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2010年代ベストアルバム 10-1 @もそそ

今晩は~前回の記事です!!!こちらがいよいよトップ10となります。

2020年代からも音楽を楽しみたい。

10. Beyoncé - Lemonade (2016)

個人的にこの手のアーティストに苦手意識を持っていた。歌が上手すぎる人。がなり立てるような歌唱もがっちりキめられるんだけど、個人的にそういうのが苦手で、Beyonceにもそういう印象があったというか寧ろ中心的なイメージだったんだけど、評判良さに手を出したLemonadeでそのようなイメージはひっくり返った。まず最初に聴いて驚いたのがとても繊細な音楽というところにあって、最初の曲のピアノの演奏を背後にバラードを繊細に歌うBeyonceの表現力の高さに魅かれたし、作品全体においてとても素晴らしい楽曲制作陣がいて、(やっぱ金持ちのセレブは違うなあ、、)と正直にゲスなことも思っちゃったけど、音楽においては真摯さを感じた。Beyonceの歌唱も抑えながらもしっかり表現してるし、しかしながら総合的にはどこか謙虚さもうかがえて、そういうのも含めて黒人女性の辛さも表現しているというか、はじめてのBeyonceの作品だったので流石アイコンとなる人は相応しい理由を持ってるのだなと思った。

9. Frank Ocean - Blonde (2016)

流石に4年も沈黙を続けていたので「早く新譜を出せ」と思っていた最中に出た傑作で、手のひらくるりと言わんばかりに、褒めるしかできなくなってしまった作品。そしてこの作品はこの後の時代のある意味、基準とも呼べるくらいの重要な作品になってるなと思う。この作品においてはFrank Oceanのパーソナルな世界観が詰まっていて、「今はこのサウンドが流行ってるからFrankも採用した」とかそんな世俗的なものではなく、極めて確立した一人の男のブルースの新たな提示である。2012年に出した”Channel Orange”以上に、孤独や悲しみの感情がよりよく伝わるのは、前作がアーバンなR&Bである一方、こちらではヴォーカル加工などによる機械的な冷たさがある印象が伝わるからであろうか。兎に角ここで聴いた孤独の表現はそれまで聴いた中でも初めてであり、その後によく感じ取れるものとなった。

8. Kanye West - My Beautiful Dark Twisted Fantasy (2010)

正直なところ、この作品の熱烈なファンではない。思い入れとかも特にない。しかし反して「ここはちょっと。。。」と思うところも一切ない。しかし一回聴けばあまりの情報量や音に圧倒されてしまうのは確か。Kanyeが2010年代に出したこの作品は、その後の音のミニマム化の流行とは違って、豪華絢爛さが目立つ作品で、豪華なコラボアーティストやサンプリングも派手に使い、ヒップホップの垣根を越えてもはやロック魂も感じるような、Kanyeの熱い作品の思いが伝わる作品。こんな傑作を出してしまったら二度と同じやり方はしたくないのはなんかわかってしまうような、、、その後の宗教ののめりこみ具合もなんだか納得してしまうように、この作品の時点で音楽にとりつかれてるというか、傑作を出し続けてる人間にしかわからない境地に達してしまったのかなあと思いにふける。

7. Chance The Rapper - Coloring Book (2016)

ネタバレすると、後述する作品にヒップホップがあるのだが、それよりも「ヒップホップ」にハマる理由となったのはChance the rapperのこれからである。それまでヒップホップには偏見を持っていてメロディの起伏のないロックファンにとっては退屈なものと思うところもあった。しかしchance the rapperのこの作品によって、自分の興味が門戸から飛びぬけていったのである。最初に思ったのが「ヒップホップなのになんだこの多幸感となんだこの聴きやすさ」というところ。2016年から徐々にVocoderなどのヴォーカル加工がポップ世界にも顔出すようになったが、この作品やKanyeがBon Iverが先駆者だと思っているが、そういった当時の新しい空気に流されつつ、他にfeatアーティストが各個性や存在感のある配置の完璧さや、ゴスペルヒップホップというコーラス隊による抑揚のあるメロディなど、これまで触れてこなかった音楽のジャンルというのもあって衝撃的であった。

6. James Blake - James Blake (2011)

この作品こそ自分をもっと音楽オタクにさしめた罪深い作品であり、音楽ライフに切っても切れない作品である。これに出会ったのは発売年の翌年だったような気がする。当時学業を修めている身分の時、図書館で勉強するのに集中するために聴く音楽に乏しかった。なぜならパンクやラウドロックばっか聴いてたからである。その時に、音楽先輩から聴けと勧められたこの作品が勉強にぴったりと発見してからは音楽にハマらずとも毎日毎日聴いていったのだが、知らず知らずのうちにJames Blakeの音楽に毒されてからは気づいた時には、この作品の音楽がとても素晴らしいとしか思えない身体になってしまった。ラウドロックばっか聴いてた自分にとっては衝撃的であった、この作品における刹那、わけの分からない音、実はすごいソウルフルなヴォーカルなど、これほど完璧なデビューアルバムは未だかつてないと思えるほどの出会いとなる作品になった。

5. Kanye West - Yeezus (2013)

正直これ以降のKanyeは一つのアルバムを作るっていうより、音楽のフォーマットに新たな可能性を見出そうとしているのかは分からないけど、個人的に冗長に感じるthe life of Pabloや7曲に絞ったアルバムシリーズなどなどYeezus以前よりは音楽を作る理由が変わったような気がしてそこまで好きになれない。そういう気持ちの中でYeezusを改めて聴いてみると最小限に絞ったむき出しの電子音は、暴力的なイメージでKanyeの怒りが言葉が聴き取れなくても伝わってくる。Black Skinheadはそこらのロックバンドよりロックしてるし、この作品におけるKanyeの怒りはそこらのロックバンドよりある意味ロックしてる。最初から最後まで一つの音楽テーマに沿った作風によって圧倒されまくるし、やっぱ自分ほどの語彙力だと圧倒され過ぎるともうなにも言えなくなるというか、だからこそこの作品は有無を言わさず傑作だと思っちゃうんだけど、これを読んでいる人にとっちゃなんでこの作品がこの位置なのと思うでしょうが、これはKanye Westの最高傑作だと思います。

4. Bon Iver - 22, A Million (2016)

昔というか子供のころから、何か加工された声を聴くのが好きで、例えるならなんでこの食べ物が好きなのかって好きだから好きだとしか言いようがないくらい加工された声ってひっかかりがちなところがあったんだけど、だからPerfumeが出た時は「いいじゃん!」って思ったりしたけど、洋楽に出会う羽目になってからは結局はそこまでハマる結果にはならなかった。洋楽でも探す技術が最近までは全然なかったから案外見つからなかったんだけど、その中で出会ったBon Iverのこの作品は正に好みのドストレートを射抜いた。記号化された楽曲タイトルとは反して作品そのものは一貫したテーマがあるようで、2016年当時の新機軸となるBon Iverとしての新たな音楽性を見せているなと思った。この作品に存在する歌声のほとんどが加工されていて、それがまたミステリアスかつ、感動的なエレクトロフォークによって、とても心地の良い時間をじっくり味わえる名盤となった。

3. Kendrick Lamar - To Pimp A Butterfly (2015)

ヒップホップにハマることなど無いとは思っていたが、2010年の後半から徐々に徐々に知っていく機会が増えた。直接的な原因ではないけど、まず客観的に見て音楽のシーンがガラリと変わったのはこの作品で間違いないと思う。色んなヒップホップに触れた後でこの作品を聴いてみると、ぐいと引き込まれる緊張感、ケンドリックのすさまじいラップスキルによってスリリングなムードがたたずんでおり、ただ音楽を楽しむ以上に、アメリカに潜んでいる闇を聴かされているようなある種の異文化体験だ。言葉の壁を越えて歌詞以外にもこうして音の世界で、見せたい事を演出することの凄さに気づかされたというか、あまりアルバムの中身に触れられていないのですが、聴いて圧倒され過ぎたから3位という理由ではあります。

2. Father John Misty - I Love You, Honeybear (2015)

まずこの作品に驚かされたことは、大袈裟になりすぎず、そしてこじんまりとしすぎてないバランスである。特にアメリカのインディ―フォークや、SSWの作品はボソボソとした歌唱などのせいで盛り上がりに欠けたこじんまりとした面白みの感じない作品であったり、無駄にサウンドが大袈裟すぎて虚無を感じる作品には多く出会った。その点この作品はアルバム全体においてバランスがよく、渋いフォークもあれば、True Affectionみたいな電子音のビートを基調とした曲もあり各曲個性あり、完璧な展開が最後まで続く。それにBored in USAの退廃したエンターテインメント的な皮肉たっぷりの曲もヴォーカルJosh Tillmanの疲れた歌唱が非常に沁みる。やはりこの作品を唯一無二にたらしめているのはJosh Tillmanの色気のある声の天性の才能であり、それに曲のクオリティの高さゆえに、2010年代のありとあらゆるインディーフォーク系の作品の中で、間違いなくこの作品が一番好きだ。

1. Frank Ocean - Channel Orange (2012)

2012年にリリースされたフランクオーシャンのデビューアルバムを聴けば聴くほど完璧な展開に息をのむ。とてもセンチメンタルな世界観が展開されていて、フランクオーシャン本人の弱さを打ち明けられ、とてもオラオラと攻めるマッチョイズムとはかけ離れている。音楽は色々な種類があって、鼓舞した気持ちになりたければ、述べたようなオラオラした作品を聴けばいいし、感傷的な気分の時は暗い音楽性の作品を聴けばいいと思う。Channel Orangeは後者のタイプで、ひとたび作品に耳を傾けば都会的かつ無駄な装飾のないオーガニックのR&Bな音楽とラジオや一人の女性の会話などを録音したインスト曲が複数あり、これによってとてもパーソナルな世界観に浸ることができる。
そしてフランクの生まれ持ったその声はどこか悲しみや痛みを含んでおり、彼の声を聴けば聴くほど、繊細な気分になってしまう。こうした彼のむき出しになったパーソナルな世界観のあるこの作品は、2010年代で最も美しく芸術的な作品となった。

ありがとうございました。

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