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上海モーターショー10大ニュース・前編

NO.1 ファーウェイはメガサプライヤーへ
 2021年4月19日に開幕した第19回上海国際モーターショーは、新型コロナウイルスの感染拡大後に世界で開かれた最大の自動車ショーで、自動車関連1000社超が出展し、電気自動車(EV)を中心に1310台が展示された。10日間で延べ81万人が来場した。
 新型コロナの感染防止対策として、入場時の体温検査や健康情報管理アプリ「健康コード」の提示が求められるとともに、会場内でのマスク着用が義務づけられ、スタッフや出展者などには事前のPCR検査、展示する車両の消毒も徹底された。

 今回のモーターショーは、日米欧大手自動車メーカーや新興EVメーカーに加え、ネット検索最大手の百度(バイドゥ)、不動産大手の中国恒大集団傘下の恒大汽車、ドローン世界最大手のDJIが初出展した。通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は、スマートカー関連システムを展示。「変化を抱きしめて」をテーマとした趣旨が反映される一方、世界中の最新のEVオンパレードとなった。

 筆者が注目した10項目を取り上げ、激動する自動車業界及び電動化シフトの実態を浮き彫りにしたい。

 ファーウェイはモーターや電池制御ユニット、ギアボックスなどを一体化した基幹部品「DriveONE」、高性能センサーの「LiDAR」、独自OS「鴻蒙(ハーモニー)」を搭載した車載デバイスなどを展示し、自動運転を実現するために必要な各種技術の準備が整っていることをアピール。次世代自動車分野でメガサプライヤーを目指す姿勢を示している。

 北京汽車傘下の北汽新能源(北京新能源汽車、BJEV)が発表した電気自動車「ARCFOXαS」の「HI」バージョンは、ファーウェイ製チップなどを採用した高級スマートEVだ。「HI」は「ファーウェイ・インサイド「Huawei Inside)」の頭文字で、ファーウェイの自動運転プラットフォームを全面採用していることを示している。

 かつては「インテル・インサイド」のロゴがパソコンの優れた品質の象徴であったが、ファーウェイは自動車産業におけるインテルのような業界地位を構築しようとしている。

NO.2  百度(バイドゥ)のEV参入

 バイドゥは、単独で初出展した。独自開発した自動運転プラットフォーム、アポロを搭載した車両を今年後半から毎月1車種を発売し、今後3~5年でアポロ搭載車両を100万台まで増やすことを目指す。すでに新興EVメーカーの威馬汽車(ウェイマー、WMモーター)に自動駐車システムを供給しており、自動運転車レベル4(完全自動運転技術)の走行試験の累計距離は1000万kmに達したという。

 バイドゥは2021年1月、中国自動車大手の吉利汽車とEVの合弁生産を発表し、IT・通信技術や人工知能(AI)を活用して自動運転やドライバーの利便性向上を実現するコネクテッドカーを2023年に投入する予定。

NO.3 日系メーカーのEVシフト

 Audi EV「コンセプトShangHai」

中国での新車販売が好調な日系自動車メーカーは中国政府の規制目標を達成するために、EVシフトをいちだんと加速している。トヨタ自動車はSUBARU(スバル)と共同開発した多目的スポーツ車(SUV)のコンセプトカー「bZ4X」を公開し、2022年中に発売する予定。レクサスもコンセプトカーのLF-Zエレクトリファイドを公開した。

ホンダは、中国初となるホンダブランドのEV、「ホンダSUV e:プロトタイプ」を世界初公開し、中国市場で2022年春をめどに発売する。

 日産自動車は、新型EV「アリア」を今年中に発売し、2025年までに日産独自の電動化技術「e-Power」を搭載した9モデルを中国市場に投入する予定だ。


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