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#31 今日降る雪のいや重け吉事


お、あけおめ。
1月2日に、飲みに出るんかい(笑)
ありがとね、こちらこそご馳走さん。

ん?実家の親がめんどくさい?

まあ、親も生きててくれるんだったら、それはそれでありがたいことさ。
人はいつか死ぬ。
面倒くさいことも、じゃなく、面倒くさいことが人生って思っていれば、親の言葉もその1つであって、聞いてやればいいんだよ。
一番縁のある相手じゃないか。


今年は、近年になく雪は少ないかな。
もちろん降ってはいるし、ボードにもいけばいい。
それでも、こういう寒い時だからこそ、オレなんか走りに行きたくて、雪道でびちゃびちゃしてても走ってきちゃうんだけどな。

今、灯油高いけど、やっぱりエアコンより石油の火ってあったかいよ。
ほら、震災なんか、寒い時期にあると、電気が必要な暖房機器は全部ダメだよ。
灯油入れて、電池なくても、直接マッチでもライターでも火を入れればつくような昔の方のストーブはいい。
前シーズンのときに、高速道路が雪で不通になったとき、一番危なかったのは、電気自動車、EVさ。
電気切れたのを助けるより、ガソリンを助ける方がよっぽど早い。
日本でEVっていったって、下手すりゃ人殺すから、気を付けないといけない。

え?CO2削減?
それアホだぞ。
まず、日本のCO2排出量なんて世界の0コンマ数パーセントさ。
それに、その論法で炭素を減らしていくなら、まず、お前の着ている服を全部綿か麻にしてから言わなきゃ。
スマホもすてて、そもそも電気使うなって話になる。

で、今、人類が炭素削減しないと人が死ぬのか?って話さ。
死なないよ。
逆に、電気であればいいって、EV推進したら、少なくとも、大雪の時に閉じ込められた車の中で人が死ぬ確率が高くなるって。
冬場に、あの震災が来て、火が使えなければ、凍死する人間が続出だ。

そこまで日本がやらなくてはいけないことかっていうこと考えりゃ、まったく必要のないことだってわかるだろ。

・・そういうわけで、このバーでも、足元を温めてるし、お湯割りも出せるから、まあ、安心して飲めよ(笑)
ま、説教が過ぎるな、ごめんごめん(笑)


雪ってことで、ふと思い浮かべるのは、万葉集最後の和歌だ。
万葉集を編纂したのではと言われている、大伴家持が作者。

■ 新(あらた)しき年の初めの初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)

これは、天平宝字3年(759年)の正月に因幡国、鳥取あたりかな、で、地方の役人らを招いて、新年の祝賀の宴会をしたときの歌なんだそうだ。

新しい年の初めの初春の今日。
つまり、新年元旦だ。
そんな今日降る雪は、今もしんしんと積もるけど、その1つ1つが清らかに、そんなふうにあなたにも清らかな良いことが積み重なっていくといいですねっていう祝いの気持ちを歌った歌だ。

この歌が、万葉集の一番最後に来ている。
それは、どういうメッセージなんだろう。
メッセージほどでなくても、どういう意味合いで最後にしたんだろう。

大伴家持は、この歌を最後に、和歌を作らなかったと伝えられている。
その思いは何だったんだろう。


以前、万葉集の最初の歌を教えたよな。
雄略天皇の歌だ。

言ってみりゃあ、ナンパの歌。
名前教えてよ、オレって天皇なんだよって。
そういうふうに、長(オサ)である天皇は形式的にも、出会った娘を口説くのが作法だったんだ。

そんなおおらかな感覚がありつつ、実は飛鳥、奈良の時代は、様々ないざこざがあり、命が落とされた時代でもあった。

そんな時代ではあったが、人は精一杯生きてその思いを歌にしてきた。
日本書紀や古事記で、中国大陸にならって自分たちの歴史を書こうとした時代に、もう一つ、自分たちの生の生きざまを、まるで写真アルバムに収めるように、いろんな人の歌をオムニバスに載せていこうとしたのが、万葉集だったんだよ。

いいか悪いかは別として、こんな人たちがいたんだよって。

「新(あらた)しき~」の歌が759年だろ。
平安時代が始まるのが794年。
少しずつ、都が移され、京都に落ち着こうとしていた時代だ。
そして、中国大陸から学んだ国づくりを、自分たち独自でやろうとし始めた時代雰囲気。

これはオレの考えだが、家持は、こう思ったんじゃないかな。

「時代は変わってきたな。もう和歌なんてものより、もっと新しいもの、新しい制度が始まろうとしてる。それを否定はしないが、確かにそこに生きた、良い都にしようとした、飛鳥や奈良の都を書き留めておこう」

暴れん坊将軍だった、雄略天皇でポップに始め、最後は、この万葉集の読者一人一人に良いことが積み重なりますようにって、雪に意味を持たせたんだ。

忘れるんだろう、みんなは。
新しいものってよさそうだから。
古い飛鳥、奈良はダメだったように思うけど、でもさ、いいこともああれば悪いこともあるのが人間じゃないか。
それが人間だ。
捨てることはないんじゃないか。
いつだって、最後は、誰かの「吉事」を願って歌ってきたんだ。
それを忘れんなよ。

オレはさ、家持の歌を思い浮かべると、けっこう青臭い、そんな時代に抗(あらがう)うエネルギーを感じるんだ。


・・・
えーっと。
新年2日からカラオケする?
でも、俺がまず歌わせてもらおうかな(笑)
景気よく、エレカシの「俺たちの明日」なんてどうだ?

■ 季節は過ぎてそれぞれの空
  オマエはこの頃何想う

  さあ がんばろうぜ!
  負けるなよ そうさオマエの
  輝きはいつだって 俺の宝物

  でっかく生きようぜ!
  オマエは今日もどこかで
  不器用にこの日々と
  きっと戦ってることだろう

明日は3日だ。
もう1日休めるな。
まだ二日酔いになってもいいな(笑)
浴びるほど飲もうか(笑)

まあ、酔いつぶれて、路上で寝ちゃうと、それこそ雪がお前に積み重なって死んじゃうから、タクシーは頼んでおく!(笑)

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