耳に居座る風
君を追いかける度に
シャッターを押す
もう一つの季節の衣をまとわり
カレンダーの中の整列された数字 バラバラに粉々に砕け散って行く様
同じ方向にめくり上げては
溜息の病はつきることなく 追いかけては姿を隠したがる
君を追いかける度に
シャッターは押される
幾度も磨きをかけ円を描いては
覗き込む微笑は飽きることなく 時計回りの流れを止めない
止めようと指の震えを極限までおさえ 机の蜘蛛に威嚇する視線を向けながら 喉の震えを見落とさない
君を追いかける度に
シャッターを巻き上げる
風と山が重なる霧は温もりを増し
耳に居座る風となって鳴き声の届かない贈り物を積み上げている
土の岩の水の草の息を押し殺し 耳に居座る風は君を世界の中に永遠に記録させていく
耳に居座る風
からだ中が記憶する
真愛
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