祖母の傷

数年前に老衰で亡くなった父方の祖母。
子供の頃に祖母は双子だったと聞いた。

祖母が60歳の時に私は産まれた。
同じ干支、1日違いの誕生日。
似ているところも多くあった。

私が小学生の頃に双子だったと聞いた。
その話を祖母にたずねた。
そしたらニッコリしながら
昔の話を祖母はした。
「双子の1人は産まれてすぐ死んでしまったんよ。
おばあちゃんはあんまりいい子じゃなかったから、あの子が生き残って、逆だったら良かったのに、ってよく言われてたんよ。」と、話してくれた。
当時の私は理解できなかった。
ただ、双子の話は二度と触れてはいけない。
そう思った。そして二度と触れなかった。

そんなことを急に思い出した。
その会話をした時、
祖母は70歳前後だったと思う。
結婚し、子供を産み育て
孫もたくさん産まれた。
それでも、忘れることはなかったのだろう。
「逆だったら良かったのに。」
その言葉の傷を、抱えて生きていたのかな?
あの時、ニッコリしながら話していたけど、
とても深い傷のように、私は感じた。

40歳になった私も、子供の頃に言われた
「あんたが産まれて、お父さんは好きなことができなくなった」
そう母に言われたことは鮮明に覚えてるし
私が産後、3人くらい子供が欲しいなと、
母に話したら
「子供なんて1人でいいのよ。周りに一人っ子は可哀想だから兄弟いた方がいいって言われて
二人目作ったけど、失敗だった。」と
二人目の私に平然と話す
母の姿を忘れることは
とても難しい。

自分の存在を否定されることは
いつの時代も傷だ。

祖母はもう居ないけど
祖母の傷も、成仏できたらいいなと
思った。


#毒親
#毒親育ち
#成仏



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