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【テレビドラマ】山田太一さんの脚本ドラマのマイベスト1は「ありふれた奇跡」

山田太一さんが亡くなられた。ご冥福をお祈りしたい。

以前、有料チャンネルの日本映画専門チャンネルで「山田太一劇場」という特集が長期間あり、そこで放送された作品はほとんど録画してブルーレイディスクに保存した。

「早春スケッチブック」(1983 フジテレビ)、「想い出づくり。」(1981 TBS)、「岸辺のアルバム」(1977 TBS)、「ながらえば」(1982 NHK)、「それぞれの秋」(1973 TBS)、「シャツの店」(1986 NHK)などが特に好きな山田太一脚本ドラマだ。それ以外にもたくさんあるのだが・・・
私はシナリオ本を読むのも好きなので、山田太一さんのドラマ脚本も活字でずいぶんと読んでいる。

数多い名作ドラマの中で、私が一番好きなのは最後の連続ドラマ
「ありふれた奇跡」(2009 フジテレビ)だ。
名作キャッチコピーのようなタイトルもグッとくる。
これは放送時に毎週観ていたので特に印象深い。

山田太一さんの訃報の後、録画してあったブルーレイディスクで1話から観なおしたのだが、大げさではなく、すべての回(全11話)が「泣ける」なんていう単純なものでなく、「身体が震える」ような感動で。

山田太一さんは1934年生まれなので、75歳くらいの時の作品である。
75歳にして20代後半の若者を主人公にした、こんなに美しく、深い恋愛ドラマのシナリオを作り出せるとは。
ドラマのタイトルではないが、本当に奇跡のような素晴らしいドラマである。個人的には、他の山田太一脚本作品も含めて、これまで観てきたテレビドラマの名作の中でもナンバーワンだ。

仲間由紀恵(綺麗!)、加瀬亮の二人のラブストーリー(二人とも過去に自殺を考えたことがあるという設定)を中心に、陣内孝則、八千草薫、風間杜夫、戸田恵子、松重豊、井川比佐志、岸部一徳などのキャスト。

脚本、演出、映像、俳優の台詞・演技等が見事なのは言うまでもないが、このドラマの音楽も本当に素晴らしい。
メインテーマ曲とエンヤの主題曲「ありふれた奇跡」(Dreams Are More Precious)。2曲とも心に染み入る名曲だ。

基本的には自殺未遂という重たいテーマが基調となるラブストーリーであり家族ドラマなのだが、くすくすと笑える台詞やシチュエーションもあり(加瀬亮の父親役=風間杜夫と祖父=井川比佐志のやり取りなど)、そして結構驚きの設定もある。未見の方のためにここでは書かないが。
名作「想い出づくり。」にもラストの方で「ええっ」と驚かされる展開がある。これも凄い!
浅草生まれの山田太一さんの視聴者向けの遊び心、洒落っ気だろう。

山田太一さんの2冊のエッセイ集「月日の残像」(2013 新潮社)と「夕暮れの時間に」(2015 河出書房新社)。
2015年に都内でトークショーとサイン会があり、それぞれのエッセイ本にサインをしていただいた。2回とも何も話はできず(サイン会で後ろで並んでいる方もいたので)深々と頭を下げた。それを見た山田太一さんが「どうも」と言っていたような記憶がある。

山田太一さんの講演やインタビューなどの動画や音声は、YouTube等で検索すると視聴可能だが、私は山田太一さんの穏やかな声や笑顔もとても好きだった。


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