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太陽と地球と月と (僕から見た母と兄と)

僕は地球の弟として生まれた

母は僕に毎日、惜しみなく光という愛を降り注いでくれる

僕にとって兄との姿の違いは一目瞭然で

最初は、なかなか受け入れることができなかった

兄は豊かな大地と豊かな水と様々な生き物たちと生きている

僕は穴ぼこだらけの姿と色のない大地だけだ

その姿に卑屈になり僕は兄の陰に隠れるようになった

母はそんな僕にでさえも、毎日光という愛を降り注いでくれる

それは兄へも平等に、兄以上に届けようとしているのかもしれない

兄は最近になって、自分と共に生きてきた生き物に苦しめられているようだ

人間という生きものが兄の美しい姿を侵食し、兄を苦しめているようだ

母はそれを見て時々怒りを向ける


僕にとって兄はうらやましい存在だったのに・・・


兄は青と緑と茶の色を持ち、それはそれは美しく生き生きと光輝いている

ほかの星たちとは違う、その美しさに僕はいつも見とれ嫉妬していた

だけど、兄に住む人間は時々、僕を美しいと見上げてくれる

母からの愛という光を受け、輝いているとき

僕は最高の愛を誇らしげに見せつけることができる


以前、兄に住む人間が僕のところに来た時

人間は兄のところで住んでいるような服装ではなかった

全身を覆いやっとの思いで僕のところに来たんだ

その時、人間は自分たちの進歩に狂喜していた

僕は母の怒りの意味を少しだけ感じていた

人間の喜びを、母も兄も僕も少しだけ驚きの目で見ていた

そして、いつしか人間は自分たちの生きやすいように

兄の姿を少しづつ自分たちの力で変えている

兄は疲れないだろうか?苦しんでいないだろうか?

母の愛は、母の光は、母の怒りは、兄にとって辛くなっていないだろうか

僕は兄と話せないが、兄の姿が変化していくのを黙って静かに見つめている

美しくうらやましかった兄の姿が変化していくのを

母の愛が豊かに兄を育んできたことを

僕は母の愛を受けて今夜も兄に届けている

兄に住む人間が僕の姿を見て美しいと思ってくれるなら

僕は兄の姿を美しいままにしてほしいと

人間に伝えたいからだ

母の愛は兄と僕にとって、ほど良い距離なのだということも







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