娘の心の中

今朝、4歳の娘と並んでご飯を食べていた。
突然娘が「お母さんは悪くないんだよ」と言った。悩んだような表情をして。でも真っ直ぐ私を見て。
固まった。娘が急にどうしてこんなことを言い出したのかと。
そして思い出した。ああ…そうか。娘に、「お父さんとお母さんは別々に暮らすことになりました。…。お父さんがお母さんにいっぱい嘘ついたり、いじわるしたりして、お父さんがたくさん悪かったんだけど、お母さんも悪いところがあったのかもしれません。…。」って話したけど、そのことか。


娘に離婚理由を説明するか悩みに悩んだ。けど、娘は知りたがる。普段から、なんで?なんで?なんで?としょっちゅう聞いてくるから、質問攻めにされるのは目に見える。はぐらかしても娘は納得しない。それならきちんと、今の娘がわかる範囲で、わかるように説明しようと考えて、話をした。それが約3週間前のこと。
娘は何かの拍子でこのことを考えていたのかと思うと、胸が張り裂けそうになった。

娘に「ありがとう」と言ってバグして、朝ご飯の続きを食べた。そして娘が「お父さん、もうイヤ」と一言言った。お父さん大好きだった娘が。食べ終わって娘の着替えを手伝っている最中に娘がぽつんと「〇〇(生まれ育った地名)に帰りたい」と言った。
最近娘が帰りたいと言わなくなってきていたし、朝ご飯のときの一言があったばかりだったので、動揺してしまった。
私は「そっか…また遊びに行こうね!」と返すのが精一杯だった。娘はその返事に反応せず、歯磨きをしに行った。
今朝は「もう〇〇には帰れないんだよ。」と再度説明は出来なかった。

…そうだよね。帰りたいよね。生まれ育ったところに。大好きだったもんね。
大好きなお父さんもいて家族4人で暮らして、大好きなお友達と先生がいる保育園へ通って、毎日夫のお母さん・娘から見るとばぁちゃんにも会って、隣のお姉ちゃんが通う憧れの小学校もすぐ近くにあって。あの場所が大好きだったもんね。

そのあと娘は通園バスに乗って幼稚園へ行き、ニコニコしながら元気に帰ってきた。
幼稚園が楽しそうなのが救いだ。本当にありがたい。


そして今夜、寝る間際に娘に今朝話せなかったことの話をした。「お母さんはお父さんのこと恐いし、いっぱい嘘つかれたからイヤだけど、お母さんがイヤだからって、娘ちゃんまでお父さんのこと嫌いって言わなくていいんだよ。娘ちゃんがお父さんのこと大好きだったのは知ってる。娘ちゃんがお父さんが好きでも、お母さんは娘ちゃんのこと大好きだからね。」と伝えた。そしたら娘は「お父さんに会いたい」と言った。これもまた久々の言葉だった。
私「今、娘ちゃんたちとお父さんが会えるようにお話してるとこなんだよね。でもなかなか決まらなくてね…」と説明した。娘は納得しなかったが、疲れが溜まっていたのだろう。「なんで?なんで?」言いながら寝てしまった。


お母さんもこんなふうにはしたくなかった。なりたくなかった。
でも、お母さんはあなたたちと自分を守るためにこうするしかなかった。お父さんから離れるしか。逃げるしか。

夫との、大人の問題なのに、子供を巻き込むことになり、本当に申し訳なく思う。

子供にはどうしようもない、逆らいようもないことがあって、でもそれに従うしかない、そこでやっていくしかない、生活していくしかないことを、4歳にしてわかってしまったのだと思う。

だからだろう。とても寂しそうな表情をすることがある。母に「娘ちゃん、絶望的な表情している…」と言われたこともある。
もちろん、楽しそうなときもある。
でもこの4ヶ月で、ずいぶん笑顔が減ってしまった。

娘と旅行したり、公園や科学館に連れて行ったり、プレゼントしたり、焼き肉に行ったり、折り紙遊びやプリキュアごっこに付き合ったり。娘を喜ばせようと、父も母も姉も私も、必死だった。頑張ってきた。それでも生まれ育った環境と比べると、娘にとってこっちでの生活の『楽しさ』はまだまだ少ないのだろう。そして『お父さん』の存在に代わる人はいないんだろう。父と母と姉の3人が相手でも。

夫のことを恨めしく思った。

先日の1回目の離婚調停では夫はシラを切って、なにも話は進まなかった。
つくづくズルい人間だと思った。
それに娘の心を掴んで離さない。「子供は飴と鞭を使い分ければついてくるんだよ」と私にアドバイス?した言葉通り。

今は次の離婚調停日までに、夫と子供たちが面会交流するよう調停員に言われ、その調節中。
正直、子供たちに夫を会わすのは気が進まない。今までのように上手いこと言いくるめられ、面会交流中に夫が約束を破らないか心配だ。

夫の出方で影響を受けるのは子供たちだ。
子供たちのことを考えるなら、シラを切ったり、嘘をついたりするのはもうやめて欲しい。

私も夫の出方に一喜一憂するのに疲れ果ててきた。

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