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京都外国語大学 CEP 2022 Part.4

2022年2月14日~2月18日の5日間、京都外国語大学グローバル観光学科2回生の観光を学ぶ学生たちが、CEP(※1)の授業の一環で地域密着型観光を学ぶため京丹後を訪れました。

※1 コミュニティエンゲージメントプログラム(CEP)は京都外国語大学グローバル観光学科のプログラムの一環で、日本や海外の地域社会を拠点に、現実的な課題の解決に取り組むクラスです。

Part4の記事は、事前オンライン講義や実地研修を経ての学生達の最終発表についてです♪
(Part3についての記事はこちらをご覧ください!)

1.個人発表

個人発表では是非オンライン講義や実地研修でお世話になった事業者の方々にも見ていただきたいという思いから、各事業者あたり1名担当で、「それぞれの活動を通して何を感じたのか?」「活動を体験する前と体験後で考えが変わったとしたらどういう点か?」「具体的な学びや気付きはどんなものであったか」「今後その学びを活かすとしたらどう活かせるか」といった点について発表してもらいました。

2.グループ発表

各グループが実地研修前の発表内容と比較して、現地でのアクティビティや地域の事業者の方々との交流を通して京丹後の魅力について体感したことを反映した内容になっていました。

▶グループ1 外国人チーム

グループ1は外国人観光客に焦点をあてて発表をしてくれました。

◎ターゲット 
京丹後に合った観光客のイメージ
・何度か日本に来ている、または日本在住の人
・田舎や日本文化、食に関心が高い人
・新しく何かを始めたい人
⇒ ペルソナイメージ
・日本に留学に来ている
・日本語を勉強したい
・日本人と交流したい
・日本文化に興味がある
・将来は日本で就職したいと考えている

◎具体案
丹後ちりめんの工房や稲葉本家の見学と、日本伝承社や小嶋庵、また酒蔵の見学などができる少人数での一泊二日プランを作りました。
このプランには実地研修で訪問した事業者が多く盛り込まれていますが、実際に現地で体験したからこそキャパシティーを理解することが出来、大人数ではなく少人数の方がより良い体験ができるということも分かったのではないかと思います。
また、京丹後での観光においてやはり交通の面が課題だと実感し、その解決策としてWILLER株式会社が実施している「mobi」というタクシーサービスや、レンタカーなどを利用して各訪問先をまわるという案も出されました。

◎認知度向上へ
また京丹後での体験や学びのコンテンツの認知度向上のために、SNSでの効果的な宣伝方法についての提案もしてくれました。

◎まとめ
・京丹後では都会から離れて体験できることが沢山ある
・食文化や伝統産業、人々との関わりなどを通して密度の濃い観光を行うことで京丹後の魅力について知ってもらうことができる
・このプランが留学生の日本での就職の選択肢になり、さらにそこから移住につながることも期待できる

▶グループ2 若年層の観光客を増やすためには

グループ2は京丹後の観光地における公衆トイレに着目して発表をしていました。
「若年層の観光客の満足度を上げるためには」というテーマで、公衆トイレに着目した理由として、19歳~30歳の友人に「観光地において重要視すること」をアンケートした結果、意外にも公衆トイレの衛星状態が気になると答えた声が多かったからだといいます。

◎現地調査
このグループは実地研修でも海水浴場など観光地に設置されている公衆トイレをいくつか調査していました。その結果、やはり誰もが気持ちよく使用できるトイレとはほど遠いものだったといいます。

◎課題
しかし、このような現状を何とかすると言っても、公衆トイレを改修するには多額の費用がかかるなど容易ではありません。

◎トイレマップ
そこで、トイレを新たに増築したり改修したりするのではなく、周辺の商業施設や飲食店と協力して、各お店の既存のトイレを一部リノベーションするという案を提案してくれました。
さらに、福島市が行っているような「トイレマップ」を製作して協力してくれる商業施設や飲食店を記載することで、そのお店にとっても集客に繋がり一石二鳥なアイデアです。

◎全ての人のための多目的トイレ
またトイレのデザインとしては、多目的トイレとしてリノベーションすることで、誰でもより快適に観光を楽しむことができるといいます。
例えば、障害を持った方→手すりを付ける
子連れの方→ベビーベッド、ベビーチェアコーナー
着替え目的→フィッティングボード
LGBTQ→男女の境がなく入りやすい

◎地域の特性を活かした仕掛け
ただ快適に使ってもらうだけではなく、丹後ちりめんや丹後エクスペリエンスのプレシャスプラスチックを使用するなどして丹後の魅力を楽しんでもらえるトイレといったアイデアも提案されました。

どれだけ美しい観光地でも公衆トイレのような根本的なインフラが整っていない環境では、誰もが楽しめる観光地とは言えません。
さらに、トイレを綺麗にするというだけではなくトイレマップや丹後の魅力を盛り込んだトイレなど、様々な文脈に派生されておりとても面白い発想でした。

▶グループ3 京丹後ヒューマンツーリズム

実地研修で関わった事業者の方々との写真が盛り込まれた表紙!素敵です

グループ3は、「閑散期の観光資源の発掘」という当初のテーマから、京丹後の人に焦点を当てた「ヒューマンツーリズム」というテーマに途中変更しました。その理由として、実地研修での様々な人との出逢いを通して京丹後の一番の観光資源は”人”だと強く感じたからだといいます。また、観光地に住む地域の方のことを鑑みて、閑散期も地域には必要で、常に繁忙期である必要はないとの結論になったそうです。

◎京丹後の一番の観光資源は人!
その理由として、

• 実際に自分たちをもう一回京丹後に行かせる理由は場所でもない、食でもない、 アクティビティでもない、「人」である
•人との繋がりを大切に思うから、何回も行きたくなる、リピーターになる
• 現地研修で出会ったほとんどの人が京丹後の人の魅力を語っていた
• 家に帰ってからも観光資源と繋がり続ける事ができる
• 今回の実地研修でお世話になった事業者さんの何かに取り組む熱量や優しさは、他の地域にはない観光資源ではないかと考えた
• 特産品と違い、現地でしか味わえないものである
• どの季節に行ってもその人達がいるが、同じことはしていない 例(新たな挑戦、活動内容、事業内容)
⇒「人」に閑散期はない

◎事前学習型観光

また、今回実地研修前にオンラインで事前学習を行いあらかじめ地域の事業者の活動内容や想いを知っておくことが出来たことで、現地での学びが深まったといいます。そのことから、オンラインツアーと現地でのツアーの掛け合わせが良いのではないかという提案もされました。

◎ターゲット
このヒューマンツーリズムのターゲットは「迷子の人」(目標が見つからない人、メンターを求めている人、何かきっかけが欲しい人)です。

その理由として、実地研修で出会った方々が、
・第一線で活躍されている人が多かった
・人間味に溢 れ、優しく、自分の経験をシェアしてくれた
・何かのきっかけをくれる人が多かった

また、学生の中でも進路について迷っている生徒が多いことから、自分たちも迷子のうちの1人で、実地研修で多くの学びを得ることが出来たため、この経験を共有したいという想いもあるといいます。

3.最終発表を終えて

最終発表を通して、この実地研修で各グループがそれぞれの視点から京丹後の観光地としての魅力を見出してくれたという事を実感しました。
中でも共通していることは、やはり「地域の人の魅力」に着目しているという点です。
今回のCEPのプログラムを作る上で、主催者側としても地域の人のあたたかさや人生観なども学んでほしいという想いがあったので、皆の発表を聞いてとても嬉しく思いました。

このCEPプログラムだけに留まらず、学生達がこの研修で学んだことを将来に活かしたり、出逢った方々との繋がりを持ち続けることができるといいなと思います。

Writer:岸 あやか(一般社団法人Tangonian




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