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京都外国語大学 CEP 2022 Part.3

2022年2月14日~2月18日の5日間、京都外国語大学グローバル観光学科2回生の観光を学ぶ学生たちが、CEP(※1)の授業の一環で地域密着型観光を学ぶため京丹後を訪れました。

※1 コミュニティエンゲージメントプログラム(CEP)は京都外国語大学グローバル観光学科のプログラムの一環で、日本や海外の地域社会を拠点に、現実的な課題の解決に取り組むクラスです。

Part3の記事は、実地研修3日目~5日目についてです♪
(Part2についての記事はこちらをご覧ください!)

1.3日目

【3日目訪問先】
梅本農場
ランチ(Organic caféてんとうむしばたけ)
立岩 ・大成古墳群
株式会社日本玄承社
京丹後森林公園スイス村宿泊

▶梅本農場

この日は2日目までの天気が嘘だったかのような大雪。
凍えるような寒さの中雪の上での農業体験でしたが、このような天候の中でも農家さんは畑に出て仕事をしているという現実も味わってもらえたのではないかと思います。

まずは、梅本農場の堆肥作りの現場を梅本さんに案内していただきました。
梅本農場では落ち葉などの有機ごみを積み上げて、微生物によって長い時間をかけて自然に分解させた堆肥で野菜を作っています。

堆肥の山からは独特の香りと湯気が。
無数の微生物がこの瞬間もまさに有機ごみを分解しているということを実感します。

農業体験では、スタッフの清水さんにお世話になりネギの周りの雑草抜きを手伝わせていただきました。

最後に人参畑を案内していただき、その場で土から抜いた人参を丸かじりさせていただきました!
なんとほとんどの学生が人参を生で食べたことがないということでしたが、恐る恐る土と雪を払って生でかじりつくとその甘さに皆驚いていました!

塩麹
納豆

農場見学と農業体験の後は、梅本さんのご自宅にお邪魔し梅本さん手作りの塩麹と納豆を見せていただき、発酵食品と健康についてのお話をお伺いしました。

・・・学生からのコメント・・・
京丹後に着いてからちゃんとした雪が初めてでその中での農業体験は数時間だったからこそ楽しかったけれども、農家の方々は毎日農園に行って毎日同じ作業をしていて本当に尊敬した。大切な堆肥の中にも土に還ることのできない人工的なものが沢山あって驚いた。生で食べた人参は今まで食べた中で1番美味しかった。

▶ランチ(Organic caféてんとうむしばたけ)

ランチは梅本農場の有機野菜を使用したランチやスイーツがいただけるOrganic caféてんとうむしばたけでいただきました。

ランチの前に対馬シェフから食と健康に関してお話をいただきました。
普段食べるものについてあまり気を遣っていない学生がほとんどでしたが、振り返りアンケートの中でも対馬シェフからのお話を聞いてから、毎日口にするものに気を配るようになったと書いている生徒が多くいました。

・・・学生からのコメント・・・
てんとうむしばたけのオーガニックカレーを食べる前に対馬さんのお話を聞いてとても感銘を受けた。人柄はもちろん意識の高さに本当に感心した。私自身ずっと言っていた「一人暮らしだから1日お茶碗一杯のご飯しか食べないこともある」ということが改めて良くないことだと分からせてくれた。だからといってビタミン剤で栄養を補うのではなく少し手間でもスーパーに行って野菜を切って炒めるだけでもいいから少しずつ意識して行けたらいいなと思った。なんでも食べられたら良いと言う風な考えが180度変わったような気がする。

▶立岩 ・大成古墳群

雪の中の立岩も素敵でした

梅本農場の後は、山陰海岸ジオパークの立岩・大成古墳群に。
この吹雪の中野外での見学には過酷な状況でしたが、普段これほどの雪を見慣れていない学生にとってはとても特別な景色だったらしく、皆大はしゃぎで写真撮影や雪合戦をしていました。

道の駅てんきてんき丹後内にある「まちづくりサポートセンター」で、ガイドの中江先生にジオパークの成り立ちやその魅力についてご説明していただきました。
悪天候にも関わらず、丁寧にガイドをして下さった中江先生に感謝です!

・・・学生からのコメント・・・
荒れる日本海ととても過酷な天気を身に感じました。豹変する京丹後の天気についていつも話は聞くのですが、体感できました。

▶株式会社日本玄承社

3日目の最後は、株式会社日本玄承社を訪問しました。

刀鍛冶の黒本さんを含む若手刀鍛冶の3人は、2021年に京丹後市に移住をして現代の美術刀の製作拠点として、また、観光・体験拠点と しても活用できるよう、空き家をリノベーションされ刀鍛冶工房を新たにオープンされました。

この日は、日本刀を実際に持たせていただいたり、工房で刀の原料や完成までのプロセスを説明していただきました。

作品作りのプロセス

刀を一本作るために途方もない時間と労力がかかっていて、またそれぞれの行程に様々な職人が関わっているという事が分かりました。
また全国で後継者不足により職人の数が激減してるという現状もお聞きしました。このままだと日本刀という1つの日本文化が失われてしまうことになるのではないかという危機感を感じます。

初めて目の前に本物の日本刀を見た学生達からは歓声が上がっていました。

学生からの日本刀の使用用途についての質問に対して黒本さんは、武器としてというよりは、本質的には精神統一のために愛でられるケースが多く、日本刀は日本人の精神性そのものを表しているのだと仰っていました。

実際に刀を打たせていただきました。刀鍛冶のお2人は簡単そうに行っていましたが、やってみるとハンマーの重さに持ち上げるのも一苦労です

・・・学生からのコメント・・・
おもちゃ、プラスチック製以外の正規の日本刀を初めて見て、とても良い経験ができたなと思った。最近では「鬼滅の刃」などで刀の認知度が上がっているが、偽造品が出回って売買されることが無いことを祈りたい。今でもこうして伝統を絶やさないように刀を作っている人がいることに感動した。

▶京丹後市森林公園スイス村 宿泊

3日目から宿泊するのは、弥栄町にある京丹後市森林公園スイス村。
ここは標高の高い場所に位置するためさらに凄い量の雪です。宿泊棟のある場所までも、普通の車では上がれないため雪上車で向かいます。

初めて見る雪上車に学生達は大はしゃぎでした

3日目のこの日は、「〇〇にお勧めしたい京丹後」というテーマのもと、今までの実地研修で実際に現地で様々な体験をしたり地域の事業者の方々と交流する中で感じたことなどを活かした案を、それぞれのグループに分かれて考えてもらいました。

そしてこの日の夕食は支配人の森川さんのご厚意で絶品のカニ鍋を出していただきました!

事前に調べる中で、蟹が京丹後の冬の幸としては特に有名で、それ自体が観光コンテンツにもなっているということで実地研修でも食べてみたいと言っている学生が多かったため、皆大喜びでした。

2.4日目

【4日目訪問先】
牡蠣筏見学(民宿 豊富士
豪商稲葉本家
ランチ(お食事処なかじま

▶牡蠣筏見学

京丹後の蟹以外の冬の幸として有名なものといえば、やっぱり牡蠣です。
久美浜湾には山からの栄養と海の栄養が混ざり合い美味しい牡蠣が育つのにはもってこいの環境が整っています。

4日目の初めは、そんな久美浜で牡蠣の養殖と体験も提供されている豊島さんにお世話になり、牡蠣の養殖の現場を見せていただきました。

船に乗り筏のある場所まで移動します
牡蠣を引っ張り上げる作業も手伝わさせていただきました。吹雪の中の不安定な筏の上で重たい牡蠣を引き上げるのは大変な作業です
取れた牡蠣は一枚一枚はがして綺麗に洗浄します。
豊島さんのご厚意でお土産として沢山の牡蠣をいただきました!

この一連の作業も通常は全てお一人でやられるそう。体験してみて改めて漁の過酷さを実感しました。

・・・学生からのコメント・・・
冬の寒い時期であの短時間でも凄く体が冷えて手もかじかんだ状態で仕事をしていました。そんな状況でかなりの仕事量をこなされてる現場を知ることが出来たのはとてもいい経験でした。簡単に私の目の前にあるような感覚でしたが、かなりの労力が重なっていて、なのにあまりお金に変わらない現実があることを知りました。
実際に漁師を仕事としている人が主体となって体験型観光を生み出しているのは画期的であると感じました。なかなか二つを両立するのは難しいと思うので誰もができることではないと思いました。

▶豪商稲葉本家

京丹後市久美浜町にある「豪商稲葉本家」は、江戸時代この地で糀製造で得た富を背景に廻船業を営み、沿岸交易によって巨富を得た稲葉家の豪邸を再生した施設です。

館内をスタッフの井蓋さんに案内していただきました。
嫁入りかごに入らせていただきました

また、館内には「時空を超えるポスト」というものがあります。
これは3年後、5年後、10年後と自分が選んだ入口に専用のはがきを投函すると、その日からカウントされて~年後に手紙が届くといったものです。
学生の皆さんにも数年後の自分に向けて手紙を投函してもらいました。

▶ランチ(お食事処なかじま)

ランチはお食事処なかじまさんで朝豊島さんのところで収穫した獲れたての牡蠣を蒸し牡蠣にして提供していただきました!

カキフライも!牡蠣づくしの贅沢ランチです♪

・・・学生からのコメント・・・
市販のスーパーで売られているようなカキフライしか食べたことがなく、蒸し牡蠣を食べることができるか少し心配だったけど、本当に甘くて美味しくて豊島さんとお食事処なかじまさんの暖かさも感じることができて大満足だった。自分が社会人になったら親孝行として京丹後に連れて行きたいと思った。

3.5日目

【5日目スケジュール】
スイス村雪遊び
ランチ(葉っぱがシェフカレー)
振り返り・グループ発表
京都市内出発

▶スイス村雪遊び

いよいよ長かった実地研修も最終日です。
この日は朝から宿泊先である京丹後市森林公園スイス村のゲレンデで雪遊びをしました。

ここまでの雪の中で遊ぶことが滅多になかった学生達。
スノーシューズを履いてゲレンデをお散歩するチーム、スノーチューブでそり滑りチームに分かれ、朝からお昼までの時間たっぷり雪を楽しみました。

・・・学生からのコメント・・・
普通であれば、設備の老朽化やスキー人口の減少、近年の雪不足などが原因でスキー場としての営業を終えたのであれば、そのままこれから先も閉鎖してしまいがちであると思いますが、京丹後森林スイス村では、元ある資源を最大限に活かしてリニューアルをし、事業活動を再開しているところに感銘を受けました。また、スキー場であれば、小さい子どもを連れて行くことは危険であったり、安心して楽しむことができないことが懸念されますが、太鼓山スノーどんどんパークでは、ふかふかの雪の上でスノーアクティビティを体験することができるため、不安なく気軽に来訪することができるということを実際に体験を通じて気付きました。

▶ランチ(葉っぱがシェフカレー)

お昼は山菜や野草を利用して味付けされた葉っぱがシェフカレーをいただきました!

また、オンライン講義でお世話になった合同会社tangobar関さんの製造している京丹後の海の幸を詰め込んだ缶詰も試食させていただきました!

▶振り返り・グループ発表

最後に1人ずつ実地研修5日間の振り返りと、各グループに3日目のグループワークで話し合ってもらった「〇〇にお勧めしたい京丹後」というテーマで発表をしてもらいました。

「新しく何かに挑戦したい人にやさしいまち」

「新しく何かに挑戦したい人にやさしいまち」
オンラン講義や実地研修で出会った事業者の方皆が京丹後で失敗を恐れず新しいことにチャレンジされていることから、京丹後はチャレンジを後押ししてくれる環境や人に恵まれている所だと感じたそうです。

「人生迷子中の人にやさしいまち」

「人生迷子中の人にやさしいまち」
学生自身将来就職活動を控えている中進路に悩んでいる生徒も多かったのですが、京丹後で様々なキャリアや職業、働き方をする方に出会ったことで、自分たちの進路に対する視野も広げることが出来たといいます。

「諦めた人にやさしいまち」

「諦めた人にやさしいまち」
このグループは、特に京丹後市の観光地における公衆トイレに注目をして実地研修中も様々なトイレに視察に訪れていました。
その結果まだまだ障害のある方、子連れの方、性的マイノリティの方が快適に使える環境のトイレが少ないことに気付き、観光に行きたくてもそのようなハードルがあって旅行をあきらめてしまっている方達にも楽しんでいただけるような場所であってほしいという思いからこのテーマを選んでくれました。

▶京都市内へ出発

いよいよお別れの時です。
ゲレンデから駐車場まで送迎に来てくれるはずの雪上車が雪の中にスタックしてしまうという事故があり、急遽そりで向かう事に!
積雪60㎝以上の大雪の中ではトラブルも絶えませんでしたが、皆そんなハプニングさえも楽しんでくれました。

前回の夏のプログラムと違って厳しい天候の中での実地研修でしたが、学生達のお陰で冬の京丹後の魅力を、主催者側の私たちが気付かされた5日間でした。

また、無事になんとかこの研修を終えることができたのは、急な天候の悪化による時間の変更や悪天候の中での体験プログラムの提供に快くご協力いただいた事業者の皆様のお陰です。学生達も振り返りで口をそろえて言っていましたが、改めて本当に京丹後はあたたかい方々に溢れた町だと実感しました。

次は実地研修を終えた学生達による最終発表についての記事です!
是非ご覧ください♪

Writer:岸 あやか(一般社団法人Tangonian)

\Tangonianウェブサイトはこちらをご覧ください/



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