアイドルグループがいる。いわゆる坂道グループ、乃木坂46、櫻坂46(旧・欅坂46)と並ぶ女性アイドルグループだ。

 現在、日向坂46は全国アリーナツアーとして「全国おひさま化計画2021」を敢行している。「おひさま」とは日向坂46のファンの総称で、「日向は太陽がないとできない」ということから、ファンの存在をグループを照らす太陽と見なしているわけだ。ファンの目線からすると、いやいや太陽こそが日向坂46ですよ、とツッコミをしたくなる。
今回は、私が日向坂46のライブに参加した感想を述べるという記事だ。日向坂46をよく知らない人も、おひさまの人も、ぜひ読んでほしい。
そして、日向坂46という存在を全国に広めてほしい。

※おひさまへ
ライブの詳細(セトリなど)については、今回の記事では取り上げません。基本的にライブ全体に対する感想を述べるような体裁を取りますが、一部の楽曲についてネタバレを含みます。
当日までライブについて詳細を知りたくない、楽しみにしていたい、という方はライブ終了後に見ることをおすすめします。

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1.日向坂46について

 まず、日向坂46というアイドルについて知らない人もいるだろうから、どんなアイドルなのか、ということについて簡単に解説する。よくご存知の方は、「2.広島公演」へジャンプ!

 日向坂46はかつてけやき坂46という名称で活動を行なっていた。けやき坂46は、『サイレントマジョリティー』や『不協和音』で知られる欅坂46(現・櫻坂46)というグループに所属する別グループとして作られたグループであった。ただ、欅坂46に所属するメンバーとけやき坂46に所属するメンバーに入れ替わり制度などはなく、けやき坂46は欅坂46のシングル作品に数曲参加することができるという立ち位置であった。
 グループの活動が進む中で、けやき坂46単独公演や単独アルバム発売など、けやき坂46単体の活動が少しずつ増えるようになった。そして、2019年2月、けやき坂46は日向坂46に改名。同年、紅白歌合戦に初出場して、現在は音楽番組や様々なバラエティ番組にメンバーが出演している。

 以上が、日向坂46に関する簡単な説明だ。ファン目線から見ると、物足りない点も多いであろうが、今回は歴史を紹介する記事ではないので大目に見てほしい。

2.広島公演

 ここからはライブの感想について。基本的には、時系列順に従うが、時に構成の都合上、順序を入れ替えた。

2.1 ライブ序盤

 日向坂46として初めてのツアー「全国おひさま化計画2021」の記念すべき1日目、9月15日(水)に広島グリーンアリーナで開催されたライブに私は参加してきた。地方出身で、そもそもライブの「ラ」の字さえ見たことがない私は、初めてのライブに期待と興奮と不安が入り混じるような面持ちで臨んだ。座席はアリーナ席C2。A4からD4まで花道があるため、運が良ければメンバーを見ることができるだろうな、という座席。

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(座席図 https://www.livehis.com/seat/seat2_hiroshima.html )

 メンバーがどこから出演するか気になって仕方がない。今まで画面(テレビ)でしか見たことのなかったアイドルを拝むことができる。それだけで、今回のライブに来た価値があるというものだ。まだライブが始まっていないにもかかわらず、この感想である。
今回のライブの趣旨「全国おひさま化計画2021」について説明する映像が流れる。いよいよライブが始まるのか、という興奮。

 突如、楽曲のイントロが流れ始める。何かがおかしい。日向坂46に限った話ではなく、乃木坂46や櫻坂46のライブではOverture、いわゆる出囃子が最初に披露されることが定番となっているのだ。何が起こっているか把握に努めていると、メンバーが花道後方から登場。披露した楽曲は『NO WAR in  the future』。
ライブの定跡を1曲目から崩したことに、やや虚をつかれながら、スティックバルーン(ご時世のため、歓声の代替措置として渡される細長い風船)を叩く。アリーナ席のため、メンバーが近くでよく見える。日向坂46というアイドルは実在しているのか、という気づき(結構、大真面目)。そして、全員がかわいい(実際、目の当たりにして気づく。めちゃくちゃかわいい)。

 正直、1曲目で心を掴まれてしまった私は、Overtureを差し置いて『NO WAR in  the future』を披露した意味について深く考えていなかった。しかし後日、ある人のツイートを見て、なるほど!と思った。会場となった広島グリーンアリーナがある場所から、歩いてすぐの場所に原爆ドームがある。ライブでovertureを最初に披露することなく、『NO WAR in  the future』を披露した。「微笑むだけで 心は通じるんだ “平和”始めよう」と歌い上げる楽曲を1曲目に配置した演出家に拍手を送りたい。
ただ、福岡公演で同様に『NO WAR in  the future』をOvertureの前に披露したため、必ずしもそのような意図があるかはわからない。しかし、広島を一番最初の会場に設定した時点で、そのような意図があったのではないか、と勝手に考えている。

 その後、日向坂46は次々と楽曲を披露する。1曲1曲を聴くたびに、あ、好きという感情が溢れ出す。1曲1曲、全力でパフォーマンスする彼女達に心を奪われるのだ。
2020年、世界は未曾有の危機に襲われた。日向坂46でさえ、例外ではない。2020年3月には全国アリーナツアー、12月には東京ドーム公演を予定していた。しかし、中止の発表。2021年、ようやくライブができるようになった。そして、有観客で行う日向坂46として初めての全国ツアー。メンバーが今回のライブをどれだけ楽しみにしていたかは、ブログ・ラジオ各種媒体を見るとよくわかる。彼女達が全力を尽くしたその姿勢というものに、私は感謝やら何やらが溢れて止まらなかった。おひさまと会うことができるだけで、泣いてくれるメンバーがいる。おひさまと話すことができるだけで、喜んでくれるメンバーがいる。そんな日向坂46を推さずしてどうする。

 そして、日向坂46のライブの更なる魅力といえば、やはりライブの世界観にある。日向坂46のライブはファンタジーな設定が多い。「"22人"の音楽隊」や「おばけホテル」のように、オリジナルキャラクターが登場して、日向坂46のライブに更なる彩りを加えてくれる。このような世界を取り込むことで、日向坂46のライブを一層幻想的、夢の国であるかのように思わせる演出が見事だと思うのだ。このような設定が似合う所も、日向坂46ならではの魅力と私は考えている。そして、設定に合わせてライブ会場を効果的に活かすためのセットの数々。演出家が作り上げたエンタメを提供しようという空間は、見ているだけで楽しい。

2.2 ライブパフォーマンス

 そして、見る者の心に訴えかけるハッピーオーラを、日向坂46のライブでは十分に堪能することができる。

 『キュン』や『ドレミソラシド』のようにキャッチーな振り付けが特徴的な楽曲は、日向坂46のアイドルとしての能力を遺憾無く発揮する。今回のライブで花道で踊るメンバーを見て、私は人に活力を与える職業ってすごいと改めて感じた。日向坂46に限った話ではない。大衆が楽しむテレビ番組を制作する人、観光ツアーを計画する人、それぞれが誰かの喜びや幸せを願って今目の前にある仕事を一生懸命にこなしている。
制約のあるライブで、各メンバーが目の前にいるおひさまを楽しませようとするその姿勢に、私は何だか胸が熱くなった。今回参戦したライブで、個人的に輝いていたと感じたメンバーは、丹生明里と富田鈴花であった。天真爛漫と形容できる丹生明里のライブパフォーマンスは見る者を自然に笑顔にさせる。見る者を自然と笑顔にする彼女は、まさにアイドルにふさわしい人物と言えるだろう。また、富田鈴花は、ライブでおひさまに対するレス(ファンに対して手を振ることや指を指して反応を示すこと)を積極的に行なっていた。おひさまを楽しませるということを十分に考えている彼女のライブに対する姿勢から見習うべきことは多くあると思うのだ。

 このようにおひさまを笑顔にする日向坂46には、さらなる強みがある。それは、見る者・聞く者に強く訴えかけるライブパフォーマンスを披露することだ。『青春の馬』や『何度でも何度でも』に代表される日向坂46の応援歌に何度励まされたか数知れない。受験期には『青春の馬』を何度聞いたことだろうか。

君は絶対諦めるな
何があったって…
足を止めちゃ そこで終わる
もう走り出せない
夢が叶う 叶わないかは
ずっと先のことだ
今は何も考えずに
無我夢中 (ひたすらまっすぐに)
目指すんだ

『青春の馬』の歌詞である。MusicVideoで見る雰囲気とはまた違う、ライブでしか味わうことのできない迫力というものを今回感じることができた。また明日から頑張っていこうと思えるようなライブパフォーマンス。見る者・聞く者に活力を与える、勇気を与えるという明確な意図があるこの楽曲は、日向坂46にとって非常に重要な曲だ。ライブでは、代理センターとして金村美玖が披露。本来センターポジションにある小坂菜緒が披露する『青春の馬』は、颯爽と駆け抜けるようなパフォーマンスで、追い風として私を勇気づけてくれる。一方、金村美玖が披露する『青春の馬』は、荒々しい逆風の中、一縷の光を見出すようなパフォーマンスで、逆境にいる時には私たちを強く応援してくれる。ライブ当日は、金村美玖のこのような熱意あるパフォーマンスを見ることができて、かなり勇気をもらった。
今年の高校生クイズのテーマソング『何度でも何度でも』は、現役高校生の上村ひなのがセンターを務めた。活力ある高校生らしい上村ひなののパフォーマンスが、見る者にしっかりと何かを伝えようとしている。それは、直球のメッセージではないかもしれない。しかし、遠回りであろうと見る者・聞く者にしっかりと自分のペースで進むことの大切さを教えてくれる。
全身を使って、全力で楽曲のメッセージを表現しようとする彼女達に気付かされることは本当に多いのだ。

2.3 ライブ終盤

 ライブはいよいよ佳境へ。終盤には日向坂46の最新曲『ってか』を披露した。

 『キュン』『ドレミソラシド』『アザトカワイイ』と続いてきたキャッチーな振り付けを特徴としてきた表題曲と違って、クールなダンスを全面に押し出した楽曲になっている。欅坂46のパフォーマンススキルを取り入れて、日向坂46流に落とし込んだ振り付けが個人的に大好きだ。そして、表題曲として初めてセンターを務める金村美玖が圧巻のパフォーマンスをライブで披露した。楽曲を初めて披露するという場に立ち会えたことが本当に幸せだった。また、あの空間に戻りたいなどと。
 続いて、『JOYFUL LOVE』を披露。『JOYFUL LOVE』では、会場全体がペンライトで虹色に照らされるという幻想的な演出を見ることができる。「虹色大作戦」と呼ばれるこの演出は、演者が仕掛けた演出というわけではなく、ファンが自発的に始めたことらしい。私はライブ初参加だったので、その美しい景色を見ることを非常に楽しみにしていた。

2020年に行われたライブの「虹色大作戦」の様子。座席のあるアリーナ席からはスタンド席が虹色に染められている様子をしっかり見ることができた。アリーナ席に割り当てられている空色のペンライトを照らして、この幻想的な景色をただひたすらに眺めていた。何度後ろを振り返っただろうか。ライブの一体感というものを強く感じることができた。

3.日向坂46というアイドル

 見る者を一瞬にしてハッピーオーラという世界観に取り込む日向坂46。
アイドルという武器を活用したライブパフォーマンス。おひさまに癒しや活力を与えてくれるライブパフォーマンス。おひさまに強く訴えかける迫力あるライブパフォーマンス。おひさまと一体になって作り上げるライブという空間。
今回のライブに参加して、日向坂46の強みというものに気づけた気がする。日向坂46は、ライブでさらなる輝きを増すということだ。普段冠番組で、大喜利をしたり、野球をしたりする彼女達が一番輝いている場所は、ライブではないだろうか。

 ファンのことを太陽に例えている「おひさま」という呼称があるが、彼女達、日向坂46のメンバーこそが、地上にいるファンのことを照らす存在であり、そして、日向坂46という存在を照らしているのではないだろうか。日向坂46のメンバー1人1人が「おひさま」であり、彼女達は自身の魅力を存分に発揮するライブという武器を持っている。現在、アイドル活動の重要な存在となっている握手会は、長らく開催できていない。しかし、彼女達は彼女達なりのやり方で、新しい道を常に開拓してきた。ニューノーマルな世界で、ライブを武器とする日向坂46が席巻する時代が来ることを願う。


あとがき
長々と日向坂46について語った記事をここまで見てくれた皆さん、ありがとうございました。日向坂46について、少し興味が湧いたよという方は、ぜひ以下の動画を見てほしいです。ライブのダイジュスト版ですが、日向坂46のライブの特徴を端的に知ることができます。


#音楽 #ライブ #アイドル #日向坂46 #全国おひさま化計画2021

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