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【企業分析】8093極東貿易/驚きの配当政策、経営者の意識は変わるか

※ 本内容は2021/5/24時点の記事をWordPressからnoteに移行したものです

2021年3月期の決算発表のシーズンは終わりましたが、1日に1,000社発表とか発表日に全部見るなんてことはちょっと現実的ではないので、ピークが過ぎてからゆるゆると見ています。

極東貿易という会社を知っている人はいますか?投資対象に考えている人はほとんどいないと思いますが、決算と同時に面白い中期経営計画を発表していたので記事にします。その内容は「驚きの配当政策」だったわけですが、それがアクティビスト(物言う株主)のプレッシャーで嫌々やったのか、それとも経営者の経営に対する意識が変わったのか、そんなことを記事にしたいです。


極東貿易の中期経営計画:中計期間の配当政策がすごい

新中計の期間の配当性向が100%。しかも「自己資本を積み増さない」ことを明確にコミット。何円配当という目標なら、足元の利益の出方に応じてできる・できないの問題がでてきますが、稼いだ利益は全て配当するというということならやる・やらないだけです。直近はそれほど収益性は高くないですが、特別配当も出すことで過去に積み上げたバランスシートを一度リセットして、身の丈にあった資本構成にしようとことなのでしょう。

出典: 2021/5/10 新中期経営計画「KBKプラスワン2025」策定に関するお知らせ

ストラテジックキャピタルの株主提案の内容

なかなか思い切ったことをする経営者だなと感心していましたが、実はその背景にはアクティビスト(物言う株主)の存在があるようです。以前よりストラテジックキャピタルというアクティビストが同社に対して株主提案をしており、それに対する回答が同社の中計での配当政策のようです。

https://proposal-for-kyokuto-from-sc-2021.com/

ストラテジックキャピタルの株主提案の内容は以下の3つです。ちなみに、前期までは4つ目として配当性向100%を提案していましたが、同社が減益局面に入ったことから提案を取り消しています。

ストラテジックキャピタルの株主提案内容

  1. ストラテジックキャピタルの推薦する取締役の選任

  2. 資本コストとその計算根拠の開示

  3. 政策保有株式の売却

配当政策100%はすでに提案されていたんですね。決算短信をみていると、政策保有株式の売却もあまり進んでいないようです。今後売却が進むと売却益相当も株主への配当に回っていきますね。

新たな資本政策を受けて株価は?

この中計の発表を受けて、一気に株価は上昇しています。企業の稼ぐ力が増えたわけではないので、企業に対する評価が変わった、PERが上がったということです。

出典:株探

おわりに

配当を出して終わりではなく、経営者の意識が変わること。経営者が企業価値・株主価値を意識した経営をしてくれるようになるのか、そこを見極めないと株価自身も一時の上昇で終わってしまうように思います。
物言う株主に関しては、世間ではいい評判はないかもしれませんが、このように1つでも経営の非効率が解消され、世の中の見方が変わっていくとよいなと感じました。


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