#21 男と女のリズムが合わない時
近年「おひとりさま」って言葉、言われるけど。
あ、オレもそうか?(笑)
もう、女と一緒に、ずっといなくちゃというのは、必要ないかなあ。
それに、正直、そういうふうに言葉で定義されるのって好きじゃない。
言葉にすると、それに自分を合わせなくちゃいけなくなる。
自由を謳歌してるのに、不自由になってどうすんの?(笑)
まあ、会いたけりゃ会えるしさ。
そんな気楽な関係でも、いつでもラブラブなわけない。
お前はどうだ?
気分の乗るときもあれば、乗らない時もある。
それはオレの側からだけじゃなく、女の側だってそうだ。
ピタってくるのは、たまあにだ。
え? あ、分かる?
万葉集をまとめたって言われている大伴家持だが、同一人物の女性の歌が29首も入っている。
万葉集では2番目の多さだが、笠郎女(かさのいらつめ)って女性だ。
家持に贈った恋の歌がバンバン出てくる。
■ 君に恋ひ いたもすべなみ 奈良山の 小松が下(もと)に 立ち嘆くかも
あなたに恋して どうする術(すべ)もないの。奈良山の小松の下に立って、ため息をつくばかりなの。
こんな歌がどんどん(笑)
それに返した家持の歌は2つだけ。
■ なかなかに 黙(もだ)もあらましを なにすとか 相見そめけむ 遂げざらまくに
こんなふうならあなたと言葉を交わすことなく黙っていたらよかったのか。何をしようと思って互いの愛を交わしたんだろう。この愛は遂げることはないだろうに。
ってさ。この2人の関係は、ぐいぐいくる女がめんどくさい?って感じに解釈する人もいるんだけど(笑)
そういうのもあるけど、さっきのオレの気分でいうと、男と女がピタっとこない感じなのかなとも思うんだよな。
つまり、「相見そめ」、互いに好きになったのは事実だし、大事に思うんだ。
でも、男と女のリズムが合わない時ってある。
笠郎女の歌をたくさん載せて、家持が2首だけ載せているというのは、「めんどくさい女」っていう意味というより、そんなリズムの合わなさも愛のカタチとして示してるんじゃないかって、オレは読むな。
あれこれ言い訳するんじゃなくて、2首程度にして、男もまた自問自答してるんだろう。
そんな愛のカタチが二人の歌(相聞歌)には感じられるな。
・・
サザンの「Just A Little Bit」って知ってるか?
今から30年以上前のアルバム「NUDE MAN」の最後の曲だ。
■ とりとめのないLove affair
なれ合いのままComb your hair
招くそぶりが素敵だものJust A Little Bit to me
「Just A Little Bit」?
「ちょっとだけ」って意味かな。
「とりとめのないLove affair」
こないだも言ったけど、桑田の歌詞に出てくる、あちこちで浮気してくるダメ男がここでも登場。
そんな男に、女も「なれあい」慣れっこになって、軽く無視が入って(笑)、髪をとかしてるわけ。
男がさ、女に「なんかちょっとだけ」、「to me」、オレにちょっとだけ、お前といい時間過ごさせてくれよって言うのが、「Just A Little Bit to me」なんだ。
笠郎女が女の側だったのに対して、この歌は、男が思いを募らせる歌だ。
実際のメロディーで聴くとムーディーだけどな(笑)
ダメ男本領発揮だ(笑)
■ 時折冷めた笑顔の君 濡れない夜もある
二人だけになればとびきりシャイな人
I know, I know. You're the one to me.
Just A Little Bit, sugar.
なれあいのままの二人では、時々、わざと相手してもらえない夜もある。
でも、オレは知ってるんだ、二人きりのときのシャイなお前のかわいさを。
「You're the one to me」オレにはお前だけなんだよ。
「Just A Little Bit, sugar」
・・・なあ、ちょっとでいいからさ、こっち向いてくれよ(笑)って意味なんだろうな。
なんか、その、恋愛のピタってこないところ。
それを、今の風潮では「めんどくさい」とか「うざい」とか言うだろ。
すぐ別れちゃう。
でも、もともと赤の他人が気持ちを通じ合わせようっていうんだから、そんなにうまくいくもんじゃない。
男と女のリズムが合わない時。
そんな時間を楽しむ余裕も必要なんじゃないかな。
サザンのこの歌って、メロディーラインが、そんなことを伝えてくるような気がするな。
・・
オレは来週のレースに向けて禁酒中だが、お前は別にまだ酒飲めるだろ。
何する?
んー、甘い香りが、昔の恋愛を思い出すバーボンにしとこうか。
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