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ココロの眼‐第二章 父

 しかし、ツキがない。

 負けるやつがいるから勝つやつがいる。
 ツキがないやつがいるから、ツイてるやつがいる。
 オレがいるから目の前のやつはツイている。
 目の前のやつは上手いわけじゃない。

 ツイてるだけだ。

 ツキを持ってくるのも実力のうちだとか言う人の話は、わかるような気もするが、今はわからない。

 久々に打つ麻雀くらいはイケるかな?とここにやってきたが、や、そんなに甘くないんじゃない?やられちゃうかもよ?という不安の方へ友人との麻雀は淡々と進んでいった。

 「やー負けたけど、麻雀はやっぱおもしろいな。やっぱり麻雀イイね!」

と、勝った側が負けた側に気を使わないように、負けたオレが気を使っている。

 財布から札が出て行く。その代わりに場代の釣りだと小銭がたくさん返ってきた。財布の重量は増えたが金は減った。

 この金で今週の金曜日までの昼メシと・・・あ、そうか。金曜日には飲み会があった。会費は聞いてない。
 小銭はいくらあんだろ?五百円玉二枚入っててくれないかな?なんて思考を働かせながら、誘われるがままに勝ったヤツのおごりで飲みに行った。

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