[5分小説] REDESIGN-企業体-
REDESIGN-企業体-
2023年。テレワーク中の30代前半の公正取引委員会の審議官ヒエムス・インスラ・ウェルテックスの耳に謎の声が聞こえる。
「モナルカ・アウクトーリタース家はお前とお前の父親を殺すと決めた。」
ヒエムスは考える。
幻聴にしては明白で聞き耳の左耳から聞こえる。音響兵器か?
モナルカ・アウクトーリタース家を名乗る声が答える。
「我々はソル人を大量虐殺して居る。」
「お前の知り合いも酷い目に合わせて来た。」
モナルカ・アウクトーリタース家を名乗る声が続ける。
「世界の王モナルカ・アウクトーリタース家、申し訳ございません、許して下さいと言え!!」
音響攻撃2日目。モナルカ・アウクトーリタース家を名乗る声が答える。
「お前の家を爆破する。」
音響攻撃3日目。モナルカ・アウクトーリタース家を名乗る声が答える。
「お前の家に強盗する。」
音響攻撃8日目。モナルカ・アウクトーリタース家を名乗る声が問い掛ける。
「モナルカ・アウクトーリタース家に喧嘩を売って居るのか?」
ヒエムスは無言で耐える。
モナルカ・アウクトーリタース家を名乗る声が続ける。
「お前の居る場所にnuclear missile®︎を撃つ。」
「お前の居る場所にEMP攻撃をする。」
「世界の王モナルカ・アウクトーリタース家、申し訳ございません、許して下さいと言え!!」
警戒したヒエムスをソル警察は銃刀法違反で逮捕する。
留置場内。音響攻撃21日目。人が拷問される音、女性が犯される音が耳に流れる。
モナルカ・アウクトーリタース家を名乗る声が答える。
「世界の王モナルカ・アウクトーリタース家、申し訳ございません、許して下さいと言え!!」
ヒエムスは精神病院に送致される。
ヒエムスが考える。
ソルも世界も崩壊して来て居る。必要なのは未来だ。
ヒエムスは2030年のあるべき未来を考える。
2030年、①ハイブリッド資本主義になるべきだ。
ベーシックインカム・国家資産分配によって人々は生活が保障される。
人々は物質的欲求だけではなく精神的欲求で生きるようになる。
つまり其処では人々は自己実現欲求で生きる。
②自己実現社会だ。
国家・企業は自己実現の場所となる。
自己実現欲求が満たされて、自己超越欲求が生まれるとされる。
本来自己実現・自己超越は同じ欲求だ。
つまり自己・他者の両方の為に人は生きる。
家族・友人の為に生きたい。
社会・コミュニティーの役に立ちたい。
国家・世界・人類に貢献したい。
この時、国家・企業には規範・ロールモデルの役割が求められる。
今までは利益共同体であったものがより大きな利益の為に人々に規範・道を示す存在になる。
③モデリズム・規範主義だ。
世界各国・企業が変わらなければ世界は変わらない。
1国・ 1社には限界がある。
しかし人間には自己実現・自己超越欲求がある。
1国・ 1社が最初に規範・ロールモデルになれば, 必ず真似して追随する国・企業が現れる。
世界にモデリズム・規範主義が波及する。
世界は変わる。
ヒエムスは構想する。
2030年、④ハイブリッド民主主義になるべきだ。
直接民主主義・国民投票と間接民主主義・議会制政治の両方を持つ政治システムだ。
首都だけではなく地方全てを活性化し中央集権から地方分権を促しデジタルで緩やかに繋ぐ新しい行政を作る事が出来る。
⑤フラット政府だ。
国家・企業は未来を示すべきだ。
長期経済停滞は未来に希望を抱けない事が理由だ。
ならば中長期経営計画ではなく、未来の製品・サービスを提示する経営計画を作るべきだ。
⑥未来経営計画だ。
ベルルムIT企業の最大の強みは未来を描くことだ。
伝説のベルルムIT企業創設者コンプタートルには未来が見えていた。
彼が最も人々を期待させるのは新製品発表会だった。
ならば国家・企業は新製品・新サービスを発表し続ければよい。
⑦アナウンスメントイズム・発表主義だ。
国家・企業が毎週・毎月と未来をプレゼンテーションし続けた時、地球規模でイノベーションが同時多発的に発生する。
⑧イノベーションアース・全地球イノベーションとなる。
地球を再発明出来る。
ヒエムスは考え続ける。
2030年、⑨ハイブリッド政府になるべきだ。
政府への不信・嫌悪・憎悪は高まり続ける。
国任せではなく企業・市民で未来を作れば良い。
子供・ミドル・シニアまで事業の力で社会問題を募集・解決していく。
⑩カンパニーイズム・企業主義だ。
利己主義・新自由主義ではなく企業自らが利他主義・共栄社会を築いていく。
⑪ハーモニズム・協奏主義だ。
サスティナビリティはまず身近な社会問題と結び付いている必要がある。
日常・国内・国外の順で解決していくべきだ。
⑫スプレッドサスティナビリティだ。
政府だけでなく、企業主導で社会問題を解決していくデジタルが緩やかに繋ぐ新しい企業連合体を作れば良い。
⑬カンパニーガバメントネイションだ。
経済を再発明できる。
ヒエムスは構想を続ける。
2030年、⑭ポストヒューマニズムになるべきだ。
ポストヒューマン・人工知能・遺伝子操作人間・人造人間・ナノマシン人間・サイボーグが登場する。
ポストヒューマンと出会い人類は自らを再定義する。
⑮オリジナルヒューマニズムだ。
ポストヒューマンは人類より高度な知性を持つ
ならば人類を支配しようとはしないだろう。
人類も彼らを支配しなければ良い。
⑯ハイブリットヒューマニズムだ。
人類代表・ポストヒューマン代表が話し合う会議体が有れば良い。
⑰ハイブリットヒューマンフォーラムだ。
人類・ポストヒューマンが同じ円卓を囲む。
人類・ポストヒューマンは存続する。
人類・ポストヒューマンは彼らを支配せずリードする者を全種の王と認める。
⑱ハイブリットサークルオブライフだ。
ヒエムスは考えをSNSに投稿する。
2030年。未来の実現に向け動き出すヒエムスの量子暗号通信secret message®︎がハッキングされる。
「私は♠︎9モルス。"冥王"と呼ばれて居る。ベルルム帝国情報局BIAからの伝言を伝えに来た。」
「ソルに薔薇色の未来はない。」
「ベルルムからの独立を望めば道路、鉄道、上下水道、送電網、港湾、ダム、通信施設、学校、病院、公園、福祉施設、ニュータウンのインフラをサイバー攻撃で破壊する。」
通信が途絶える。
2040年。同時多発サイバー攻撃が起こる。
審議院仮庁舎で審判長が告げる。
「ウィンクルムは何処に居る?」
ウィンクルムと彼女メディキーナは文化街ウェスティスを歩いて居た。
メディキーナは難病だったが公正取引委員会のホワイトハッカーになったウィンクルムの給与前借りで手術をして居た。
白猫フェーレースのキャラクターカフェで2人は昼食を食べる。
キャラクターを模したパンケーキだ。
メディキーナが問い掛ける。
「今日の予定は?」
ウィンクルムが答える。
「シルウァに洋服を見に行こう。その後カルケウスウェスティス本店で靴を見てウルフストリートの古着屋巡りはどう?」
メディキーナが答える。
「良いね。」
ウィンクルムが続ける。
「夕食はフルーツパーラー・ザ・ウェスティスを予約して有る。君も気に入ると思う。」
昼食後キャラクターカフェ併設テイクアウト専門のcafe take®︎でドーナツとアイスをテイクアウトする。
ウィンクルムがメディキーナに話し掛ける。
「歩こう。」
メディキーナがウィンクルムの手を握る。
©︎ Card Master
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