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2017年1月の記事一覧
鏡花幻想行 第一話 夜行
序
どうにも心が遊びにでてならない。いや、魂が迷い出るというべきか。昼といわず、夜といわず、時をえらばない。それでも、新月の夜がいちばん多いのはどうしたわけか。次は雨の宵。こちらは、世間の物音が遠ざかるためでもあろうか。
死者の声が聞こえてくる。生者の息づかいが遠のいていく。《いま》という時も遠ざかる。自分は《いま》という時にふさわしからぬ人間のような気持ちにさえ
序
どうにも心が遊びにでてならない。いや、魂が迷い出るというべきか。昼といわず、夜といわず、時をえらばない。それでも、新月の夜がいちばん多いのはどうしたわけか。次は雨の宵。こちらは、世間の物音が遠ざかるためでもあろうか。
死者の声が聞こえてくる。生者の息づかいが遠のいていく。《いま》という時も遠ざかる。自分は《いま》という時にふさわしからぬ人間のような気持ちにさえ