イスラエルのTV局へのインタビュー動画から。ジェノサイドは身近にある。


TBSの記者が2023年12月21日、イスラエルのテレビ局の記者にインタビューをした動画がありました。


イスラエルのメディアがガザの様子を伝えていないのではないか、という視点から、イスラエルの人権派ジャーナリスト、ギデオン・ビュー氏にインタビューした後、イスラエルのテレビ局の記者にインタビューをしています。

イスラエルの視点からどのように戦争が見えるかが分かって興味深いです。

動画

動画:「ガザ被害を報じたか?」TBS記者が聞くと…「このインタビューは嫌です」取材中断 イスラエルのTV局キャスターを直撃【増尾聡】【WORLD REPORTS】

ジェノサイドは身近にある

ジェノサイドに関する訴訟の観点から興味深いのは、インタビューの最後にイスラエルの記者が話した以下のコメントでした。

「ガザが攻撃を仕掛けたのです。ハマスではなく、ガザがです」

国際司法裁判所における南アフリカとイスラエルのジェノサイドの訴えについて、争点は、ガザのパレスチナの人々という集団そのものに対する破壊の意図の有無でした。

南アフリカは、ハマスだけでなく、パレスチナの人々に対する破壊の意図があると主張し、他方、イスラエルは、戦っている相手はハマスであり、パレスチナの人々を相手としているのではない、と主張しました。

この争点から上記のインタビューを見てみます。

「ガザが攻撃を仕掛けたのです。ハマスではなく、ガザがです」

ここでは、ハマスではなく、ガザの人々が攻撃してきた(から、ガザの人々が攻撃されるのはやむを得ない)という認識が見て取れます。

これは、ジェノサイドの意図がある、ということを肯定する要素になりますが、インタビューを受けた本人は、この発言がジェノサイドの意図に当たる可能性があることに気付いていないでしょう。

もしテレビ局が「攻撃を仕掛けてきたのはハマスではなく、ガザである」という認識で報道し、軍人も一般人もそのような認識でガザで戦争しているとしたらジェノサイドが起こる可能性は極めて高くなります。

もっとも、隣国にある特定の武装組織から攻撃を受けたら、その武装組織だけでなく、その隣国そのものを敵だと捉えてしまうのは、ある意味、自然な流れです。

しかし、だからといって、武装組織の構成員ではない、隣国の民間人を攻撃して、何万人も殺したらジェノサイドです。

このインタビューから思うことは、ジェノサイドは身近にある、ということでした。