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[5分小説]WITCH-魔女-

Introduction

2040年。公正取引委員会の審議官少女マレは審議院仮庁舎より与えられた1年間の休暇を公立スコラ高校で過ごす。
マレをスコラ高校2年の同級生トレランティアが見つめる。
道端でキーホルダーを売る少女がマレとトレランティアに話し掛けるが...

WITCH-魔女-

17歳の少女マレは審議院仮庁舎より与えられた1年間の休暇を公立スコラ高校で過ごす。
再来年の大学進学を目指し仕事と学問の両立をして居た。
マレは休み時間クラスメイトと談笑する。
クラスメイトがマレに話し掛ける。
「また彼見てるよ。マレの事好きなんじゃない?」
マレが答える。
「違うよ。」
マレを見て居たのはスコラ高校2年の同級生トレランティアだった。
トレランティアは片親で働きながら高校に通って居た。
マレが話し掛ける。
「仕事と両立は大変?」
トレランティアが答える。

「君ほどでは無いよ。」
トレランティアが問い掛ける。
「親御さんとは?」
マレが答える。
「普通だよ。」
トレランティアが答える。
「俺は親にも敬語を使って居るんだ。」
マレが問う。
「何歳から?」
トレランティアが答える。
「14歳位かな。」
マレはトレランティアと話しながら下校する。

道端でキーホルダーを売る金髪碧眼の少女がマレとトレランティアに話し掛ける。
「紛争地帯サングイスから来ました。動物に好かれるお守りです。」
マレが1つ買う。
翌日動物が学校に大量にやってくる。
マレの後を付け猫や犬が教室まで来る。
マレが魔女だと噂が立つ。
トレランティアが庇う。
「そんな事は無い。」
マレはトレランティアと2人で行動する事が多くなる。
クラスメイトが冷やかす。
「付き合って居るの?彼氏さんに助けて貰えば?」
マレが答える。

「1人で平気。それに未だ彼氏じゃない。」
トレランティアとの登下校が増える。
トレランティアが問い掛ける。
「カラオケに行こうか?気分を変えよう。」
マレが答える。
「そうだね。」
マレとトレランティアはカラオケで交互に歌を歌う。
トレランティアはマレが歌うとしっかり聞き必ず褒めてくれた。
学校に来る動物が日に日に多くなる。
マレが答える。
「普通じゃない。このお守りおかしい。」
トレランティアが頷く。

下校途中マレに茶髪淡褐色目の少女が話し掛けてくる。
「妹が世話になって居るわね。」
マレが答える。
「貴方は誰?」
少女が答える。
「セーリウス。サングイスからの交換留学生。」
セーリウスはマレにsmart handgun®︎を向ける。
マレはsmart handgun®︎を持って来て居ない。
トレランティアがセーリウスにタックルし押さえ付ける。
マレが通報する。
週末マレの審議院仮庁舎からの帰路に釈放されたセーリウスが再び立ち答える。
「私は♣︎2。」

セーリウスがsmart handgun®︎を構える。
マレがジグザグに走り逃げ回る。
暗闇から公正取引委員会の女性審議官ヴァニタスが現れセーリウスのsmart handgun®︎を掴み答える。
「子供がこんな物を持つべきじゃ無いわ。」
マレとヴァニタスは審議院仮庁舎で捕えたセーリウスの話を聞く。
セーリウスが答える。
「同時多発複合災害・同時多発核攻撃でスートの組織はマレ・インスラ・ウェルテックスを脅威と認識した。」
「そしてソルに刺客を送った。」
「それが私たち"魔女"3姉妹。」
ヴァニタスが問い掛ける。
「他の2人は?」
セーリウスは答えない。

次の日マレの下校中キーホルダー売りの少女が現れ問い掛ける。
「私はアニマーリア。お姉ちゃんを虐めたでしょう?」
マレが答える。
「正当防衛よ。」
アニマーリアが答える。
「意地悪する人嫌い。」
犬や猫の群れがマレを囲む。
マレはコンビニに逃げ込みトレランティアに電話する。
トレランティアが駆け付け犬猫を追い払う。
アニマーリアが去る。
マレが答える。
「有難う。お礼にデートしよう。」

休日マレとトレランティアはヒストリア料理店でお昼ご飯を食べる。
食事後2人はオーケアヌスの海洋遊歩道を歩く
マレは好きな漫画の話をする。
「死と彼女とぼくって言う少女漫画なの。」
マレがトレランティアに問い掛ける。
「あらすじを話しても良い?」
トレランティアが答える。
「勿論。」
マレが説明する。
「死者の姿を見る能力を持つ少女、時野ゆかりと死者や動植物などの心の声を聞く力を持つ少年、松実優作が主人公。2人を頼ってさまざまな死者たちが訪れては去っていくの。」
「時野ゆかりちゃんは7歳の時に大病を患い生死の境をさまよったのがきっかけで死者の姿を見る能力を得るけどその能力が死者を呼び寄せてしまい優作と出会うまで友達をつくれず孤独な日々を過ごしてきたの。」
「でも優しく芯が強い性格で死者に対しても同情的。それが時として自分自身も深く傷つける事態を招いてしまうこともあるの。」

マレは説明を続ける。
「松実優作君は死者や動植物などありとあらゆる魂の心の声を聞く能力を持つの。1歳頃から死者の姿が見え始め5歳ではっきりと見え聞こえるようになった。」
「彼は幼い頃から遠くから助けを求める誰かの心の声を聞き続けていたの。ある時その声の主がゆかりであることを知り彼女が通う城東西高校に転入する。」
「彼の3歳の時に死別した母も死者の姿を見る能力を持ち父は死者をはねとばす力を持っていたの。」
トレランティアが問う。
「どうしてその話を?」
マレが答える。
「私はこの世界は目に見えない物で溢れて居ると思うの。人は死んでも終わりじゃない。」
「それに、虫さんや猫ちゃんにも命があって同じように生きて居ると思うの。」
「それにね...」
トレランティアが問い掛ける。
「それに?」

マレが答える。
「君は少し松実優作君に似ていると思った。他の人とは違うなって。」
トレランティアが足を止めマレの顔を見つめ答える。
「君は...少しゆかりちゃんって子に似て居るね。繊細で優しい所が。」
マレが瞳を細めトレランティアを見る。
トレランティアが問う。
「俺たち付き合って居るのかな?」
マレは答えない。
トレランティアが答える。
「好きだよ。」
マレはトレランティアの唇にそっと優しくフレンチキスをする。
オーケアヌスの水面にocean projection®︎のプロジェクションマッピングが反射して光る。

©︎ Card Master

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