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令和6年4月19日 参議員議員本会議 民法等の一部を改正する法律案 日本維新の会・教育無償化を実現する会 清水貴之議員

清水貴之議員

日本維新の会の清水貴之です。教育無償化を実現する会との統一会派を代表し、民法等の一部を改正する法律案について質問いたします。今回の民法改正は、夫婦の離婚後に子の親権について、現行では父または母のどちらかの単独親権とされているところを、父と母がともに親権を担う共同親権を選択できるようにするものです。行政の合意によって成立した婚姻は両性の合意によって解消できますが、母と子、父と子の親子の縁は、誰も切り離すことはできません。にもかかわらず現行の原則単独親権の制度のもとで離婚後には親が我が子に会えないという悲劇が繰り返され、親権獲得を巡る父と母との間での激しい争いも後を絶たない状況です。まずは原則共同親権の必要性について法務大臣、どうお考えますでしょうか?改正案によって共同親権が選択できるようになりますが、これまでの親権獲得を巡る元夫婦間の争いが、共同か単独かの争いに変わるだけではないかという懸念も残されます。子の立場からすれば、両親が争う悲しみが消えることにはなりません。共同親権の選択性によって元夫婦間の争いはどのように減るのか、法務大臣の見解と見通しをお答えください。

また、共同親権が原則であることを明確にすると親権争いの苛烈化を防ぐことができるとの指摘もありますが、法務大臣の認識をお示しください。改正案の第817条の12では、親の責務等として、父母は子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともに、その子の年齢および発達の程度に配慮して、その子を養育しなければならないと規定しています。しかし、この条文では、親の責務を担うのは、父と母がともに担うのか、それとも父またはどちらかが担うのかはっきりしません。民法の中でも重要な規定が多義的であるのはふさわしくないと考えます。親の責務は、父母がともに担うべきことが原則であるということで間違いないでしょうか?法務大臣の答弁を求めます。

離婚後も子の最善の利益を実現するためには、父母の間で養育費について取り決め、その支払いを確実に行うことが必要です。しかし現状では、実際に養育費を受け取っているのは、母子家庭では28.1%、父子家庭では8.7%にすぎません。そもそもの取り組みが出来た家庭も、子が居る離婚家庭の半分にも満たない状況です。養育費の取り決め率や履行率の低い原因は何か、法務大臣の見解を求めます

もちろん我が子を虐待したり、家族に暴力を振るうようなものには子の養育を任せることはできず、親権の停止もしくは執行は必要な措置です。共同親権に対しての不安の声の中でも多くを占めるのはDVや児童虐待の問題がある場合、共同親権によって離婚後もそうした問題が持ち越され、最被害が生じる恐れがあるというものです。DVや児童虐待は大変深刻な問題です。暴力加害は家庭内であっても、れっきとした犯罪であり警察が毅然として対応すべきと考えますが、DV、児童虐待の防止加害者への取り締まりに関する警察の対応の強化の可能性についての法務大臣の認識を伺います。またDV被害の防止や軽減のために、緊急避難や相談の取り組みを抜本的に充実させる必要があると思いますが、あわせて法務大臣の答弁を求めます。

DVが認定された親は親権を喪失することになり、しかも一度失った親権を回復することは至難の技です。共同親権の選択や監護者の指定に当たっては、DVの有無が大きな問題になります。DVの認定については、客観的事実に基づくなど慎重な検証が必要だと思いますが、法務大臣の見解をお答えください。

衆議院での質疑の中で小泉法務大臣は、DVや虐待の認定について、父母の一方が暴力等を受けるおそれや、子の心身に害悪を及ぼすおそれの有無を基準として判断すると答弁しています。大臣はDVの立証を必須の要件とするものではないとも答えていますが、立証もないまま、DV等の恐れを同様に判断するのか、法務大臣の具体的な答弁を求めます。

DV認定の難しさは家庭内という、いわば密室の中での行為であることと、DVとは何かという、そもそもの定義が曖昧であることからくるものと考えます。内閣府男女共同参画局のホームページでは、ドメスティックバイオレンスの容貌については、明確な定義はありませんとした上で、日本では配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあったものから振るわれる暴力という意味で使用されること多いですと説明しています。その配偶者からの暴力とは何を指すのかについては、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護等に関する法律、いわゆるDV防止法において、心身に対する暴力のみならず心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれています。今回の民法改正の議論の中では、さらに経済的DVも含まれると言明されています。このように、DVの定義が、広範で曖昧なものであると、国民の間でのDVに対する認識がバラバラになり、夫婦間で何が暴力に当たるのかの認識も一致せず、互いの人格を尊重し合うという基本もかえって疎かになるのではないかと懸念をします。DV防止を啓発する観点からも、DVとは何かについてさらに厳格な定義づけを行うべきではありませんか、加藤大臣の見解をお聞きします。

またDV防止法には、その前文に配偶者からの暴力の被害者は多くの場合、女性であるとの記述があり、全国自治体では女性相談員、女性相談支援センターという用語が使われている自治体も多いかと思います。しかし、DV被害者には男性も含まれます加藤大臣、国の方から男性DV被害者が使いにくい用語の変更を求めてはいかがでしょうか?さらに、DVの被害者は女性というDV防止法の前提は、親権を巡る裁判での裁判所での調停の際に裁判官の判断に予断を持ち込むことになっていないか法務大臣の認識を示しください。

最後に、本改正案については、今なお様々な立場から激しい論争が続けられています。共同親権に反対する立場からは改正案そのものを廃案にする主張がなされ、共同親権を推進する立場からも、本改正案では、実質的に何も変わらないのではないかという懸念の声も上がっています。更なる議論の継続を求める声もあります。しかし一方では、両親から愛情を持って育まれる当然の権利を奪われた子どもたちが大勢いることを思えば、いつまでも立ち止まっているわけにはいきません。我が会派は、衆議院で自民、公明、立憲民主党との4党協議において附則の修正を提案し、その中で5年をめどにした制度の見直しが合意されました。共同親権の仕組みをまずは開始し、その運用を通じて制度の不備や改善すべき点を洗い出す。今後の更なる方の見直しについては躊躇なく実施すべきと思いますが、法務大臣の答弁を求めます。

日本維新の会と教育無償化を実現する会は、結婚離婚の自由を尊重するとともに、親の離婚によって生じる子の悲しみが最小となり、子の最善の利益が最大化するような親権制度となるようこの参議院での審議においても全力を尽くしていきたいと思います。以上で質問ありますご清聴ありがとうございました。

小泉龍司法務大臣

清水貴之議員にお答えを申し上げます。まず原則共同親権の必要性についてお尋ねがありました。原則共同親権という表現は多義的に用いられているため、お尋ねについて一義的にお答えすることは困難でありますが、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、責任を果たすことが、子の利益の観点から重要であると考えております。

次に離婚後の父母の双方を親権者にできる仕組みが父母間の争いに与える影響についてお尋ねがありました。本改正案では、離婚後の父母双方を親権者にできることとし、また親権や婚姻関係の有無に関わらず、父母は子の利益のため、互いに人格を尊重し、協力しなければならないとしています。父母間の争いの理由は様々であり、本改正案によって、父母間の争いがどのように減るのかお答えすることは困難ですが、本改正案の趣旨、内容が正しく理解され、この利益の観点から、父母双方が適切な形でこの養育に関わり、その責任が果たされることを期待しております。

次に、共同親権が原則であることを明確にすること等についてお尋ねがありました。先ほどお答え申し上げた通り、共同親権が原則という表現は多義的に用いられているため、お尋ねについて一義的にお答えすることは、困難です。その上で、本改正案は父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが、子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものであり、このような本改正案の趣旨、内容が正しく理解されることを期待しております。

次に本改正案の親の責務に関する規定についてお尋ねがありました。本改正案では、親権や婚姻関係の有無に関わらず、父母が責務をそれぞれ負うべきことを明確化しており、そのことは、文言上明らかであると考えております。

次に養育費の取り決め率や履行率が低い原因についてお尋ねがありました。養育費の取り決めや履行がされない理由については、様々な事情が関連しており、一概にお答えすることは困難でありますが、その上で申し上げれば、その取り決めがなされない理由については、平成3年度全国1人親世帯等調査によれば、相手と関わりたくない、相手に支払う意思がないと思った、相手に支払う能力がないと思ったなどの回答があったと承知しております。また、養育費の支払いをしない理由については、法務省が令和2年度に実施した調査によれば、支払いたくなかったから、支払うお金がなかったからなどの回答があったと承知しております。

次に、DV等に関する警察の対応強化についてお尋ねがありました。DVや虐待は被害者に深刻な精神的肉体的苦痛をもたらし、その尊厳を傷つけるものであり、決してあってはなりません。DV等に関する警察の対応の強化については、法務省の所管外の事項であるため、お答えすることは困難でありますが、警察においては、適切に捜査を行うとともに、必要に応じて被害者の安全確保のための措置を講じており、今後も被害者の安全確保を最優先とした適切な措置が講じられるものと承知をしており

次にDV被害者への支援策についてお尋ねがありました。本改正案を円滑に施行し、子の利益を確保するためには、DV等を防止して、安全安心を確保することが重要です。法務省としては、本改正案が成立した際には、その円滑な施行に必要な環境整備について、関係府省庁等としっかり連携して取り組んでまいります。

次に、DVの認定のあり方についてお尋ねがありました。DVの有無は、個別の事案における具体的な事情を踏まえて、裁判所で適切に判断されるべき事項であるため、法務大臣として具体的にお答えすることは差し控えますが、その上で一般論として申し上げれば、家庭裁判所では、当事者双方の主張立証を踏まえて適切な審議が行われていると承知しており、今後も引き続き適切に対応されるものと考えております。

次にDV等の恐れの判断のあり方についてお尋ねがありました。お尋ねのDV等の恐れについては、裁判所で個別具体的な事案において、過去にDVや虐待があったことを裏付けるような客観的な証拠の有無に限らず、それを基礎付ける方向の事実と、それを否定する方向の事実とが総合的に考慮されて判断されることとなると考えております。

次にDVに関する、調停における判断等についてお尋ねがありました。家庭裁判所の調停手続きは、公平中立な立場から当事者双方の言い分を丁寧に聴取しつつ、手続きが進められているものと認識しております。また、審判手続きも、当事者の一方の主張立証に対し、他方に反論反証の機会を保障し、公平中立な立場から資料に基づく適切な認定、判断が行われているものと認識しております。ご指摘のような懸念は当たらないものと考えております。

最後に家族法制の更なる見直しについてお尋ねがありました。本改正案については、衆議院で附則に施行後5年を目途とする検討条項が追加されました。この検討情報に情報に基づき適切に対応してまいります。


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