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オブリ用

昨日は、久しぶりにまとまった量の仕事が入った。が、午前中で終了。午後は何もないようだったが、子どもの下校が早く、眠さはあるのに寝られるタイミングがなかった。

ついでに夕方には「千本桜」のエレクトーン用の楽譜が届いた。私の眠気覚ましに選んだ曲で、一昨日、購入した楽譜。何だか早い到着だった。楽譜が想定と違わないことを確認し、すぐに楽譜と楽器に合ったレジストのデータを購入した。どれだかわからなくならないうちに。

購入もUSBメモリーへの保存も、子どもの用で何度もしていることなので、処理に悩むこともなく完了し、エレクトーンの前に座った。早速、弾きたいというよりは、眠いこともあり、データ内容の確認までのつもりだった。

……だが、その先がかなりの遠回りだった。昼寝不足のせいだったのか。

保存したファイル名に「(オブリ用)」と入っていたのは、パソコンの画面でも気づいた。オブリって何?とは思った。

ダウンロードページの説明には、参考演奏入りレジストと書かれていたので、問題だとは思わなかった。参考演奏は、自分では弾かない部分の演奏に使えるデータ。もう一つのダウンロード用データは、参考演奏のないレジストと書かれていた。間違いはなさそうだった。

データが正しく再生されているのか、鍵盤の音は問題なく出るか、念のための作業ではあるが、いつも通りに楽譜を広げ、再生しながら適当に鍵盤を押した。

が、眠い頭で聞いても、何かが確実におかしい。

「千本桜」を、エレクトーンやピアノの演奏としてしか聞いてきていなかったせいか、ヴォーカル部分の音がないことに気づかなかったらしく、何がおかしいのかわからなかった。一昨日、歌が入っているのを一度は聞いたが、あまり覚えていない。

楽譜とデータの進行が合っているのかも、セーニョやコーダのマークが見つけにくく、一度ではわからなかったことで、音のおかしさはどこからくるのか、まるでわからなかった。

何度か聞いているうちに、どうも歌詞のありそうな部分の音がないことがわかった。その部分には、メロディーにハモるための音は入っていた。エレクトーンの設定の問題なのか、ダウンロードしたデータ保存を失敗したのかと思った。

一つ一つの音色を確認すると、いくつかの上鍵盤の音がミュートされている。それは歌詞のありそうな部分。音量を上げるとそれらしいメロディーの音だが、最大音量にしても全体的なバランスがおかしい。

楽譜のそばの解説文というのか指示書のような部分になら、何か書いてあるかと見るとオブリ用という言葉はあった。その辺りを読むと伴奏の話をしている様子だった。

音量の設定の問題なのか、保存したデータ自体が間違っているのかとパソコンに戻った。

レジストや楽器まで同じではなさそうだったが、同じ楽譜での演奏動画は、いくつかYouTubeにある。ミュートされていた辺りの音量の設定を見ると、私の設定の問題ではなさそうだった。

そこでようやく、オブリ用と書かれているデータファイルではダメなのではないかと気づいた。

オブリが何なのかをGoogle検索した。Obbligatoオブリガートという、メロディーラインを引き立てるサブの旋律のようだった。確かにそんな音は再生されていた。歌詞のある部分はエレクトーンで弾かない、伴奏仕様ということらしかった。

再度、レジストのダウンロードページへ行き、参考演奏なしのレジストと書かれている、もう一つの方をダウンロードしてみた。保存したファイル名には「(メロ用)」と書かれていた。ようやくまともなデータをセットできたらしかった。

かなり暗くなった夕方の写真からも、更に時間が経った後、確認のために再生した。違和感のないデータで問題もないことを確認した。

オブリって何?と思った時点で、さっさと調べるべきだったらしい。調べなくても、楽譜のそばの解説文全体を先に読むべきだったのだろう。「ソロアレンジで弾く場合は(メロ用)の別売レジストで」と冒頭に明記されていた。

無駄な時間だったとも思っていないが、何だか遠回りだった。ダウンロードページの説明も間違っているので、自分のせいばかりでもない。

エレクトーン用にレジストデータを保存する手順はいつも問題ないのだが、毎度、ダウンロードするデータを間違っているのは、ダウンロードページの内容に騙されているのではないかとも思われた。

購入は合っていても、今回のように必要なデータが足りなかったことは以前にもあった。なので、その次のときには全部をダウンロードすると、使わない紛らわしいファイル名のデータが含まれていた。

楽譜も楽器も音楽も、詳しく上手い人のためだけにあるのではないと、一昨日と同じことを眠い頭で思った。人に伝わる演奏をしたいなら上手さは必要だろうが、下手なら聴くだけに固定されたくはない。

楽譜や楽器や音楽がわかりやすく親しみやすいなら、音楽教室の必要性が薄れてしまうのだろうか。というより、好きに楽しむ基礎を教えるための教室なのだろうと思う。それでも、無駄にハードルを上げないでほしいと思う。

音楽だけの話でもなく、スポーツでも似た話になりそうだ。初心者でも下手でも、画面経由や遠くで眺めている楽しさだけに固定されたくはないだろう。

そんなことを眠い頭でぐしゃぐしゃと考えているうちに、珍しくスマホで入力していた日記が、眠さのあまり誤操作で全削除のうえ自動保存されそうだったので、画面を閉じて寝た。