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【画廊探訪 NO.112】この身にまとう精霊の歌―――The Art Fair 「PLUS―ULTRA2014」Gallery龍屋 Hope Doe出品作品に寄せて―――

この身にまとう精霊の歌
―――The Art Fair 「PLUS―ULTRA2014」Gallery龍屋
   Hope Doe出品作品に寄せて―――
襾漫敏彦
 人類は、その長い歴史の中で、戦い続けてきた。勝利した蛮族の物語が新しい虚構としてうち立てられ、敗者の神話は破壊される。そして語りつがれてきたささやかな多くのものは圧し潰されてゆく。アメリカの南北戦争は、奴隷解放の記念碑として名高い。けれども、この戦争は、そのこと以前に連邦からの離脱を表明した南部諸州を制圧する戦いであった。戦闘と占領を通して、南部の文化は破壊されていく。

 ノースカロライナから太平洋を越えて、伊勢の地で絵を描く一人の女流画家がいる。彼女、Hope Doe嬢は、我々のまわりに共にある存在を求め続けてきた。そして、自分自身を変え、更なる精霊との出会いを求めて、ありとあらゆるものの向こうに霊が存在
にまとわり動くものを描きいれ、作品を一つの独立した完成体として拵える。例えば、円形の作品では縁が丁寧に装丁され呪力を込めたペンダントでもあり破魔の鏡のようでもある。それは、絵を描きいれた盆や漆器にも通じるかもしれないし、イコン画の流れをくむのかもしれない。

 彼女描くものは、人によっては精霊とも妖怪ともいうだろう。その顔立ち、人々、風景は、森と魔法というドルイドやケルトという北欧的な印象より、灌木と草原、長老、騎士というラテンやシャーマンといった南方の香りが漂う。その土地、土地の人々の仕事や振舞いの中には、壊されてきた文化の名残りや風土との調和が残っている。精霊の叫びの彼方に、今は消されてしまったいにしえの歌声を「ほぷ」は、思い浮かべているでしよう。

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インスタグラムの動画アップします

ネットで、Hope Doeで調べてみたください。色々と出てきます。

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