くもり時々くもり


人の心は天気みたいなものだ。一年中晴れみたいに上向きな人もいれば
雨の多い下向き加減の人もいる。いつもくもりの人もいる。僕はそういう人を知っている。
特段悲しそうなわけでもないし、変に明るいわけでもない。しかしいつも心が晴れない。
僕はそういう人が好きだ。そういう人は物事を心の中でありとあらゆる方向から眺め、じっくり時間をかけて吟味する。話し方も落ち着いているその人たちの言葉の一つ一つは適度な重みがあって、心に残りやすい。僕はどちらかというと晴れ時々雨の性格なので、くもり時々くもりの人は「明るい」という印象をよく受けるかもしれない。僕が雨の時だって、僕の言葉は重みをもたないし、物事も十分に吟味されない。そんな僕はくもり時々くもりの人から言われた一言が今も心から抜けない。
「くもりは過程じゃなくて完成形なんだ。」

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