夜の来ない夢

私の小さい頃の記憶に、夜の来ない、昼間だけがずっと続く夢があった。

夢の中で私は母方の祖母とリアカーを押していた。押しても押しても日が暮れない。疲れて眠ろうにも、夜が来ないので眠れない。

大きくなってからこの夢の話を母にすると、私は二歳ころひきつけを起こし、二三日眠ったままだったことがあるそうだ。心配した祖母が駆け付け、ずっと枕もとで看病したという。

そういえば、昼間だけが続く夢の記憶の前に、夕方、激しく泣いたことを思い出した。泣いても泣いても、夕食の支度で忙しい母も、それを手伝っている姉たちも、かまってくれない。泣き続けるうちに、周りの障子やテーブルが大きくなったり小さくなったりして、気持ち悪かった。たぶん高熱が出たのだろう。

運よく私はひきつけを起こした病気から快復したが、もし私が死んでいたら、その夢の中で昼間は終わって夜が来たのだろうか。それとも、ずっと昼間が続いたままだったのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?