第3回 うつの治療をする(後編)
本連載では、うつ病の経過に応じて必要な情報をお伝えしていきたいと思います。うつ病に悩んでいる方やご家族、周囲でサポートをする人たちに、ご自身の状況に沿った情報を一つでも見つけていただけたら嬉しいです。
前回は治療初期の体調や感情の変化、休職中の会社との連絡についてのお話でした。
今回は、主人公の橋本さんが会社を退職します。また通っていたクリニックから別のクリニックに変更をするお話です。
主人公のプロフィール
橋本さん(45歳)
居住地:東京都
家族構成:妻(43歳)、長男(15歳)、長女(13歳)
※本ストーリーは、うつ病から社会復帰をされた方々へのインタビューをもとに作成しています。橋本さんはインタビュー内容をもとに設定した架空の人物です。
退職をして、収入がなくなる
休職してから何度か上司や人事担当者と話し合いましたが、症状もよくならないこともあり、復帰を断念しました。橋本さんは。長年働いていた会社を退職することになりました。
人事部から退職後の手続きについても、何か説明されたことだけは覚えていますが、内容についての記憶はありません。
たまたま妻が説明を聞いていてくれたことで、退職の手続きや健康保険の手続き、また失業保険の手続きなどが進んでいきましたが、当時の記憶はほとんどない橋本さんでした。
無職になってしまった橋本さんは、治療に専念し、少しずつ回復に向かっていきましたが、回復しているという実感はありませんでした。また収入源がなくなってしまった為、生活のことが気になります。
いろいろな社会保障制度などがあるという話はネットなどで見て気づいてはいますが、難しくて理解できないため何もしていません。
妻がパートに出るようになり、家族に負担をかけていることもあって、「死んだほうがいいのかな」と思うことも多くなりました。実際に行動には移しませんでしたが、日々そんな気持ちと闘いながら、治療を続けていく橋本さん。
別のクリニックを探す
通院はきちんと続けていましたが、ある日医師から「これ以上、治しようがありません」と言われてしまいました。それを聞いた妻が別のクリニックを探してくれたので、そこに通うことにしました。
新しい医師は「一緒に治していきましょう」と言ってくれたり、薬を増やすのではなく、逆に減らそうと調整してくれるなど、前の医師とはタイプの違う医師でした。医師とのやりとリの中で、橋本さんは自分が回復に向かっていると感じることができるようになりました。
お役立ち情報
今回は退職することになった時の健康保険や年金の手続き、雇用保険の失業給付、利用できる社会保障制度について、まとめられた記事をご紹介します。
ご本人の体調によっては、手続きが大きな負担になることがあります。橋本さんのように、ご家族や周囲の方にサポートしていただけると助かると思います。
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今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は最終回「第4回 うつからの社会復帰を目指す」です。4月4日(土)の夜に配信をいたします。
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