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さすがだね!と、言ってもらえる仕事です。でも、それよりも「社会人は楽しいよ」って伝えたい採用担当者のお話。

今回は新潟県新潟市にある、工作機械を製造されている協和製作所の藤田さんにお話しをお伺いしました。変化しつつある製造業の若手採用の現状や、藤田さんが着手した新しい採用活動について。聞き手はこつ子です。

藤田さん:よろしくお願いします!今日お話しできること楽しみにしていました。

藤田さん:当社は創業52年で、メーカーさんに頼まれた成形機や工作機械を作る会社です。機械部と組立部があるので部品を作って組み立てて、ほぼ完成形まで作り上げることも可能です。
ちなみに成形機というのは、プラスチック製品を成形する機械のことで、僕らはその機械を作っているというわけですね。その機械から、化粧品や医薬品のボトル、赤ちゃんの哺乳瓶なんかも作られています。

藤田さん:そうなんです!あのお菓子の容器や、あのマウスウォッシュのボトル、さらには世界の人々がお世話になったであろうあのボトルまで…。自社製品じゃないので、商品名をお伝えできないのが残念です(涙)

藤田さん:フライスや旋盤、研磨機など、金属を削る工作機械を作っています。お客さんからの依頼があれば何でも作りますし、修理なんかもやっちゃいます!

こつ子:私たちプラ工場がいつも製造に使っている成形機ですが、改めて考えると、それを作ってくださる技術者さんがいらっしゃるんですよね…成形機ってすごく大きいですが、それを作る設備となると相当大きなものが必要になりそうですね…。

藤田さん:当社で成形可能なところまで組み立てている成形機についてですが、大きなものだと長さ6.7m、総重量20tを超える成形機もありますよ!それを作るとなると、加工機も大きいし、クレーンの設備も大きくないとだめです。なかなか写真では大きさが伝わらないのですが…

藤田さん:大型設備があることは、うちの特徴でありプライドにもつながっていますね。当社の技術者は、大きな設備に加え、自分の技術や経験、勘所を武器に「よそでできないことを俺らがやるぞ」というプライドを持って取り組み、日々技量を高めています。お客様からも「協和さんに断られたらもう加工できるところないんだから!」と言っていただいています。お客様から頂いたご注文に、たとえ難しさがあっても、「俺たちがやらないと誰がやるんだ」という気持ちで、お客様の期待に応えるべく試行錯誤しています。

こつ子:藤田さんの前職は学校の先生だったと伺いました。藤田さんの穏やかなお話しの仕方や相づち、確かに先生っぽいです。どんな教員生活を送られたのですか?

藤田さん:優秀な子、元気の良い子、人見知りな子、大暴れする子などなど…いろんな子がいましたし、いろんなことがありました(笑)最初は先生って「教える」存在だから、しっかりしなきゃと気負う部分もありましたが、次第に授業で教える内容の前に、まずは人となりを伝えていくことの方が大切なんじゃないかなと思うようになりました。生徒たちからは、心が通じ合う瞬間の喜びをたくさんもらいましたし、まずは相手にまっすぐ向き合って、一生懸命に伝え、接することの大切さを学ばせてもらいました。

藤田さん:仕事はやりがいもあり、日々楽しかったのですが、数年が経ち「このまま教員を続けたらきっとこんな風になるだろう」という、自分のロールモデルになる先生に出会いました。こんな風に働いてもいいかなとも思いつつ、なんとなく将来が想像できるのは寂しい気持ちもあって…このままでいいのかな?と考え始めました。

藤田さん:家業である協和製作所に入社しました。創業したのが祖父で、現在は父が代表を務めています。

藤田さん:会社経営に携わるというチャンスは、誰もが持っている選択肢ではありません。幸運にも自分に与えてもらえたチャンスだと思い、このチャンスを楽しみたいなと思いました。教員の仕事は良くも悪くも縛りがあると感じていましたが、この仕事は、自分の努力次第で無限に可能性が開けるという点も魅力的で…また、家業ではあるものの機械製造という分野は未知の世界だったので、そこに挑戦できるということにもワクワクしていました。

藤田さん:うーん、入社初日のお昼休憩に「お昼休みって、昼食べたら何するんですか?」と質問したら先輩が困った顔をしていました。教員の時は、昼食指導してそのあとは生徒指導やら生徒と一緒に遊ぶやらという、忙しいお昼を過ごしていたので(笑)

藤田さん:それ以外では特に戸惑ったことはなかったですね…自慢になってしまうかも知れないですが、本当に穏やかで居心地のいい、それに楽しい雰囲気の会社なんです。

藤田さん:工場って、外からじゃ何をやってるのか分からないじゃないですか。地域の子どもたちには爆弾を作ってると思われていたこともあります(笑)工場で働いている人に対して、職人気質で気難しい、頑固っぽい、口下手そう…そんな少しマイナスなイメージを持つ人がたまにいるんですよね。うちの会社の人たちは、頼られるとイキイキしちゃう、優しい人が多いのに!

藤田さん:ありのままの会社を見てもらいたいし伝えたいなと思っています!良いところもそうじゃないところも含めて。世間では新入社員が入社後にギャップを感じて早期離職するケースが多いと聞いています。入社前後のギャップがないように発信出来たらベストだなと考えています。

藤田さん:若手の採用に力を入れています。当社の仕事内容的に「他の会社で経験があります!」というケースがとても少ないんです。似たような仕事に見えて全然違ったり、大きすぎて機械の操作が変わったり。なので経験のあるベテランを待つのではなく、若手を採用して未経験からプロに育てあげる気概で採用活動をしています。

藤田さん:うちはメーカーさんとの直接取引なので、リアルな反応が返ってくるところが大きなやりがいです。メーカーさんから機械のユーザーの反応を聞くと自分たちの技術を求めている人がいるんだと強く感じますし、それが海外からの声だったりすると、町工場でも世界に通用しているんだという自信をもらいます。プレッシャーも当然ありますが、「さすが協和さん」、「協和製作所に頼んでよかった」、「また頼むよ」そんなお客様の声こそが、何よりも技術者の活力になっていると思います。

藤田さん:お客様に必要とされるパートナーとなれるよう日々切磋琢磨しています。同じ仕事であれば前回より早く!前回より精度を高く!そうした技術に対して前向きな職場環境と先ほどのお話しした居心地の良さもあってでしょうか、離職率がとても低いんです!毎年新入社員が入っていて平均勤続年数が19年。これは本当にうれしいことだし、感謝しています。同じメンバーで長く働けるからチームワークも良くなるし、安心して働くことができてるんじゃないでしょうか。

藤田さん:ここ2、3年くらいで採用活動の環境が変わってきたように感じています。これまでは工業高校などに働きかけていたのですが、大学や専門学校に進学する子が増えているようです…。この辺で当社も採用活動について見なおす必要があると思っています。

藤田さん:そもそもこれまで出会えていた学生さんに会うことすらできなくなってきています。「まずは工場に興味を持ってもらわなければ」そんな思いから、昨年末にTwitterのアカウントを作り、年明けから自社のPRを始めました。

藤田さん:Twitterの投稿についてはまだまだ試行錯誤中です!トピックは何にするか、どんな言葉を誰に向けて発信したいのかなどなど…。想いが140字に収まらないことばかりです(笑)
 僕は、「言葉は生き物」だと思っています。いつ、どこで、誰と、どんな気持ちで話すのか、使用場面によって使う言葉って変わってくる。いろんな人と話しているうちに、自分の気持ちもはっきりしてきて使う言葉もシャープでスマートなものになるんじゃないかなと。だから言葉は大切にしていきたいと思うし、いろんな人が見てくれるツイートはこれからも丁寧に作っていくつもりです!

藤田さん:言葉にするのは恥ずかしいのですが…協和製作所やこのアカウントのファンが増えたらいいなと思っています!このSNS活動がきっかけとなって協和製作所のことを知ってもらえるだけでも嬉しいですし、その中の一人でもうちで働きたいと思ってくれたらこんなに喜ばしいことはないです!もしかしたら見てくれている人のお子さんが大きくなって協和製作所に来てくれるかもしれない。転職を考えている人が、当社のTwitterを思い出して応募してくれるかもしれない。

藤田さん:壮大なスケールではありますが(笑)最近では企業説明会で配る会社案内のチラシにTwitterのQRコードを入れてPRを始めました!フォローしてないけど見てる人もちらほらいるようなんですよ。少しずつ届いているのかなと思うと嬉しいですね。フォローしてくれたらもっと嬉しいですけど(笑)

藤田さん:学生さんにとって社会人って大変なイメージが強い気がするんです。毎朝早起きして満員電車で通勤する姿はどこか疲れている。そんな姿ばかりだと、社会人に対してマイナスなイメージが湧いてしまいます。でも私は「社会に出ること、仕事をすることって楽しいよ」ということを学生さんに伝えていきたいんですよね!責任が重いってのは言い換えると自分の裁量で仕事ができるってこと。自分なりに考えて行動したら目の前のお客さんが喜んでくれた。そんなのめっちゃ嬉しいじゃないですか!自分のできる範囲で頑張ることが他の人の幸せにつながる。そんな気持ちで少しでもポジティブに、そして楽しみに思ってもらえたらいいなと心から願っています。

こつ子:「協和製作所に入ってください!」って答えが来ると思っていたら、非常にスケールの大きな話でした!

藤田さん:もちろん協和製作所にどしどしご応募ください!良い出会いがあれば、何人でも採用して会社に勢いをつけたいと思っています!でもそれと同時に地域をしっかり支えて、若い人がちゃんと夢を見られるような環境作りのお手伝いができたらと思います。当社だけ良ければそれで良いわけじゃない。

藤田さん:6月から大卒、9月から高卒の学生さんの採用活動がはじまります。どんな学生さんに出会えるのだろうと、今からワクワクしています。

株式会社協和製作所

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